『バテンカイトス2』公式サイト
結局、なんだかんだでクリアまで80時間くらいかかりました。
ただこれも、私の要領の悪いプレイの仕方、またサブクエストをやらないで進めれば、正直50時間くらいまで短縮できるんじゃないかと思います。
◆戦闘
以下、以前のブログにあげた記事の抜粋、補足です。
今回戦闘が簡単になった分、非常に暇をもてあましております。
正直戦闘が始まると、画面半分漫画半分といったところで、半分以上は画面を見ていない感じです。
以前のコマンド入力は、一秒たりとも待ってくれないシビアなものだったので、
「A」→「B」→「C」
と入力すれば、
「B」を入力→Aのコマンドが実行される→「C」を入力→Bのコマンドが実行される
というふうに、リアルタイムでキャラクターの動きがくっついてきたのですが、今回はそれがなく、仲間三人のコマンドを全部入力(途中敵が割り込めばその限りではない)してから行動が開始されるので、動き始めた途端にすることないんですよね。
それから先は、また自分のターンが回ってくるまで一切何もしないですみます。ボタンで送る必要もないし、仲間三人、敵四人とかの攻撃を延々エフェクトつきで流されているだけなんですよ。
まあ正直、そんなの見てられませんわな。
古き時代のRPGは勿論、自分がコマンド入力をする、敵が攻撃する、自分が~の繰り返しであったわけですが、その時と戦闘そのものにかかる速さが違いますし(エフェクトなどのせいで)、まだ、「ゆうしゃのこうげき!」などの後に自ら「ボタンを押さねば進まない」という操作してる感があったから苦にならなかったわけですが、これはただ勝手に流れるだけですからね。
雑魚敵でも5分かかる戦闘が、前作でもネックだったものですが、今回もそれは改善されていないようで、残念です。
マグナス(カードデッキのようなもの)を選ぶ過程そのものも、単純になったから楽になったかと思いきや、前作ではオッケーだった、ペアや、大きい数字からのストレート、もしくはそんなん気にしないでとにかく適当に並べる、という仕様ではなく、とにかく小さい数字からのストレートを作るしかないので、前作以上に使えないカードを捨てるという手間が明らかに増えました。
まだ、相手の防御でカードを処理しているほうが、戦っているという感覚的にはマシでしたね。
ただただ、自分の順番が回ってきても、大きい数字ばかりで使えないからとカードを五枚も六枚も捨てるのは、かなり空しい作業です。
前作の戦闘は時間がかかる割りに、常に緊張感が漂うものでしたが、今作に関しては時間は相変わらずかかるけど緊張感はかけらもないという、戦闘システムに関しては明らかに退化したデキになっていると思います。
以上が抜粋部分ですが、戦闘システムに関しては後半になっても印象は全く変わりませんでした。
ボス戦になると、どれだけコンボを続けるかが肝になってくるので、ボス戦は凄く楽しいんですが、雑魚戦だとつらいというか。
難しくはないけれど、面倒というか中だるみするというか。
特に後半になってくると、必要な回復アイテムを使えるのが、ギロというキャラクター一人だけになってしまうので、必然的に回復役は固定しなければならない。
すると、残りの二人で攻撃をするわけですから、マグナスデッキの中身なんてほぼ固定になっちゃうわけです。
無駄なカードを捨てる時間が勿体ないから、なるべくデッキ数を少なくして、なんてやってると、必殺技ひとつ取っても固定になっちゃいますね。
初めの頃は、相手の属性に合わせてデッキを組みなおすとかやってたんですが、最後のほうはもう面倒になっちゃって、普通に威力の強い武器と必殺技でゴリ押しでした。
効率がいいかどうかは別として、属性に合わせたデッキで挑もうが、力押しで挑もうが、結局は漫画の時間は存在するわけですから。
ただ、戦闘エフェクトやカメラワークに関しては、後半になって色々な必殺技が使えるようになると、見ごたえ満載でした。
名前ひとつとってもセンスがいいし、勿論演出も抜群。
マグナスの組み合わせによっては、同じ攻撃でも地味に名称が違ったり、炎と炎をつなげたり、逆に炎と氷をつなげると、同じ必殺技でも威力や名称が違ったり、と細かな部分では非常にたのしめまし。
このへん、後述するアイテム関連のセンスと通じるものがあるかと。
