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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『きみに読む物語』

「僕の人生は大したことのない人生だった。それでも、一つだけ誇れることがある。たった一人の女性を、心から愛し続けたことだ」

最初から最後まで女が主役の映画でした。
一応語り部になっているのは男なのですが、男が悩むのは女のせいであり、女をずっと引きずっているのは男であり、女がいないと生きていけないのも男。

ある老人が、病気で入院している老婆のそばで、物語を読みきかせるボランティアをしている。
その物語は、若い男女の青春をかけたひと夏の恋の物語だった。
貧しい労働者である青年と、金持ちの令嬢である少女の中は引き裂かれ、そして時が流れる。
結婚が決まったかつての少女は、新聞で、かつての青年が自分との約束を守り、白い家を建てたことを知る。

「早く続きが知りたいわ? 二人はどうなるの?」

続きを、と急かす老婆はいつしか、その話が自らの過去であった事を思い出す。

「ノア」
「アリー」

老いによって自らの思い出すら忘れてしまった老女は、目の前で話を聞かせてくれた男性が、心から愛したその人であることを思い出す。

「いつまでこのままでいられるの?」
「わからない。この前は五分だったよ」

そして、老女はまた忘れる。目の前の老人を気味悪がり、「ダーリン」と呼ぶ男に絶叫する。

「こっちへ来ないで! 誰なの! 誰か、助けて!」
「ダーリン、アリー、お願いだ。どうか」

病気は進むばかりでよくならず、男も持病の心臓病が悪化し、生死の境をさまよっても、老女の記憶がよみがえることはなかった。
男は退院し、また妻の下へと向かう。
そこで横たわる老女は、男を見て微笑んだ。

「ノア」

どんどん薄れていく記憶。
これを読めば、そこに私がいる、私の愛がここにある、と書かれた男が持っていた本は、アリー自身が書いたものだった。

「私たち、一緒に死ねるかしら?」
そう告げた妻に対し、夫は、
「ああ。私たちの愛に不可能はない」
と微笑んで、手を握り合うのだった。


実際の内容としては、非常によくある話で、ひと夏で盛り上がっちゃった若者の恋愛話なのですが、なんていうか、その王道さかげんを恥ずかしげもなくしかも、堂々と感動の物語に仕立てようっていうのがあざといっていうか、真っ向勝負というか、そんな映画でした。
内容や、どんでん返し的なオチは正直珍しくもなんともないし、女性が男を選ぶのも「そんなんあるかい」と思わずにはいられないのですが、それでも、あの夏の愛は永遠であったし、それは今も昔も変わらないっていう御伽噺のような映画でした。

基本的にアリーはノアに比べて、別れてからちゃんと生活を営んで、別の男性と婚約関係になってますし、かつての恋人の姿を新聞で見て押しかけても、なんていうかな、その場その場で好きなことを情熱のままにやっているという「強い」印象があるんですが、これがまあ、ノアのへたれっぷりというか引きずり加減が本当にへたれです。
大体、声をかけて恋愛関係にまで見事持ち込んだのはノアの方なんですが、首っ丈になってからはもう、完全に女の尻にしかれ状態。戦争に行っても、何をしても、別の女と関係を持っていても考えるのはかつての恋人であるアリーのことばかり。
その結果、アリーに向かって、
「君を愛している。努力するから、どうか行かないで欲しい」
なんてことが、フツーに言えちゃうわけです。

ただこの愛が、青年から成人、そして老年まできちんと続いているのが、ノアであり、母親と一緒に老人施設にいることなんてない、という子供にも、
「私はママを愛している。ママのいる場所が私の家だ」
と胸を張って言えるわけです。私この台詞で一番泣きました(結局二時間殆ど泣いている…。苦笑)。

そして、ラスト。二人の間に「奇跡」が起こります。
歳を取って認知症が進み、どんどん記憶が不確かになっていく、自分で自分がわからないアリーと、それでも彼女を愛し続けたノア。
個人的には「こういう」奇跡、終わり方でよかったと思います。
これが、現実と御伽噺の境界線というか、双方ともに納得できるハッピーエンドでした。





役者さん、主人公のノアが「ラースとその彼女」で主役だったライアン・ゴズリングでびっくり。
そしてアリーが「シャーロック」のレイチェル・マクアダムズでこれまたびっくり。
確かこれ、ジェームズ・マーズデン目当てで借りた(彼は完全にカッコイイ当て馬でしたが。笑)んですが、思いがけず知っている役者さんが多くて驚きました。
ジェームズ・マーズデンは戦争で怪我をして、ギプスで足も体も首も、ぐるぐる巻きになった状態で、アリーをナンパするんですが、
「先に言っておくけど、僕はダンスが死ぬほど上手い」
とそんな状態でももんのすげえおしゃれに言ってくるのが、アメリカのモテる男センスだなあ、と思いました。
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先日、『コクリコ坂から』についての感想を書きましたが、両親は多少はあの世界観かぶってるようです。
父親もガリ版持って帰ってやってた、と言っておりましたし。
両親は同じ高校に通っていたんですが、その頃は男子学生の帽子が強制だったとか(コクリコ坂でも男子は基本帽子かぶってます)。
で、それを廃止しようとかいう学生集会とかが起こって、どうやら両親在学中に帽子が廃止になったらしいんですね。そういうの聞くと、「今の子とはやっぱり学生集団っていうものの力のありようが違うなあ」と思わずにはいられません。
母親いわく、同級生の山田君(仮)が、
「僕は自分が帽子をかぶるのは全く嫌じゃないけど、帽子をかぶっていないからといって注意されたりするのは嫌だ」
と言ったのが、凄く印象に残っていたらしくて、それを女友達に「かっこいいよね」的なノリで話したところ、
「でもさあ私、山田がこの前電車のつり革につかまって、体操選手の真似してるの見たよ」
と言われて、結局かっこいいこと言っても、やっている行いはバカ丸出しの青春男子生徒だと知って夢が壊れた(苦笑)というような話をしてくれました。
いえ、むしろ変にスカした弁論野郎よりも、山田君(仮)とってもかっけえと思いますけどね、私は(苦笑)
ネタバレ含みます。特に反転もしておりませんので、自己責任において閲覧ください。反転処理もしておりません。
公式サイトの物語上で普通にネタバレしてしまっているので、その程度なら問題ないのだな、と判断したようなレベルです。



















