『ゴールデンスランバー』公式サイト
主演堺氏と聞いたら見ないわけには、とレイトショーで鑑賞したんですが、個人的にはいまひとつでした。
二時間二十分も逃走劇に付き合うためには、途中で中だるみせず、ぐいぐいと「次が気になる要素」と入れて欲しいのですが、この物語基本的に「どう逃げるか」という部分には重きを置いていないようなのです。
結局、過去大学時代に過ごした日々。バイトでお世話になった人たち。大人になって勤めた職場の同僚。そういった、主人公の人柄を信じている人たちが手助けをしてくれる物語なので、究極のご都合主義っていったらそうなんですよね。
別に、どうやって逃げるかとか、黒幕の正体はとか、そういうスリルとかサスペンスの部分に元々重きを置いていない、空想小説みたいな内容の映画でした。
主人公自身が逃げるために奔走するとか、真犯人を探し出す、とかいう「逃亡者」のような話ではないのですね。
そっち路線で想像していたので、個人的には肩透かしな印象が強い映画になってしまいました。
そうなってくると、最後に主人公が「助かる」のはわかってしまうし、助かった後の伏線の回収も、大方読めてしまうのです。
それぞれ感情の起伏に乏しい人たち(誰も彼もが泣き喚いたりそういうことはない)なので、見ている側は重くなく見られる、物語も演出もそんな感じ、という生ぬるい青春群像みたいな話でした。
二時間オーバーではなく、一時間五十分くらいで、すっきりとまとめてもらったほうが、活劇として楽しめたかも。
伊東四郎さん演じる父親とのやり取りは、マスコミ報道の酷さもあいまって非常に感動的で良かったです。
役者陣は文句なし。全員お上手な方ばかりですしね。ベンガルさん久しぶりに画面で見られて嬉しかったなあ。
『七人の侍』
やっと見ました黒澤侍。
結論からいえば、長っげえ!
前後半に分かれておまけに休憩入るって、どんな長さだこれ。
内容としては、「SAMURAI7」というアニメで大まかなあらすじは知っていたのですが、殆ど別物ですね。当たり前ですが。
やはり一番インパクトがあるのは「絵」でしょうか。
画面から突き刺さる迫力は、そこが人殺しの場面でなくともすさまじい。
私が一番印象に残っているシーンは、水車小屋でおんじが竹やりを持って座っているシーンを背後から撮ったものですが、あれはそのまま引き伸ばしてポスターにしたいくらいの静寂でしたね。
効果音もBGMも(基本的にBGMはほぼない)なく、ただうす暗がりの中座っている年寄り、という地味以外形容できない図なのですが、それでも画面からほとばしる迫力が違うんですよね。
ただ野武せりに殺されるために座して待つのではなく、竹やりを抱えて人一人殺せない弱った年寄りがそれでも、迎え撃つっていう図がなんとも…!
この映画、ぽんぽん簡単に人が死ぬのですが、それによる慟哭はあまりありません。戦っている連中は嘆きもしますが、見ている側は、その前の百章の暮らしや、米ではなくひえや、あわを食ってそれでも侍に土下座をする人性のほうが、よほど心を打つものがあるので、主役の侍たちが死ぬ様は流せてしまうんですよね。
しかも現実的に、別に死ぬ際にドラマティックな演出など一切ない、のでただ大地に転がる男の肉体、という図がひたすらリアルで、死に方は印象に残らないけれど、死んだ後の肉体は印象に残る、という不思議な感情を抱きました。
役者陣は豪華のひとこと。
菊千代は天下の三船ですが、この人の生き方といい、尻といい尻といい尻といい最高でした。
この人が、ばったりと地面に倒れた姿は、本当にただただ死体でした。
アニメの「SAMURAI7」では、菊千代は人間ではないロボットになっているんですが、この個性を出すために、人ではないものにしたのもうなずけます。これ、人間としての個性出し切っちゃって、もう別なものにするしかないよなあ。
一番人気の久蔵は確かに人気があるのもわかります。寡黙で腕が立って、にやりと笑う凄みがあって、でも若侍に誉められるとどこかちょっと嬉しそう。
この時代の役者さんは、全員足が短い昔の日本人体系なのですが、そうでないと、しっかりと足を踏みしめた格好は似合わないですね。
浮つきつつ飛び跳ねる菊千代とは違い、巌のようにびくともしないが柳のように柔軟性のある久蔵が刀をふるう姿は、凄くかっこよかったです。
そして志村喬さんですよ。何でも出来るつるっぱげの智将! 個人的にはこの外見そのまま武田信玄じゃん、と思いました。
さすがの迫力ですねえ。
「椿三十郎」がエンターテイメント色が強かったので、「七人の侍」はどうだとうと思ったのですが、こちらもやはりその色が強かったですね。
リアルな背景に、悲惨な実情。殺陣あり色恋あり、そして日常の中の笑いありという、サービス精神満載の映画でした。
衣装やセットの金のかけ方も半端ないしなあ。