◆システムなど
基本的に、大陸をまたにかけて進む物語なので、かかっている時間のおよそ半分は、大陸間の移動にかけている気がしてなりません。
このゲーム、いわゆる町と町を瞬間移動できる呪文、とかそういうものはありませんし、町ひとつとっても割合歩かされることが多いので、街中を歩き船着場まで行きかつ全体マップで行きたい大陸を選んで、到着後また行きたい場所まで行く、という若干時間がかかる作りになっています。
普通に進めている分には、それほど苦になるわけではないのですが、本題から離れて、サブクエストで、色々な町を行ったりきたりする必要がある場合は、正直手間がかかります。
大陸間の移動ひとつとっても、主人公が新たに「表敬訪問」や協力を求めるために赴く場合は、やはり手間であっても、自ら船に乗っていく、という演出は必要でしょうが、ただ、セーブポイントで特定の場所(物語とは関係のない、サブクエストなどに関わる場所)にワープできちゃうっていう、相反する機能があると、つい、町と町の間もワープできればいいのに、と思ってしまいます。
前作も、マグナス(カードバトルのような戦闘時に扱うカードの名称)の整理が非常にしづらい、ということを述べたのですが、そういった、基本システムは概ね大丈夫なんだけど、世界観などの作りこみに比べるとちょっと甘いという印象が強くなってしまいます。
はたで見れば十分なデキなのですが、他の要素のレベルが高いだけに、ちょっとした不備でも気になるんですよね。
有名なバグが多いのも、その印象に拍車をかけるような気がします。
システムは演出面においては非常にいいデキで、アイテムひとつとっても、用途説明の他に必ず、ひとくさり文章が入ります。
例えば、これ体力が回復するアイテムの説明なのですが、
『オオボダイの切り身』 体力が回復する。
ナシラの名産。
サギの大好物。
「ミリィ、はらわたは残しちゃ駄目だよ」
もう、最後の説明文なんて説明じゃないですからね。(ちなみに私はこの説明文を見た瞬間に、サギへの高感度がうなぎのぼりしました)
これ、全部のアイテムにほぼあります。台詞がついていないこともありますが、ただ「体力が回復する」だけでなく、なんかこう、言わずにはいられない何かが必ず入るのです。
普通は、「体力が回復する」くらいで説明文は終わるのでしょうが、むしろこのゲーム、後半にかけているかのように、気合の入った文章が読めます。
これを読んでいるだけで、凄く楽しいです。
『土芋の煮っころがし』ギロの大好物。「小娘! ぬしに似合いの料理だぞ!」
とかねえ。これだけで、言っているキャラクター(当然この場合はギロが小娘(ミリィ)に言っている)の個性もわかるし、言われている相手の個性もわかるし、二人の関係もなんとなくわかるしで、このセンスはお見事の一言でした。
こういうちょっとした文章って、何気にキャラクターの個性を表したり、遊ぶ側の想像力が刺激されたりするので、実に侮れません。
◆グラフィック
基本的に前作の流用………もとい、世界観が同じなのでとやかく言うものではないと思います。高レベルを保っておりますし。
強いて言えば、キャラデザがあっさり目になった、くらいでしょうか。
◆音楽
桜庭の本気再び。
これも前作からの流用が殆どなのですが、根底に漂う暗いムードや、そのゲームの顔とも呼べる通常戦闘時の音楽は最高です。
今回はそれほどボイスつきのBGMはなかったのですが、逆に旧人類の私から見ると、正統派でよかったです。
◆物語
今作の舞台は、『バテンカイトス』から20年前の世界になります。
見知った登場人物の若かりし頃が出てきたり、過去ではどうだったか、が明らかになるゲームですので、根本的には単独で遊ぶよりは、やはり続編という位置づけが正しいようです。
まあどちらにせよ、根底に流れるものは暗いですが、前作よりも軽いノリで見られるのは、基本的にはボーイ・ミーツ・ガールの話だからなのです。
主人公のサギも、ヒロインのミリィも、それぞれに抱えるものはあるけれど、なんだろう、負の方向に関して感情が向かないんですよね。
落ち込んだり、憤ることもあるけれど、それはほんの一瞬で、喜びや楽しみのほうに重きを置く性格というのが、非常にこちらとしても救われる原因になっています。