『コクリコ坂から』公式サイト

大変面白かったです。
原作は未読ですが、戦争要素もいれつつ、基本的には主人公海と、少年俊との恋愛話なので、最初から最後まで爽やかに鑑賞できました。

まず、主人公(ヒロイン)の海ちゃんが非常にいい子。
親がいないので、変わりに下宿を営み、朝は誰よりも先に起きて御飯を作る。家事全般を引き受けて、夕飯の支度もしなければならないために、学校には遅くまで居残ることができない。
彼女は毎朝旗をあげる。船乗りだった父親に届くように。
そんなある日、自分で作った弁当を食べている昼休みに、学校内にあるカルチェラタン存続を叫びながら、デモンストレーションとして池に飛び込んだ少年と出会う。
その少年に憧れを抱く妹と共に、海はカルチェラタンを訪れ、埃と、見たこともない部活動を行っている生徒たちと、そして、カルチェラタン新聞を発行する、池に飛び込んだ俊と再会するのだった。

非常によく出来たボーイミーツガールものでした。
海ちゃんがとにかく可愛い。根っからの長女気質で、我慢強くて愚痴も文句も言わない。自由奔放な妹に振り回されて俊と出会い、そして、デートではなく新聞の手伝いをすることによって二人の関係は深くなっていく。 カルチェラタンの存続も、ただ黙って見ているだけではなく、実際に提案しそれを実行に移す行動力が、如何にも長女、という感じです。

いや、自分の感情に自制がききすぎている子って、本当に応援したくなるんだよ!(苦笑)

俊がとある理由からそっけなくなっても、誰に相談するわけでもなく、泣き喚くわけでもなく、ただ懸命に毎日を過ごす。
そして、はっきりと「私が嫌いになったのなら、そう言って」と言えちゃう強さ(というか悩んでいる時間が無駄だという合理性というか)も可愛い。
この場面で別に泣きそうになりながら言うとか、俊の気持ちを引き止めたいとかではなく、純粋に「急変した貴方の態度がきにかかる」というようなケリをつけたい(笑)的な行動力が本当にああ、我慢強い女の子だなあというか。

この主人公である海ちゃんが、「しっかり」と日常生活を営んでいる、という絵がOPずっと表されます。
旗をあげ、髪を結い、お釜のふたを開けて水につけてあるお米を確認し、マッチでガスコンロに火をつける。ハムエッグを作り、育ち盛りの弟の分はハムが何枚か多い。安売りしていたアジでアジフライを作り、洗濯をして、買い物をして、そして、学生として俊や仲間たちと過ごす。
この日常描写があってこその、「御伽噺」なんですよね。
一生懸命生活をしている女の子が、可愛くないわけがない。
その子はしっかり足に地をつけて生きている。
だからこそ、カルチェラタンの混沌として面白おかしい部活動の面々や、俊とのメロドラマのような関係、そしてそのご都合主義的な結末すらも、応援してしまえるファンタジー作品なのだと思います。

全く一からの(ゼロからの)ファンタジーよりも、人間がいて、今生活している基盤があって、そこから「別の世界」に訪れてしまう事こそ「御伽噺」だと思うので、海ちゃんが父親の影ではなく、はっきりと俊という少年と淡い恋愛感情を育てていくのは、恋愛という別の世界の中、現実ファンタジーの中での出来事なのでしょうなあ。

公式サイトの物語の説明にもあるので、ネタバレしますが、物語中盤で俊と海は腹違いの兄妹ではないか、という事実が明らかになります。
俊は海を避けますが、海はその様子に気づいてはっきりと尋ねるのが、前述したシーン。
「私が嫌いになったらそう言って」

その後、二人は別に特別とか背徳的な関係になるわけではありません。俊は実の父親が誰であれ、育ててくれた養父母を尊敬しているし、海は勿論戦争で死んでしまった父親を尊敬している。
その上で海が、「帰ってこないお父さんのかわりに、風間さん(俊)が来たんだって、思うことにしたの。だから、今も、これからも好き」と告げるのが、ある意味ファザコン発言ですが、その逆で、父親から脱却して俊のために旗をあげるという行動に繋がるのではないかと。
そこまで思い切ってやっているのではなく、お父さんのために旗をあげるのが習慣になっていたけれど、そこに、俊のためにあげるっていう比重が大きくなっていく、というかその辺の不器用さ加減がたまりません。