主演堺氏と聞いたら見ないわけには、とレイトショーで鑑賞したんですが、個人的にはいまひとつでした。
二時間二十分も逃走劇に付き合うためには、途中で中だるみせず、ぐいぐいと「次が気になる要素」と入れて欲しいのですが、この物語基本的に「どう逃げるか」という部分には重きを置いていないようなのです。
結局、過去大学時代に過ごした日々。バイトでお世話になった人たち。大人になって勤めた職場の同僚。そういった、主人公の人柄を信じている人たちが手助けをしてくれる物語なので、究極のご都合主義っていったらそうなんですよね。
別に、どうやって逃げるかとか、黒幕の正体はとか、そういうスリルとかサスペンスの部分に元々重きを置いていない、空想小説みたいな内容の映画でした。
主人公自身が逃げるために奔走するとか、真犯人を探し出す、とかいう「逃亡者」のような話ではないのですね。
そっち路線で想像していたので、個人的には肩透かしな印象が強い映画になってしまいました。
そうなってくると、最後に主人公が「助かる」のはわかってしまうし、助かった後の伏線の回収も、大方読めてしまうのです。
それぞれ感情の起伏に乏しい人たち(誰も彼もが泣き喚いたりそういうことはない)なので、見ている側は重くなく見られる、物語も演出もそんな感じ、という生ぬるい青春群像みたいな話でした。
二時間オーバーではなく、一時間五十分くらいで、すっきりとまとめてもらったほうが、活劇として楽しめたかも。
伊東四郎さん演じる父親とのやり取りは、マスコミ報道の酷さもあいまって非常に感動的で良かったです。
役者陣は文句なし。全員お上手な方ばかりですしね。ベンガルさん久しぶりに画面で見られて嬉しかったなあ。
『七人の侍』
やっと見ました黒澤侍。
結論からいえば、長っげえ!
前後半に分かれておまけに休憩入るって、どんな長さだこれ。
内容としては、「SAMURAI7」というアニメで大まかなあらすじは知っていたのですが、殆ど別物ですね。当たり前ですが。
やはり一番インパクトがあるのは「絵」でしょうか。
画面から突き刺さる迫力は、そこが人殺しの場面でなくともすさまじい。
私が一番印象に残っているシーンは、水車小屋でおんじが竹やりを持って座っているシーンを背後から撮ったものですが、あれはそのまま引き伸ばしてポスターにしたいくらいの静寂でしたね。
効果音もBGMも(基本的にBGMはほぼない)なく、ただうす暗がりの中座っている年寄り、という地味以外形容できない図なのですが、それでも画面からほとばしる迫力が違うんですよね。
ただ野武せりに殺されるために座して待つのではなく、竹やりを抱えて人一人殺せない弱った年寄りがそれでも、迎え撃つっていう図がなんとも…!
この映画、ぽんぽん簡単に人が死ぬのですが、それによる慟哭はあまりありません。戦っている連中は嘆きもしますが、見ている側は、その前の百章の暮らしや、米ではなくひえや、あわを食ってそれでも侍に土下座をする人性のほうが、よほど心を打つものがあるので、主役の侍たちが死ぬ様は流せてしまうんですよね。
しかも現実的に、別に死ぬ際にドラマティックな演出など一切ない、のでただ大地に転がる男の肉体、という図がひたすらリアルで、死に方は印象に残らないけれど、死んだ後の肉体は印象に残る、という不思議な感情を抱きました。
役者陣は豪華のひとこと。
菊千代は天下の三船ですが、この人の生き方といい、尻といい尻といい尻といい最高でした。
この人が、ばったりと地面に倒れた姿は、本当にただただ死体でした。
アニメの「SAMURAI7」では、菊千代は人間ではないロボットになっているんですが、この個性を出すために、人ではないものにしたのもうなずけます。これ、人間としての個性出し切っちゃって、もう別なものにするしかないよなあ。
一番人気の久蔵は確かに人気があるのもわかります。寡黙で腕が立って、にやりと笑う凄みがあって、でも若侍に誉められるとどこかちょっと嬉しそう。
この時代の役者さんは、全員足が短い昔の日本人体系なのですが、そうでないと、しっかりと足を踏みしめた格好は似合わないですね。
浮つきつつ飛び跳ねる菊千代とは違い、巌のようにびくともしないが柳のように柔軟性のある久蔵が刀をふるう姿は、凄くかっこよかったです。
そして志村喬さんですよ。何でも出来るつるっぱげの智将! 個人的にはこの外見そのまま武田信玄じゃん、と思いました。
さすがの迫力ですねえ。
「椿三十郎」がエンターテイメント色が強かったので、「七人の侍」はどうだとうと思ったのですが、こちらもやはりその色が強かったですね。
リアルな背景に、悲惨な実情。殺陣あり色恋あり、そして日常の中の笑いありという、サービス精神満載の映画でした。
衣装やセットの金のかけ方も半端ないしなあ。
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