もうそうでないと、自分はなんのために生まれたんだ的な思考に延々陥っても無理ないくらいですから。
サギもミリィも、「それはそれだけど私はやっぱり貴方が好き!」っていう主張にためらいがないんですよ。
そんな意味では、サギはすげえ女たらしなんだと思います。
マキナ(機械)化を強引に各国に進めようとする、バアルハイト。
それを防ごうとするネロの部下となり、主人公のサギは、正体不明の人形ギロと、少女ミリィと世界を回ることになる。
各地で出会う人々、武力を行使しようとする軍、そして『マルペルシュロの嗣子』とは。
嗣子が滅ぼされるたびに、何故サギは見知らぬ土地へ飛ばされ、知らぬ名で呼ばれるのかー。
それぞれに、自らの中に抑えきれぬ何かを抱え、世界はどう動くのか。
一作目で不明だった部分も含め、新たな解説も明らかになり、軽いながらも話は王道で進みます。
◆キャラクター
『精霊』
今回もプレイヤーキャラは、主人公サギの中にいる精霊という位置づけでですが、前作よりも大成功していると思います。
まずサギが、対人関係ちゃんと作れる(笑)、どちらかといえば穏やかでやさしい人間なので、精霊に対してもちゃんとかまってくれます。
そして、何より物語を進めていく上で、どこかの世界から来たよくわかんない存在、という前作の設定ではなく、ちゃんとした自分がいる意味、サギの中に存在してしまっている意味があります。
その設定に無理はないですし、その設定だからこそ、「ああ、あれはああだったんだ」と納得もできますし。
何より最後に、勝手にもとの世界に強制退去させられるなんてこともないですしね!(苦笑)
『サギ』
暗殺部隊に身をおく主人公。
母親のために金を稼ごうとするような心優しい性格をしており、暴走しがちな面々をまとめる苦労性。
前作のなんだかスレた主人公と比べると、まぶしいくらいに普通の純朴少年です。
その分、始めたばかりの頃は印象が凄く薄かったんですが、話を進めるにつれ、己の過去や生まれた理由などがわかるようになってから、怒らなければいけないところで、真っ直ぐに憤りをあらわにできる非常に強い人間であるということがわかります。
誰も嫌いにならない、真正直な人間というところでしょうか。
とにかく、憤ることがあっても理由は正当なものですし、かつ、問答無用で赦せるタイプなので、応援したくなってしまいます。
かつて敵であった人間も、「これ以上は意味がない」と赦せる人間っていうのは、まさにできすぎ。
その優しいサギが、最後の最後で敵に対して「お前は存在してはいけない! 消えてなくなれ!」と(反転)同じ人間(反転終了)に対して言う場面は、まさに圧巻。
女性にもモテモテで、仲間にも恵まれている、抱えているものは暗くとも決して道を踏み外さない正しい主人公でした。
本当にねえ、前作の主人公に言ってきかせてやりたいよ!
『ギロ』
サギと共に戦う、正体不明の謎の人形。男と女の両方の声で話す、戦闘機械。
謎という謎は殆どなくミリィとの会話の掛け合いを楽しむようなキャラクターです。
ですが、パーティーの中で(今回は固定)会話を盛り上げるのは、殆どギロ絡みです。
ミリィとの漫才は必見。一番冷静で、状況がわかるのもギロですし、ギロは疑うこともなく精霊の存在を信じているので、こちらにもちゃんと話しかけてくれます。
後半になると、攻撃力も必殺技のバリエーションも一番あるのに、何故か回復役として使わなければならない羽目になる、不遇な状態に陥る、ある意味悲しい存在です。
『ミリィ』
今作のヒロイン。
サギほどではないですが、抱えるものが重いヒロイン。
非常に気が強く、すねてみせたり、ギロとは顔を合わせれば喧嘩で、サギが他の女の子と話せばやきもち。
よくも悪くも、非常に女の子らしい女の子です。
前作のヒロインシェラのように、抱えているものが大きすぎて、ある意味恋愛感情などとは遠い場所にいる設定とは違い、好きなものはちゃんと好き、という意思表示ができる可愛い女の子という感じでしょうか。
それでも、決断力は抜群だし、何より戦闘エフェクトが一番かっこいいという、根性はやっぱり太いバテンカイトスのヒロインなのでした。
『バアルハイト』
ある意味元凶の男。個人的には、二枚目じゃないけれど二枚目に見える味のある顔立ちは超好みでした。
このシリーズは本当に長髪の男が二枚目だなあ!