カルチェラタンを取り巻く行動は、学生集会であったり、ガリ版をすったり、校歌を高らかに歌い上げたりと、今の若い子完全にわからない(33歳の私も正直ガリ版はすったことない)でしょうが、だからこそ楽しめます。
日常描写は、今でも通じる家事労働の部分のほかにも、今だとちょとピンとこない、学生生活の「ノリ」も垣間見られて実に面白かったです。

実際戦争描写があるわけではないですし、作中で死亡描写があるわけではありませんが、やはりそこは戦争の影があります。
海ちゃんの父親は機雷にぶつかって死んでいるし、もう一人もまたしかり、です。
主人公の父親たち三人が学生服で映っている写真で、生き残っているのは一人だけ。他の二人は死んでいる。
写真を撮る際に、「お前たち、俺よりも先に死んでくれるなよ」と言った青年はもういない。

海の母親は、俊の生い立ちと過去について、こう語ります。
「戦争中は、こういうことが数え切れないほどあったの。珍しい話じゃなかったのよ」

この一連の流れで、私号泣(苦笑)。
最近涙腺が弱くなったっていうのもありますが、本来死ぬはずではなかった、死ぬ理由、殺される理由もなにもなかった人々が死に、残され、殺さねばならなかったっていう事実を、当事者が淡々と告げている様はもう個人的には涙なくして見られません。

基本的に少女漫画のハッピーエンドですから(原作はちょっとわからないですが)話の展開などは、大変ご都合主義です。
海と俊の関係も、カルチェラタンの存続も、ちゃんと幸せな結末を迎えます。

だからこその、現実あってこその幸せな御伽噺で、あっさりしたラストも含めて非常に良作だと思います。大変面白かったです。

個人的に好きだったシーンは、事実を確かめに海と俊が二人で走るところ。
最初俊が先を行っているんですが、海が追いついて追い抜かす。
体一つ分程度だけ前に行ってから、二人は併走する。
俊は海の手を引いたりしないし、海も真っ直ぐに前を向いて、港へ向かって走る。
こういう海のスタンス(基本一人でなんでもやる)と、俊のスタンス(それを不必要に構ったりしない)が凄く良くて、お互いの信頼関係が見えるようでした。幸せだ。

後、海が下宿していた女医さんを尊敬していて、はっきりと「医者になれればいいなと思っている」と俊に言うのが、凄くこれまた個性的ですね。お嫁さんになりたいとか、そういうんじゃない。 海の自立的な個性がよく出ていると思います。まあ、親の家系が医者だっていうのもあるんですけども。

海についてばかり語りましたが、俊も勿論男前ですよ。優しくて行動力もあって、生い立ちについても必要以上に引きずらず、一人で抱え込まず、自分でちゃんと調べた上で海に事実を告げることができる。
二人の微妙な視線のすれ違いとか、「ああ、ここで俊は海を可愛いと思ってるんだな」っていうのもはっきりわかって、見ていて常ににやにやしっぱなしでしたが。

絵に関しては、同監督作品『ゲド戦記』では、開始早々の海の描写だけで眉間にしわがよったものでしたが、今回は絵の演出に関しても非常によくできていたと思います。
年々キャラクターの顔が可愛いより、きれい系に偏っているのはお約束ですが、それ以外のなんだかよくわからないけれど芋っぽいモブ、その群像シーンも非常に良かったです。
哲学部のいかつい男子生徒と、海の友達の気の強い女の子との恋愛未満みたいな描写、凄く良かったです。花柄のカーテン女の子が作ってきちゃって、それでも断りきれなくて哲学部の部室にちゃんと取り付けちゃうとかね…甘酸っぱい! 青春万歳!(笑)

音楽もいいですし、OPでかかる可愛らしく明るい曲は世界観にあっていてよかったです。
ただ、これ何度もテレビでCF見て思ったんですが、CFで使われている場面に何故殆どカルチェラタンがないのか疑問。
これがネタバレ禁止とかならまだしも、公式サイトの物語で9割はもう内容書かれちゃってますしね。
むしろ、海と俊の関係が深まっていくのはカルチェラタンでなので、その描写が省かれているCFってどうなんかなあとは思いました。大体あのCF暗いというか地味というか。確かに派手な作品ではないでしょうが、明るい、幸せな内容でしたよ。
声の演技はもう慣れちゃった(苦笑)というか、可もなく不可もなく。長澤さんのほうが頑張ってたと思います。

個人的には、アリエッティよりも何倍も面白かったです。あの排他的な恋愛未満のようなぬぐいきれない後味の悪さよりも、何倍も見てよかったと思える映画でした。
『フィリップ! きみを愛してる』公式サイト

