『長谷川潔』展
横浜美術館で、4月29日から、6月26日まで開催されている版画展です。
有名なのは、「マニエール・ノワール」(メゾチント)と呼ばれる技法を編み出してからの作品、大体後期からだと思うのですが、日本で活動をされていたときは当然木版が多いので、皆さんなじみがある、「版画」もたくさん見られます。
個人的には、よりシャープになった銅版画よりも、木版画の方が好みなので、初期の同人誌の表紙など最高でした。
あまり作品が巨大すぎないのもいいですね。
本当に名刺サイズの作品も山ほどあって、それだけに、ただ単品での作品ではなく、依頼されて作った本の表紙であったり、挿絵だったりする「職業絵」であるところが非常に好感が持てます。
ただ作者の本能の赴くままの作品もいいですが、金銭を目的とした商業作品にも、その作者のセンスを出す上手さっていうのは絶対に存在していて、私はその商業作品のセンスを見るのがとても好きなので、初期作品も大変眼福でした。
後期になると収容所生活も含めて(第二次大戦中の画家さんです)精神世界に没入するようになっていくのですが、その上でも描かれた作品が「意味不明」ってことはないので、その態度も好感度高いです。
作品名も「柳」とか「鳥と花瓶」とか、あ、多分作品名どうでもいいんだな的な態度がまたたまりません。
私どうしても芸術家で、自分の作品に気取った名前とか付けているのをみると失笑を禁じえないので。
道具の展示もあって面白かったです。特別な道具を使っているわけではないのでしょうが、プロが使っていたのかと思うとなにやら凄そうな………(笑)。
原版(銅版)も展示してあるのですが、もう、はっきりと彫られているものはわかっても、メゾチントのような細かい技法になっちゃうと、もう肉眼でとらえるの不可能なんじゃ…と思わずにはいられません。あれ、手彫りでどうやってんの? 多分、見る角度によってははっきり判別できるんでしょうけど。
個人的には、しおりが売っていた「柳」と、「開かれた窓」(シリーズ)が良かったです。エコバッグに使われていた鳥も良かったなあ。ちなみに、柳と鳥は葉書大サイズです。可愛いですとても。
長谷川潔さんは生き様も中々カッコよくて、始まりは金持ちのボンボン(おい)なのですが、美術を本格的に始めたのも19歳の頃なので、ある意味遅咲きの人なのですね。油絵を習ったりしている最中に、どうして「自分には版画である」と思ったのかが、とても他人から見ると不思議なのですが…。
芸術家の人が、自らの表現方法を「一つ」に絞るのって、一体どんなきっかけか、インスピレーションがあったのだろうなあといつも思います。
その後、渡仏し生涯フランスで過ごします。フランスから勲章をもらっておりますし、亡くなられたのもフランスだし、奥様もフランス人。うーん、あの時代の人にしては爆裂的におしゃれさんで革新的。
インタビューに答えて、
「メゾチントは凄い技術なのに、作られた作品はつまらない」
とか言い切っちゃうのが凄いよ…。超かっこいいよ…。
その凄い技術を復活させ、芸術作品にまで昇華したものの自負っていうんでしょうかね。
この人も典型的な「海外で先に評価された」方なんだと思いますが、こうやって作品を見ることができて幸せです。
で、その後常設展示を見てウロウロしていたんですが、あまりの寒さに撃沈。
さーむーいー!
寒いったらないよ! 寒すぎる!
冷房のききすぎで、完全に体調を崩す始末でした。死にそうになった。
後はそうですねえ、ともかく、「真夜中の太陽」なんて名前がつけられたミミズみたいなオブジェには仰天しました。
知り合いはその作者が、イサムノグチであったことに仰天してました。
知り合い「ああいうのって、値段なんてあってないようなもんだから、250万円とか言われたら払うんだろうね」
私「私250円でもいらないけどね。玄関から入らないよ、大体」
知り合い「若い頃は、ルネ・マグリットとか、シュールな作品とかって眉間にしわを寄せてでも見なきゃ、って気になったんだけど、歳とってからだと逆にどーでもよくなるわー」
私「ずっとシリアスな作品作ってて、たまに笑える作品を作りたくなる気持ちは凄くよくわかるけど、ずーっとシュールな作品しか作らない人ってやっぱりなんか変なんだろうなあとは思うよ」
知り合い「シュールっていうだけで全てが許されちゃうというか、技術とかそれこそデッサン的に上手い下手もよくわかんないしね」
私「私全部おんなじように見えるよ」
結論からして、シュールはよくわからん、という域に達しました。
日本画のゾーンは面白かったです。
特に、中村岳陵の「砂浜」っていう作品が大変オシャレでした。
屏風なんですけど、砂浜に小鳥が三羽っていうそれだけなんですけど、色合いが絶妙。空の青さが美しいのです。
どうやら写真にも力を入れているらしく、写真のゾーンも充実してました。その頃にはもう頭痛と寒さで息も絶え絶えだったのであまりよく覚えてません。
その代わり、目の前をあるいていたおじいさんおじさん(微妙な年齢)が息を呑むほどのハンサムだったので、凍りつきました。
思わず遠くにいた知り合いを読んでしまったほどの二枚目でしたが、いかん、そんな感想で終わってしまう。
ともかく、横浜美術館はあの寒さをどうにかすべきだと思いました。落ち着いて見られるかい。
横浜美術館で、4月29日から、6月26日まで開催されている版画展です。