『ネロ』
サギのいわば上司。声がやたらに渋い(バアルハイトもとにかく渋い)。若い頃のゲルドブレイム(前作の皇帝)と、真剣にあっちの関係だったことが、終わり近くでわかったときは、ドン引きした。
『シャナト』
あごにノリをはりつけたような、濃い顔代表のような男。もうここまでくると、二枚目とか三枚目とかそんなジャンルには意味がないように思える。そんな彼だが、今作でぶっちぎりの萌えを見せ付けてくれた。
ある程度の地位もあり、実力もあるが、抱えているものが重過ぎて、一人ではもてない弱さとか、その上で、養女(幼女ではない)を真剣に心配する様とかもう、お前何なんだよ!
他にも、幼い頃からレイドカーンは超二枚目だったり、ギバリはやっぱりアホウだったり、大ドロンコが、世慣れた感じのすんげえ二枚目だったりと、見ごたえ満載の登場人物たちでした。
続編としては当然買い。
でもはやり、これは単品として遊ぶものではなく、忌み嫌われるマルペルシュロと呼ばれる『神』の物語を読んでから、実際の神の姿を垣間見るものだと思います。
これだけ質の高いRPGがGC出ているのを見ると、こう、もっと頑張れ色々、と自分も含めて唸ってしまいますね。
結局、なんだかんだでクリアまで80時間くらいかかりました。
ただこれも、私の要領の悪いプレイの仕方、またサブクエストをやらないで進めれば、正直50時間くらいまで短縮できるんじゃないかと思います。
◆戦闘
以下、以前のブログにあげた記事の抜粋、補足です。
今回戦闘が簡単になった分、非常に暇をもてあましております。
正直戦闘が始まると、画面半分漫画半分といったところで、半分以上は画面を見ていない感じです。
以前のコマンド入力は、一秒たりとも待ってくれないシビアなものだったので、
「A」→「B」→「C」
と入力すれば、
「B」を入力→Aのコマンドが実行される→「C」を入力→Bのコマンドが実行される
というふうに、リアルタイムでキャラクターの動きがくっついてきたのですが、今回はそれがなく、仲間三人のコマンドを全部入力(途中敵が割り込めばその限りではない)してから行動が開始されるので、動き始めた途端にすることないんですよね。
それから先は、また自分のターンが回ってくるまで一切何もしないですみます。ボタンで送る必要もないし、仲間三人、敵四人とかの攻撃を延々エフェクトつきで流されているだけなんですよ。
まあ正直、そんなの見てられませんわな。
古き時代のRPGは勿論、自分がコマンド入力をする、敵が攻撃する、自分が~の繰り返しであったわけですが、その時と戦闘そのものにかかる速さが違いますし(エフェクトなどのせいで)、まだ、「ゆうしゃのこうげき!」などの後に自ら「ボタンを押さねば進まない」という操作してる感があったから苦にならなかったわけですが、これはただ勝手に流れるだけですからね。
雑魚敵でも5分かかる戦闘が、前作でもネックだったものですが、今回もそれは改善されていないようで、残念です。
マグナス(カードデッキのようなもの)を選ぶ過程そのものも、単純になったから楽になったかと思いきや、前作ではオッケーだった、ペアや、大きい数字からのストレート、もしくはそんなん気にしないでとにかく適当に並べる、という仕様ではなく、とにかく小さい数字からのストレートを作るしかないので、前作以上に使えないカードを捨てるという手間が明らかに増えました。
まだ、相手の防御でカードを処理しているほうが、戦っているという感覚的にはマシでしたね。
ただただ、自分の順番が回ってきても、大きい数字ばかりで使えないからとカードを五枚も六枚も捨てるのは、かなり空しい作業です。
前作の戦闘は時間がかかる割りに、常に緊張感が漂うものでしたが、今作に関しては時間は相変わらずかかるけど緊張感はかけらもないという、戦闘システムに関しては明らかに退化したデキになっていると思います。
以上が抜粋部分ですが、戦闘システムに関しては後半になっても印象は全く変わりませんでした。
ボス戦になると、どれだけコンボを続けるかが肝になってくるので、ボス戦は凄く楽しいんですが、雑魚戦だとつらいというか。
難しくはないけれど、面倒というか中だるみするというか。