愛情をエネルギーにしたバイタリティに脱帽。
これ、一応男性同士の恋愛とかそういう要素もあるのかもしれませんが、基本的には、ジム・キャリー演じる主人公が、ひたすら恋人であるユアン・マクレガーのために詐欺を働いていく、という純粋な恋愛映画でした。
個人的には、せっかく頭も良くて真っ当に働いてりゃいくらでも、二人で幸せな生活が築けたであろうに、何で犯罪に走っちゃうかなあ…と価値観の上では 価値観の上では全く理解できないのですが、それでも、ひたすら恋人のために懸命に努力する主人公に、自然に肩入れしてしまいそうでした。
基本的にはコメディ路線の映画なので、どうやって収監されている刑務所から脱走するか、の脱走劇がキモになるわけですが、これまた「…素直に服役して二人で公明正大に暮らし始めればいいんじゃね?」と思わずにはいられないのですが、その上で「 恋人と一分一秒たりとも離れていたくない」から、弁護士を偽って刑務所から早期出所させるとか、もうお前の愛が行き過ぎていて怖い。
恋人はずっと主人公が嘘をついていた、ついている、ということを知らないままなので、知ってしまってから二人の関係は破綻します。
「君は僕に信じてくれというけれど、全てが嘘だった君の一体何を信じればいい? 君自身が自分の事を何一つわかっていないのに」
結局その後、主人公はエイズであることが判明して、民間の医療施設に移送されます。
「結局、僕たちはおかしな愛のとりこなんだね。君を許せないけれど、僕は君を愛してる。ずっと、そばにいるよ」
そう、恋人の声を電話口から聞きながら、主人公は目を閉じるのでした。

………と、どの後にもまた続きがあるのですが、個人的には「俺の涙を返せ!」と絶叫しそうになりました。まあ、所詮人間は自分の行動力に根付く部分なんて、そうそう変わるもんじゃねえよな…。

ジム・キャリーは胡散臭さ炸裂の主人公を熱演。ただまあ、この人はどう見てもゲイの人には見えませんが…。知らない間にずいぶんオッサンになったなあ、という印象。どうしてもただよう知的さがあるので、逆に胡散臭い詐欺師役はぴったりったらそうなんですけどね。
そして、何といっても恋人役のユアン・マクレガーですよ! なんじゃこの可愛い物体! 勿論ユアンもええ歳なので、そこに薔薇色な世界が広がるわけではないのですが、よくもまあこんな可愛いしぐさ勉強してきたよな、と私ですらむしろユアンを幸せにしたいと思ってしまう始末でした。
別にしぐさが女性的だから可愛いのではなく、構ってあげたい、幸せにしてあげたい、大切にしたい、っていうオーラが満ち溢れすぎていてもうだめ。
刑務所の中で音楽をかけて「一緒に踊ろうよ。踊りたいんだ」とかおねだりされたらもう、こちらも正気ではいられません。
柵越しに走って、「愛してる! スティーブン! 君を愛してる!」なんて絶叫されたらもう、そりゃあ幸せにしてやらんとな、と鼻息も荒くなりますよね。
………だからって犯罪活動にあっさり手を染める主人公はどうかと思いますが…。
ゲイ生活には金がかかる、ってよく言い訳するんですが、そういう問題じゃない。

個人的には、最初から最後までひたすら可愛いユアン・マクレガーを堪能する映画だと思います。オチとかそういうのはまあ別にいいかな、というか。



「三国恋戦記 オトメの兵法!」公式サイト

ずっと「こいせんき」なのかと思ってましたが「れんせんき」でした。


PCで絶大な評判を得たゲームの移植作。
作品名の通り三国志モノですが、個人的には三国志知らなくても全く構わないと思います。むしろ知らないくらいでちょうどいいかもしれません。
どうしても三国志っていうとそれぞれ知っている知識が偏るので(苦笑)。私の場合は横山三国志になっちゃいますしね。
知っていたとしても、作中で「ああこの作戦知ってる」とかそんなもんなので、別に史実の個性に照らし合わせてにやりとする、という類のゲームではありません。
大体それじゃあ、三国志知らない人が楽しめないわけだから、個人的には三国志を知らない人前提にゲーム作りしてますよ、というスタンスは大歓迎です。

設定は、異世界に飛ばされた主人公が、その世界の歴史が見られる本を持って、右往左往(笑)する、というお話。
甘さとしてはキャラクターにもよりますが、結構控えめ。
というか、主要三キャラ(三国君主)のシナリオが優遇されていて、後は波がある感じです。

共通ルートが申し訳ないけれどかなり長いので、シーンそのものをスキップできる潔い機能を使っても時間がかかります。
戦闘シーンというか、やはり三国志モノなので戦闘描写が結構な割合で出てくるのですが、それはあくまで、戦闘が上手くいくかどうかを見守るだけのもの、なのでそこに各キャラの萌えがあるかというと、というのがちょっと勿体無いかな、とは思いました。
逆に言えば、萌えはないのでその手のシーンが始まったら強制スキップでも別に問題ないといえばそれまでなんですが。
その戦闘シーンに至るまでと、至った後では少なからず乙女ゲー要素はありますが、逆にせっかくの戦闘シーンが勿体無いなあとは思います。
個別ルートに入ってからの戦闘シーンは特に、共通ルートで世界観を理解してもらうためににあるわけではないのですから、その戦闘シーンも萌えに生かすだけの工夫が欲しいな、というか。
個別ルートの緊迫感を出すためではなく、そうしないと本の記述が埋まらないから(物語が終わらないから)戦闘シーンがある、だとこっちはもう、個別EDに向けてやる気満々(笑)なのに、興がそがれるんですよね。