有名なのは、「マニエール・ノワール」(メゾチント)と呼ばれる技法を編み出してからの作品、大体後期からだと思うのですが、日本で活動をされていたときは当然木版が多いので、皆さんなじみがある、「版画」もたくさん見られます。
個人的には、よりシャープになった銅版画よりも、木版画の方が好みなので、初期の同人誌の表紙など最高でした。
あまり作品が巨大すぎないのもいいですね。
本当に名刺サイズの作品も山ほどあって、それだけに、ただ単品での作品ではなく、依頼されて作った本の表紙であったり、挿絵だったりする「職業絵」であるところが非常に好感が持てます。
ただ作者の本能の赴くままの作品もいいですが、金銭を目的とした商業作品にも、その作者のセンスを出す上手さっていうのは絶対に存在していて、私はその商業作品のセンスを見るのがとても好きなので、初期作品も大変眼福でした。
後期になると収容所生活も含めて(第二次大戦中の画家さんです)精神世界に没入するようになっていくのですが、その上でも描かれた作品が「意味不明」ってことはないので、その態度も好感度高いです。
作品名も「柳」とか「鳥と花瓶」とか、あ、多分作品名どうでもいいんだな的な態度がまたたまりません。
私どうしても芸術家で、自分の作品に気取った名前とか付けているのをみると失笑を禁じえないので。
道具の展示もあって面白かったです。特別な道具を使っているわけではないのでしょうが、プロが使っていたのかと思うとなにやら凄そうな………(笑)。
原版(銅版)も展示してあるのですが、もう、はっきりと彫られているものはわかっても、メゾチントのような細かい技法になっちゃうと、もう肉眼でとらえるの不可能なんじゃ…と思わずにはいられません。あれ、手彫りでどうやってんの? 多分、見る角度によってははっきり判別できるんでしょうけど。
個人的には、しおりが売っていた「柳」と、「開かれた窓」(シリーズ)が良かったです。エコバッグに使われていた鳥も良かったなあ。ちなみに、柳と鳥は葉書大サイズです。可愛いですとても。
長谷川潔さんは生き様も中々カッコよくて、始まりは金持ちのボンボン(おい)なのですが、美術を本格的に始めたのも19歳の頃なので、ある意味遅咲きの人なのですね。油絵を習ったりしている最中に、どうして「自分には版画である」と思ったのかが、とても他人から見ると不思議なのですが…。
芸術家の人が、自らの表現方法を「一つ」に絞るのって、一体どんなきっかけか、インスピレーションがあったのだろうなあといつも思います。
その後、渡仏し生涯フランスで過ごします。フランスから勲章をもらっておりますし、亡くなられたのもフランスだし、奥様もフランス人。うーん、あの時代の人にしては爆裂的におしゃれさんで革新的。
インタビューに答えて、
「メゾチントは凄い技術なのに、作られた作品はつまらない」
とか言い切っちゃうのが凄いよ…。超かっこいいよ…。
その凄い技術を復活させ、芸術作品にまで昇華したものの自負っていうんでしょうかね。
この人も典型的な「海外で先に評価された」方なんだと思いますが、こうやって作品を見ることができて幸せです。
で、その後常設展示を見てウロウロしていたんですが、あまりの寒さに撃沈。
さーむーいー!
寒いったらないよ! 寒すぎる!
冷房のききすぎで、完全に体調を崩す始末でした。死にそうになった。
後はそうですねえ、ともかく、「真夜中の太陽」なんて名前がつけられたミミズみたいなオブジェには仰天しました。
知り合いはその作者が、イサムノグチであったことに仰天してました。
知り合い「ああいうのって、値段なんてあってないようなもんだから、250万円とか言われたら払うんだろうね」
私「私250円でもいらないけどね。玄関から入らないよ、大体」
知り合い「若い頃は、ルネ・マグリットとか、シュールな作品とかって眉間にしわを寄せてでも見なきゃ、って気になったんだけど、歳とってからだと逆にどーでもよくなるわー」
私「ずっとシリアスな作品作ってて、たまに笑える作品を作りたくなる気持ちは凄くよくわかるけど、ずーっとシュールな作品しか作らない人ってやっぱりなんか変なんだろうなあとは思うよ」
知り合い「シュールっていうだけで全てが許されちゃうというか、技術とかそれこそデッサン的に上手い下手もよくわかんないしね」
私「私全部おんなじように見えるよ」
結論からして、シュールはよくわからん、という域に達しました。
日本画のゾーンは面白かったです。
特に、中村岳陵の「砂浜」っていう作品が大変オシャレでした。
屏風なんですけど、砂浜に小鳥が三羽っていうそれだけなんですけど、色合いが絶妙。空の青さが美しいのです。
どうやら写真にも力を入れているらしく、写真のゾーンも充実してました。その頃にはもう頭痛と寒さで息も絶え絶えだったのであまりよく覚えてません。
その代わり、目の前をあるいていたおじいさんおじさん(微妙な年齢)が息を呑むほどのハンサムだったので、凍りつきました。
思わず遠くにいた知り合いを読んでしまったほどの二枚目でしたが、いかん、そんな感想で終わってしまう。
ともかく、横浜美術館はあの寒さをどうにかすべきだと思いました。落ち着いて見られるかい。
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