特に後半になってくると、必要な回復アイテムを使えるのが、ギロというキャラクター一人だけになってしまうので、必然的に回復役は固定しなければならない。
すると、残りの二人で攻撃をするわけですから、マグナスデッキの中身なんてほぼ固定になっちゃうわけです。
無駄なカードを捨てる時間が勿体ないから、なるべくデッキ数を少なくして、なんてやってると、必殺技ひとつ取っても固定になっちゃいますね。
初めの頃は、相手の属性に合わせてデッキを組みなおすとかやってたんですが、最後のほうはもう面倒になっちゃって、普通に威力の強い武器と必殺技でゴリ押しでした。
効率がいいかどうかは別として、属性に合わせたデッキで挑もうが、力押しで挑もうが、結局は漫画の時間は存在するわけですから。
ただ、戦闘エフェクトやカメラワークに関しては、後半になって色々な必殺技が使えるようになると、見ごたえ満載でした。
名前ひとつとってもセンスがいいし、勿論演出も抜群。
マグナスの組み合わせによっては、同じ攻撃でも地味に名称が違ったり、炎と炎をつなげたり、逆に炎と氷をつなげると、同じ必殺技でも威力や名称が違ったり、と細かな部分では非常にたのしめまし。
このへん、後述するアイテム関連のセンスと通じるものがあるかと。
◆システムなど
基本的に、大陸をまたにかけて進む物語なので、かかっている時間のおよそ半分は、大陸間の移動にかけている気がしてなりません。
このゲーム、いわゆる町と町を瞬間移動できる呪文、とかそういうものはありませんし、町ひとつとっても割合歩かされることが多いので、街中を歩き船着場まで行きかつ全体マップで行きたい大陸を選んで、到着後また行きたい場所まで行く、という若干時間がかかる作りになっています。
普通に進めている分には、それほど苦になるわけではないのですが、本題から離れて、サブクエストで、色々な町を行ったりきたりする必要がある場合は、正直手間がかかります。
大陸間の移動ひとつとっても、主人公が新たに「表敬訪問」や協力を求めるために赴く場合は、やはり手間であっても、自ら船に乗っていく、という演出は必要でしょうが、ただ、セーブポイントで特定の場所(物語とは関係のない、サブクエストなどに関わる場所)にワープできちゃうっていう、相反する機能があると、つい、町と町の間もワープできればいいのに、と思ってしまいます。
前作も、マグナス(カードバトルのような戦闘時に扱うカードの名称)の整理が非常にしづらい、ということを述べたのですが、そういった、基本システムは概ね大丈夫なんだけど、世界観などの作りこみに比べるとちょっと甘いという印象が強くなってしまいます。
はたで見れば十分なデキなのですが、他の要素のレベルが高いだけに、ちょっとした不備でも気になるんですよね。
有名なバグが多いのも、その印象に拍車をかけるような気がします。
システムは演出面においては非常にいいデキで、アイテムひとつとっても、用途説明の他に必ず、ひとくさり文章が入ります。
例えば、これ体力が回復するアイテムの説明なのですが、
『オオボダイの切り身』 体力が回復する。
ナシラの名産。
サギの大好物。
「ミリィ、はらわたは残しちゃ駄目だよ」
もう、最後の説明文なんて説明じゃないですからね。(ちなみに私はこの説明文を見た瞬間に、サギへの高感度がうなぎのぼりしました)
これ、全部のアイテムにほぼあります。台詞がついていないこともありますが、ただ「体力が回復する」だけでなく、なんかこう、言わずにはいられない何かが必ず入るのです。
普通は、「体力が回復する」くらいで説明文は終わるのでしょうが、むしろこのゲーム、後半にかけているかのように、気合の入った文章が読めます。
これを読んでいるだけで、凄く楽しいです。
『土芋の煮っころがし』ギロの大好物。「小娘! ぬしに似合いの料理だぞ!」
とかねえ。これだけで、言っているキャラクター(当然この場合はギロが小娘(ミリィ)に言っている)の個性もわかるし、言われている相手の個性もわかるし、二人の関係もなんとなくわかるしで、このセンスはお見事の一言でした。
こういうちょっとした文章って、何気にキャラクターの個性を表したり、遊ぶ側の想像力が刺激されたりするので、実に侮れません。