主人公は恋愛重視ではなく、自分はこの世界で何ができるのか、また何をしてはいけないのか、をしっかり考えられるいい子ちゃんなので、乙女ゲーの主人公としては全く問題なし。変な無邪気キャラではなく、物事しっかり考えられるいい子です。
ただ、名前デフォルトでも呼んでもらえないのはちょっと…。主人公にデフォルト名がついているのは、そのためだけといっても過言ではないのに。実に勿体無いです。


玄徳
他のキャラクターだと有名名前じゃない方が起用(笑)されているのですが、玄徳はそのまんまなので、個人的には入りやすかったです。
実に王道。頼れるいいおにいちゃんでビジュアルも優遇。主人公の不思議な本の能力を知ってから、
「あまり、その本を使うな」(全部本の中身が埋まっちゃうと主人公が帰っちゃうから)
とか、何気に嫉妬深いシーンも多めで楽しめました。
主人公を気にするが故にすれ違うとか、距離をおくとか、まさに王道。この世界では男女二人だけはNGだから、と主人公も距離をおこうとすれば、
「…妻にすればいいのか? 妻にすればお前は…」
とか、男側が苦悩する様は大変萌えですな! ハハハハ!(笑)
このルートだと、主人公も常に必死で、最終的には
「何で優しくするんですか。玄徳さんなんて好きにならなければ良かった」
と非常に可愛く泣くシーン(その後、怒涛の甘いEDになる)もあって、大変いいルートでした。
王道(デフォルトヒーローというか)だけあって、戦闘シーンや戦略描写が割合多いのも特徴的。


雲長
開始五分で正体もオチも丸分かりだったときは、さすがに遠い目になりましたが、個人的に自分のバックボーンで精一杯で、他人を慮る余裕もない上に、自分の不幸に酔ってる感バリバリなので、個人的には大変ボーク(苦笑)。
芙蓉姫(玄徳軍にいる可愛いおねえちゃん)が雲長を指しての、
「不幸ぶるっていうか孤独ぶるっていう感じがいや」
に腹抱えて笑いました。まさしくそんな感じ。恋愛対象にしなければわりと言っていることもまともですし、芙蓉姫との料理合戦とか、翼徳との会話のやりとりも面白いんですけどね。


翼徳
体のでかい童顔という新たな萌えの新境地ここにあり…!
主人公の正体知って、酔っ払って、
「お前は俺を置いていなくなるんだ。帰るって、言っただろ。行くなよ。俺お前と離れたくない」
とか顔一切見せずに頭頂部のアップで、熊が獲物を抱え込むみたいにして主人公を抱きつぶすスチルで、禿げ萌えました。
基本は脳筋ポジションなので、頭のいい会話(苦笑)はできずとも、他人の心の機微を無意識に察知できるので、
「あいつ、時々寂しそうにしてるから」
とお見舞いに来てくれたりとか、何気にお気遣い紳士です。ありがとうございます。
その後自分も病気になって、
「俺、次目を覚ましたとき、お前がいなかったら寂しくなると思う…」
とか甘えられたときは、大型犬を可愛がるのはこんな気持ちなのだろうかとにやにやしました。
一緒にいたい、だけではなく、「一緒にいてくれると嬉しい」までいえるのが、こいつの男前さですなあ。「離れたくない」とかね。やきもちやくにしても、内に向かわないからハレの印象が強いんですな。個人的にはちゃんと「ごめんなさい」が言える男は好きです。言い訳めいた台詞の前にまず謝罪!(苦笑)
主人公が帰ると決まっても、ちゃんと後押ししてくれますしね。
「俺も寂しいけど、我慢するよ。お前もちょっとだけ我慢すればいい。家族と会えたら、きっと大丈夫だよ。お前が幸せになれるなら、それでいい」
とかね! 苦しい気持ちも全部大切だから笑って見送ろうっていうスタンスが男前。
まあ、結局「お前と一番仲がいいのは俺がいい。ずっと一緒にいたい」と号泣なわけですが、この時点では既に「可愛い奴だなお前!」と何故か父の目線になってしまいます(笑)
個人的に奴の人気がないのは、意味不明な萌え袖が原因なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。あれは、男のシャツをパジャマ代わりにして微笑む女の子だからいいのであって、体のでけえ男がやる服装ではないよ! むしろ筋肉をさらけ出す方向で一つ!


・子龍
主人公の裸を見てしまった後、気合もろとも頭を大木に打ちつけ、
「見ましたが、思い出せません」
という記憶の失い方が笑えました。基本的にピュアっ子というか、多分正統派ショタ枠なのであまり感心はなく。ただ、EDの入り方といい優遇されているのはよく伝わってきました。
というか、CV石田の女子声があまりに違和感がないので倒れた。オカマボイスで笑えるとか言うレベルじゃないよ。
三国君主以外のサブキャラは、あからさまに玄徳軍の三人が恵まれてます。文若とか公瑾は正直薄いので。


・孔明
頑張って萌えようとしたんですが、無理でした。
物語としてはタイムパラドックスに関係していて、ドラマティックなんですが、なんつうか孔明が主人公の事をずっと思い続けているのは自由(勝手というか)なんですが、主人公が孔明に惚れる要素があまりない、というか。
結局過去とか出会い方がどうあれ、現実世界で奇人変人だとキツい(苦笑)
実際孔明が仲間になって(ルートに入っていたとしても)実質乙女ゲー的な展開になるのが、かなり後の方なので、それならそれで物凄い糖度をぶちかましてもらいたかった、というこちらの願望が過ぎたのかもしれませんね。
設定としては
「不思議な本を持った女の子は、不思議な光に導かれて帰りました」
という自分の思いを最初から最後まで押し隠した、っていうような設定です。


・仲謀
等身大つっぱり小僧で、大変萌えました。今回私的なダークホース(笑)。いやあ、てっきり線目とか地味服に萌えるかと思いきや…!
こう、同じ年頃の子が手が触れちゃっただけで右往左往する様を見てにやにや。ああもう、完全に主人公と等身大の目線なんかでゲームやってられっか!(苦笑)
そして確信。私は森久保声のツッパリ小僧に弱い…。いや、わかってたさ…。前から薄々は、な…。

特に元々呉ひいきというのもありますが、仲謀含めてアットホームな孫家が非常にやっていて楽しかったです。
仲謀自身は俺様性格ですが、基本的に名君主であり自由奔放な孟徳や、君主というには正直立場が軽い元徳に比べて、圧倒的に守らなければならないものが大きくて、重いことをはなから自覚しているのも好男子。なんか、若いのに一番大人としてしっかりしてる感じ。口調がやんちゃ小僧なだけで。
仲謀相手だと、主人公もぽんぽん言いたい事が言えるので、主人公とセットで可愛いです。
酒をわざとこぼしてぬらした挙句、
「この人の頭がアンパンでできていればよかったのに」
とか思っちゃうのが笑えた。
挙句の果てに連行されて、
「ヤンキーに絡まれて連れて行かれるような展開だ…」
とか、主人公タフすぎるだろ。

主人公をおんぶして、
「重いのはわかってんだよ。人間一人分なんだから、重いのは当たり前だろ」
とかは、ちょっと泣けた…。若造が言っているのかと思うと余計に…。
「…あんまりくっつくな! しがみつかないで、つかまっていればいいだろ!」
ケエエエエエエエ!(照れ)
その後の背中合わせスチルでは、片方長袖、片方袖なしの痛い衣装の仲謀よりも、パンチラぎりぎりで体育座りする主人公に目が釘付けでした。ゴチソウサマ! いい太もも!(そして仲謀の衣装は本気で謎だ…。どうなってんだあのビジュアル服)

とにかく乙女ゲーイベントが微笑ましいです。手を繋ぎゃあ、
「なんだよ? べ、別にいいだろ手くらい」
とか、お前は…お前…! やきもちイベントがふんだんに盛り込まれているのもいいですね。病んでる方向にいかずに、健全なやきもちっつうか。衣装を贈る際にも、
「玄徳のは着られて、俺のは着られないってのか? それ、そのまま着てろ、一生脱ぐな!」
とかねえ。お前、本当に可愛いな!

このゲームで、告白がオチにならないのは仲謀だけなので、それも新鮮でした。
「好きか、嫌いかくらい分かるだろ! どっちなんだよ」
「き、嫌いじゃないよ」
「じゃあ、好きってことにしとけよ」
のくだりは禿げ萌えました。他にもスチルにはない勘違いイベントとか、要所要所のやきもちイベントは仲謀が一番多いと思います。故にシーン回想がスチルシーンしかないのが惜しい! 仲謀初夜勘違いイベントにはスチルないしね!

他の連中は、最終的に告白しあって終わり、なんですが仲謀はそれ以降もちゃんと話が続きます。
くっついでどうこう、ではなく互いにやること全部成し遂げてからちゃんとくっつく、っていうのが非常に潔い感じでした。

主要三人は、シナリオに恵まれているというより「尺に恵まれている」ので、乙女ゲー的イベントも段階踏んで、たくさん盛り込まれている印象が強いです。サブキャラはどうしても、前半バックボーンの説明、後半怒涛のたたみかけ、になるのでどうしても忙しい印象が強いですし。


・公瑾
最初線目で腹黒だから絶対萌えると思ったんだけどねー(遠い目)。思いがけず萌えませんでした。
やっぱりこの人も主人公以外に大切なものがありすぎる、からだと思います。それに主人公が入り込む余地正直ないのよね、というか。
入り込まないなら、入り込まない部分で恋愛感情抱く(実質愛人的なノリで)ならいいんでしょうが、やはりこの主人公はあくまで「軍師」ポジションであって、世の中をどうこうしたい、どうこうしたくない、っていうスタンスからこちらも離れられないので、純粋に、イケメンと美少女が恋愛っていうスタンスにはどうしてもなれないのが、この場合裏目に出た、って感じでしょうか。
仲謀はある意味、仕事とプライベートしっかり分けられる大人であったのに対し、公瑾は仕事もプライベートも完全に合致しちゃってどうにもならない子供、っていう印象が強かったです。
一番主人公がカウンセラー、というか。お前の過去のトラウマに付き合うほどこっちは暇じゃない。オマケに八つ当たりかこの野郎。

ただ、主人公ご執心イベント(笑)で、主人公の発言に一喜一憂して琵琶の音色が変わる、っていうのは非常に笑えました。音色は口ほどにものを言う、って奴ですな!
最終的には主人公の押しに負けて「…もういいです」と諦めちゃうのは可愛かった。この人、トラウマ過ぎはちゃんと乙女ゲーイベントなんですが、それが=EDになっちゃうので、どうしても甘さとかそういうのには欠けますね。
「まあ、貴方が帰りたいというのであれば、引き止める理由などどこにもありませんけど」
ど、ってなんだ、ど、って!(大喜び)