◆グラフィック
基本的に前作の流用………もとい、世界観が同じなのでとやかく言うものではないと思います。高レベルを保っておりますし。
強いて言えば、キャラデザがあっさり目になった、くらいでしょうか。
◆音楽
桜庭の本気再び。
これも前作からの流用が殆どなのですが、根底に漂う暗いムードや、そのゲームの顔とも呼べる通常戦闘時の音楽は最高です。
今回はそれほどボイスつきのBGMはなかったのですが、逆に旧人類の私から見ると、正統派でよかったです。
◆物語
今作の舞台は、『バテンカイトス』から20年前の世界になります。
見知った登場人物の若かりし頃が出てきたり、過去ではどうだったか、が明らかになるゲームですので、根本的には単独で遊ぶよりは、やはり続編という位置づけが正しいようです。
まあどちらにせよ、根底に流れるものは暗いですが、前作よりも軽いノリで見られるのは、基本的にはボーイ・ミーツ・ガールの話だからなのです。
主人公のサギも、ヒロインのミリィも、それぞれに抱えるものはあるけれど、なんだろう、負の方向に関して感情が向かないんですよね。
落ち込んだり、憤ることもあるけれど、それはほんの一瞬で、喜びや楽しみのほうに重きを置く性格というのが、非常にこちらとしても救われる原因になっています。
もうそうでないと、自分はなんのために生まれたんだ的な思考に延々陥っても無理ないくらいですから。
サギもミリィも、「それはそれだけど私はやっぱり貴方が好き!」っていう主張にためらいがないんですよ。
そんな意味では、サギはすげえ女たらしなんだと思います。
マキナ(機械)化を強引に各国に進めようとする、バアルハイト。
それを防ごうとするネロの部下となり、主人公のサギは、正体不明の人形ギロと、少女ミリィと世界を回ることになる。
各地で出会う人々、武力を行使しようとする軍、そして『マルペルシュロの嗣子』とは。
嗣子が滅ぼされるたびに、何故サギは見知らぬ土地へ飛ばされ、知らぬ名で呼ばれるのかー。
それぞれに、自らの中に抑えきれぬ何かを抱え、世界はどう動くのか。
一作目で不明だった部分も含め、新たな解説も明らかになり、軽いながらも話は王道で進みます。
◆キャラクター
『精霊』
今回もプレイヤーキャラは、主人公サギの中にいる精霊という位置づけでですが、前作よりも大成功していると思います。
まずサギが、対人関係ちゃんと作れる(笑)、どちらかといえば穏やかでやさしい人間なので、精霊に対してもちゃんとかまってくれます。
そして、何より物語を進めていく上で、どこかの世界から来たよくわかんない存在、という前作の設定ではなく、ちゃんとした自分がいる意味、サギの中に存在してしまっている意味があります。
その設定に無理はないですし、その設定だからこそ、「ああ、あれはああだったんだ」と納得もできますし。
何より最後に、勝手にもとの世界に強制退去させられるなんてこともないですしね!(苦笑)
『サギ』
暗殺部隊に身をおく主人公。
母親のために金を稼ごうとするような心優しい性格をしており、暴走しがちな面々をまとめる苦労性。
前作のなんだかスレた主人公と比べると、まぶしいくらいに普通の純朴少年です。
その分、始めたばかりの頃は印象が凄く薄かったんですが、話を進めるにつれ、己の過去や生まれた理由などがわかるようになってから、怒らなければいけないところで、真っ直ぐに憤りをあらわにできる非常に強い人間であるということがわかります。
誰も嫌いにならない、真正直な人間というところでしょうか。
とにかく、憤ることがあっても理由は正当なものですし、かつ、問答無用で赦せるタイプなので、応援したくなってしまいます。
かつて敵であった人間も、「これ以上は意味がない」と赦せる人間っていうのは、まさにできすぎ。
その優しいサギが、最後の最後で敵に対して「お前は存在してはいけない! 消えてなくなれ!」と(反転)同じ人間(反転終了)に対して言う場面は、まさに圧巻。
女性にもモテモテで、仲間にも恵まれている、抱えているものは暗くとも決して道を踏み外さない正しい主人公でした。
本当にねえ、前作の主人公に言ってきかせてやりたいよ!