・孟徳
俺様ポジションなのかと思いきや、俺様ポジションは仲謀の方で、この人どちらかといえば孤高ポジションでした。孤独の塊っつうか、覇王ポジションっていうか。その割りに野心家アピールでもないし、望まぬ天才ポジションっていうんでしょうかね。才能なんてものあったとしてもそんなもの欲しいと思ったことはただの一度もない、っていうやつ(BY BANANAFISH)。
嘘をついているかどうかがわかっちゃう、っていうの、かなりの個性ですよねえ。才能もある男が、しゃべっている相手の嘘を常に見抜いていると思ってゲームをやってると中々台詞一つも深読みできて面白いです。
しかしまあ、声優さんって偉大だなあ。森川ボイスの恩恵かなり受けてるというか、常に砕けた口調で、でも言ってる内容は常に辛らつってこうなんつうかわさびアイスクリームの典型というかとても萌える。
このくだけた口調っていうのが、タメ口ではなくフランクな敬語というか。

「じゃあ、これから頑張ろう。これから俺のことを知ってもらえるように」

とか独語で言われると、ムハッ、となります(笑)
そして、基本優しい。後、最初から最後まで主人公を女の子として扱っているので、見ているこっちはニヤニヤですよ。別にこれ、裏があろうがなかろうが関係ないんですよね。実際腹黒であろうが、常に紳士的な態度(ただし、セクハラ含む。笑)ってのはやっぱり貴重! ツンは人を傷つけないからこそのツン!
ただ常に人を食った優しさ態度なので、主人公側がどれだけ好きだ好きだ言われても、「物珍しいからなんだろうな」と思ってしまうすれ違いがまた萌えます。混じりけなしの好意を向けても、孟徳は将軍なのでそこから逸脱することはないし。

「…俺が怖い?」

とか、森川声で言われると倒れますねどうしたらいいんだどうしたら!
このルート、基本的に主人公の心の機微が描かれることが多いので、そういう意味での萌えにたどり着くのはちょっとスパンが長いかもしれません。後述しますが、「その場面を抜き出しただけで萌えられる」っていうシーンが少ない、っていうのかなあ…。
主人公が色々考えて、その目線で孟徳の行動を判断するシーンが多いって言えばいいのかな。

しかし魏軍は文若もそうですが、玄譲もほんと可愛いですね!(笑)
孟徳との会話で常に被害をこうむる玄譲。あの隻眼を何故落とせないのかメーカー側がFDで補完してくれると思えばいいのかチクショウ。
基本的にも孟徳と主人公の恋のさやあてに巻き込まれて、口では厳しく心では舌打ちしながらもあふれるお人よし個性が止まらないのが玄譲です。
主人公に「会えて嬉しいです!」と言われて
「…そんなに喜ばれる理由がわからんが、まあ元気そうで何よりだな」
と答える玄譲は大変萌えですね。
主人公に泣かれて、
「あああ、ここで泣くな」
とか言われると、何故落とせないのかと血反吐。
実は文若よりも常識者ポジションだという玄譲…。実は私、玄譲が落とせないと知ってPC版買わなかったという過去すらあります。落とせるものだと…思い込んでいたんだあのときは…。
他にも文若をひたすらからかう孟徳とか、魏軍ルートもひたすら部下連中との会話が楽しいですね。呉軍は楽しい家族的な和み要素がありましたが、魏は大人の男連中の個性がそれぞれ面白い、という感じでこちらはこちらで好みです。


・文若
はい、外見惚れ! むすっとした顔に細い目に、眉間のしわ! なんてったって墨色の服装ですよ! この地味野郎! 大好きだ!(笑)
文官で堅物でその通りなんですが、以外に順応性があるというかサバイバル能力に長けている器用者。要するにお前は人付き合いにだけ特化して能力が欠落してるんだろう…クッソ、萌える。
このキャラについては、完全完璧に外見萌え、口調萌え、声優萌え(笑)なので、実際の内容が薄いとかそういうのはあまり気にせず遊べました。少なくとも変な自分のトラウマに主人公を巻き込むことはないですし、玄徳軍以外のルートでの展開として、主人公が帰ってしまうかもしれない恐怖心っていうものがあまり強調されない(こいつ自身が他にやることいっぱいあるので)ので、変にベッタベッタしていないのも良かったです。
自分の主義主張や、ゆるぎないものがちゃんとありすぎて、そこで身動き取れないんだけど、それに他人を巻き込むつもりはないっていうのが大人のスタンスですな。愚痴こぼしたりしないしね。
後、自分の発言で相手を黙らせる気がない(黙って欲しいときは「黙れ」と言う)ので、こっちの一に十返って来て、それにこっちが二十で答えてもおかしくない会話が主人公ともども可愛い。
「大体私は枕がかわると眠れない性質なのだ」
「今は枕そのものがありませんよ」
とか、ぶつくさ言う男にこっちが間髪いれずツッコミする図式が可愛い。