『ギロ』
サギと共に戦う、正体不明の謎の人形。男と女の両方の声で話す、戦闘機械。
謎という謎は殆どなくミリィとの会話の掛け合いを楽しむようなキャラクターです。
ですが、パーティーの中で(今回は固定)会話を盛り上げるのは、殆どギロ絡みです。
ミリィとの漫才は必見。一番冷静で、状況がわかるのもギロですし、ギロは疑うこともなく精霊の存在を信じているので、こちらにもちゃんと話しかけてくれます。
後半になると、攻撃力も必殺技のバリエーションも一番あるのに、何故か回復役として使わなければならない羽目になる、不遇な状態に陥る、ある意味悲しい存在です。
『ミリィ』
今作のヒロイン。
サギほどではないですが、抱えるものが重いヒロイン。
非常に気が強く、すねてみせたり、ギロとは顔を合わせれば喧嘩で、サギが他の女の子と話せばやきもち。
よくも悪くも、非常に女の子らしい女の子です。
前作のヒロインシェラのように、抱えているものが大きすぎて、ある意味恋愛感情などとは遠い場所にいる設定とは違い、好きなものはちゃんと好き、という意思表示ができる可愛い女の子という感じでしょうか。
それでも、決断力は抜群だし、何より戦闘エフェクトが一番かっこいいという、根性はやっぱり太いバテンカイトスのヒロインなのでした。
『バアルハイト』
ある意味元凶の男。個人的には、二枚目じゃないけれど二枚目に見える味のある顔立ちは超好みでした。
このシリーズは本当に長髪の男が二枚目だなあ!
『ネロ』
サギのいわば上司。声がやたらに渋い(バアルハイトもとにかく渋い)。若い頃のゲルドブレイム(前作の皇帝)と、真剣にあっちの関係だったことが、終わり近くでわかったときは、ドン引きした。
『シャナト』
あごにノリをはりつけたような、濃い顔代表のような男。もうここまでくると、二枚目とか三枚目とかそんなジャンルには意味がないように思える。そんな彼だが、今作でぶっちぎりの萌えを見せ付けてくれた。
ある程度の地位もあり、実力もあるが、抱えているものが重過ぎて、一人ではもてない弱さとか、その上で、養女(幼女ではない)を真剣に心配する様とかもう、お前何なんだよ!
他にも、幼い頃からレイドカーンは超二枚目だったり、ギバリはやっぱりアホウだったり、大ドロンコが、世慣れた感じのすんげえ二枚目だったりと、見ごたえ満載の登場人物たちでした。
続編としては当然買い。
でもはやり、これは単品として遊ぶものではなく、忌み嫌われるマルペルシュロと呼ばれる『神』の物語を読んでから、実際の神の姿を垣間見るものだと思います。
これだけ質の高いRPGがGC出ているのを見ると、こう、もっと頑張れ色々、と自分も含めて唸ってしまいますね。
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