やっぱり政治屋と武将とか将軍とかの恋愛とはちょっと毛色が違いますね。全体的にトーンが重い。いわゆる見せ場としての戦闘シーンが文官だと使えない(その場にいるわけがない)ので、凄く生々しい描写が増えるというか。
その中で主人公が文若を大切にしたいと思っても口に出せない何かがあるというか。そらそうだ。
結局主人公を帰したくないっていう気持ちがある上で、帰らせようとするのではなく、その前に「好きだから帰るな」と言える文若は結構恋愛ごとにおいて押しが強いんだなあ、と思いました。その後ちゃんと謝ってますし、帰らせようと無理してへんにこじらせないストレートさがあるというか。自分の気持ちに気づいたら真っ向勝負っていうか。その裏表のなさが萌える。

後他の連中だと、どうしてもはなから主人公特別扱い(異世界人で孔明の弟子で女の子で)なのに対し、文若は初めから主人公を疑いの目で見ているので、その上で好意を持ってもらえると、純粋に主人公の態度というか行いを評価してくれているようなので、それが非常に好感度高かったです。
文若は主人公が異世界人でなくとも、特別な本を持っていなくても、それこそ特別な関係にならなくても、ちゃんと相手のやっていることを評価してくれる人だというか。社会人になるとこういう人の貴重さがすんげえよくわかる(苦笑)。
この人、声優さんの演技が地味に乙女ゲーに慣れてない(いや、竹本さんはいっぱい乙女ゲー出てますけど)せいか、常に抑揚のないトーンで、かつ常にささやいてるので、聞き取れない台詞が多いのがちょっと難点でした。


CGはどれも高いレベル。アクが強くなくて、立ち絵も素敵で大変好みでした。スチルも全体的なレベル高いし、満足です。ただ、公瑾だけはスチルと立ち絵明らかに別人ですけどね…。惜しいなあ、スチルの外見だったらなあ(苦笑)。

そして、シーン回想が網羅されていないのが非常に納得いきません。スチル未使用のイベントならともかく、CGリストにちゃんと入っているイベントはいくらなんでもシーン回想用意しておいて欲しかったよ…。後で振り返ってシーン回想がないと知ったときの「…またやり直してセーブとっとけってか」的なやさぐれ感は最早オトメではない(苦笑)。


全体的に見て非常に良作だと思うんですが、どうしても物語が勝ちがちな乙女ゲームは、その手のシーンだけより抜いて萌えるっていうのが中々難しいのが個人的には難点です。
例えば、孟徳が急に豹変するシーンがあるのですが、無論、それだけ抜き出しても萌えるんですが、あくまでそれは「今まで主人公が選んできた行動の結果」であって、「それあっての孟徳の行動」だからこその萌え、なわけです。

そうなると、その萌えを味わうには、今まで主人公が選んできた行動の結果の「シナリオ」を全部覚えていなくちゃならない、というような記憶力との戦いみたいになってしまうというか。

シーンだけ抜粋すると、実際その手の行動を起こしてからの回想になってしまいますが、そこに至るまで主人公は、延々考え混んだりしているわけで(主人公の心象描写がこの作品とても多いので)、どうしても「お手軽な萌え」にならないんですよね。

そんなんだったら、毎朝とにかく会いに行けば「同じ顔で同じ台詞で笑ってくれる」っていう、そのゲームを十年間忘れていて、たまたま立ち上げたその瞬間に味わえる萌え、の方が、なんつうか乙女ゲーの真髄っていう気がします。まあこれは以前から重ねて言っている好みの問題ですが…。


最終的な萌えランキング(凄い言葉だ。笑)
仲謀>孟徳>翼徳>文若>玄徳>公瑾>孔明>子龍>雲長>実はいる隠しキャラ(苦笑)
でした。
仲謀はなんつうか、大変正統派乙女ゲーの主人公で、一番恋愛過程がわかりやすい上に、仲謀自身が大変男前なので二重丸。
孟徳はシナリオとしてはいいし、萌えるんですが、初対面での一目惚れ要素はいい加減おばさんには受け入れ難いです(苦笑)。ただ、孟徳は別にその一目惚れ要素が真骨頂ではないので、それ以外は非常に乙女ゲーとしては、病んでる要素含めて満足。
翼徳が上位に入っているのを見て、我ながら「年取ったな…」と思わずにはいられません(苦笑)が、純粋に主人公に好意を向けてくれて、混じりけなしに善意を向けてくれる人っていうのは貴重です。翼徳の場合は自分の過去とか変なトラウマあまり全面に出してこないっていうのがミソ。
文若はキャラとしては大変萌えるんですが、如何せん戦い要素ではなく政治要素が強い人との恋愛は中々難しいなーってことで。ただお前の外見は愛している。その眉間のしわごと。

後、実は地味に声優さんが凄い。いえ、地味って言うのは変ですが、やはり乙女ゲームに起用される声優さんにも流行り廃りというものがあるものですし、昨今はどうしても新人さん起用(勿論それはそれでいいことです)に比重が置かれがちですが、このゲームガチで声優さんが凄い。
中堅どころと言うよりも、ベテランだけ抜粋してお届け、という作りも大変好感度高かったです。演技の安定感は不安材料消し飛ばしてくれますしね。
久しぶりに経験のある声優さんたちの揃った乙女ゲーを遊べた、という意味でも非常に満足。いやー森川、三木ボイスの乙女ゲーなんて贅沢の極みだよなあ、と声優買いしない私ですら思いました。
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