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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『公式サイト』

第七話。
杉山を排し、上り詰めた桑山。
杉山は虎視眈々と、二年後の機会を狙っていた。
その前には、金をもらう野瀬の姿が。

「奴に伝えろ。わしは失意のあまり、家を一歩も出ていないとな」

野瀬を政治の道具として利用する杉山。
桑山は執政を一新し、それは斬新なものであった。
味方した和田を外し、若返りを図る人事。
「中身は変わらぬ政は、もう終わりにしたいのだ」
その代わり、嫡男を登用する。
それは見事な人事であった。

「和田を外したのはさすがだな。これで一時でも杉山派にいたものは、日の目を見られぬとなるだろう」

桑山の下には、杉山と取引のあった商人も訪れていた。
「これは、賄賂ではないか」
「はい。この金は賄賂でございます。いずれ何かの折には、お頼み申しますという意味合いのお金でございます」
「金をもらわんでも、力になるがの」
「商人と言うものは、利で結ばれた相手ではないと、中々信用しないという悪い癖をもつものでございまして」

この話に出てくる商人は、誰もが賢くカッコイイ。

小料理屋、「卯の花」でが囲っていた女、ふきの具合が悪くなる。

「おぬしに死なれると、困る。誰も誉めてくれるものがいなくなるからな」


深夜、野瀬が桑山の元へ祝いに訪れる。
「祝儀? おぬしがか」
「気にするな。忠兵衛からもらった金だ」
「忠兵衛? なら、尚更受け取れぬ」
寂しげな表情をする野瀬。
「忠兵衛は、元気であったか」
「………いや、失意のあまり家に閉じこもっている」
「そうか。あの忠兵衛が閉じこもっておったか。はははは、そうか」
桑山の笑いに、何ともいえぬ表情を浮かべる野瀬。

「おぬし、早く悟れ。どんどん悪い顔になっていくぞ。昔は目のきれいな奴だなとよく思った。………なんだ、その目は」
「人のことが言えるか。悪相ならおぬしのほうがよっぽどだ」
「儂は、一蔵を切ったときに悟った。これでもう、まともな暮らしは決して望めぬ。人の姿をしているが、その実影のようなものだとな」
「一蔵か」
「今年の六月七日で、死んで二十六年。二十七回忌になる」
「そうだな」
「覚えているはずかない。墓参りに行ったことがあるか?」
「類殿に会って以来、ない」
「庄六は毎年行っている。儂もだ。忠兵衛は、石ころを置いただけの一蔵の墓を、まともなものに立て替えた。おぬしは何をした? よくぞここまで出世したものだ」
「足るを知る、という言葉がある。満足せよ、欲張るなと言う教えだ。儂はな、欲張りなのだ」
「ごうつくばりか」
「ああそうだ。生来の欲張りだ」
「いばるな! おぬしは強欲。忠兵衛は育ちが良すぎたのだ。」
「元は、農政の議論だったのだ」
「それは嘘だ。立派なことを言うが、ようするにあれは、お前と忠兵衛二人の戦いよ。喧嘩にすぎん」

そっと、野瀬の杯に酒をそそぎ、退出する満江。

「昔の友として、これだけは言っておく。忠兵衛は、おぬしがもって二年と見ている。しっかりと爪をといでおる。気をつけろ」
「昔の友か」
「そうだ。遥か昔だ」
「野瀬、一つ聞きたいことがある。おぬしと忠兵衛のことだ。ただの友人か」
「そうだ。何故だ」

気迫ある答えに問い返され、逆に応えられぬ桑山。
この瞬間、桑山は野瀬を疑い、野瀬は桑山を失った。

野瀬は、満江にただ一言「息災でな」と言い残し、その場を去る。
そこには、忠兵衛からもらった金―ただし、半分になった―を残して。


杉山派の人間が、自分に刺客を放ったと聞き、桑山は閉じこもったままの杉山を訪ねる。

刺客など意味がないと、笑い飛ばす杉山。
「どうだ。主席家老の居心地は、格別よかろう」
「そうだな」
「これは、返す。野瀬が、貴公にもらった金だと言っておった。貴公、まさか野瀬をずっとやしなっていたというわけではあるまい」
「何のことだ?」
「昔、市之丞が、助けてくれたときがあった。明らかに、儂と同じ役目を帯びていた。儂は、野瀬にずっと負い目を感じておった。何故なら―一蔵のことで、野瀬の一生を壊したと」
「あの男は元々、皮肉ばかり言う、世の中を正面から見ることのできぬ、悲しい人間なのだ。一蔵のことでああなったわけではない」
「そう言われると、少しは救われた気もするが。忠兵衛、市之丞を飼い犬にしたな。家老を倒し、政を握るために、表では儂を、裏では市之丞 を使ってきたのだな」
「それがどうした。悪いのか。己のけんせい欲を満たして、何が悪い。自分の手を汚したことのない、おぬしらしい物言いだ。正義感づらしおって」

この辺、最終話との対比となっていて非常に興味深い。
それぞれが、それぞれを利用し、それは事実。
だが、それ以外もあったというのもまた事実。
どれが言い訳で、どれが真実であったかはもうわからず、随分昔に一つきりだった気持ちは分かたれて見えない。

清濁を飲み込んだ、ごちゃごちゃとして気持ちのまま、野瀬だけがその混濁を、清いものにしたかった。

野瀬は、桑山の家を訪れ、果し合いの書状を渡す。
上がっていけ、という満江に対し、
「いや、会いたくない」
とだけ告げて。
それは、今の桑山に会いたくない、という意味なのか。
それでも、野瀬は自分を切る相手に、他の誰でもない桑山を選んだ。

「何を考えておるのか、ばか者が………」

野瀬の動きは、ようとして知れない。
類の元にも、もう何年も通っていないという。
「あの人、死病に取り付かれております」
「長くは生きられぬと?」
「もう、楽にさせてあげてくださいな………」

野瀬は、庄六の元を訪れる。
「訳もなく、会いたくなったとでもいうのか?」
「文句でもあるのか」
「ない。今夜は、泊まっていけ」
「当たり前だ」
「ほれ」
庄六は、焼けた魚を市之丞に差し出した。
「お前、自分のことが嫌になることはないのか?」
「ない」
「………偉いな」
「ははは。珍しいな。お前が俺を誉めるか」
「俺はずっと自分が嫌でな」
「確かに、野瀬は頭もいい。腕もたつ。この世に不足があるのは当たり前だ」
「………俺は、もうすぐ死ぬんだ」
「! 医者へ行け! 金ならあるぞ」
「………惨めな人生だったな………」
そう言って、野瀬は「美味い」と言い、魚にかじりついた。

野瀬にとって、庄六は心許せる旧友であると同時に、少しまぶしすぎたのでしょう。
世俗に染まり、ひとりの大人として生きている、桑山と杉山とは、庄六はもう行き方から違う。
そして、野瀬はそんな庄六を好ましいと思っても、自分では決してそちらへいけないということも知っている。
程度の差こそあれ、野瀬は桑山や杉山に近い場所で生きるはずだった。
朴訥な優しさを求めながらも、野瀬は結局、桑山を選んだ。

この場面、金がない庄六が、「金ならある」と野瀬に詰め寄る場面で号泣。その後「惨めな人生だった」と笑いながら言う野瀬で号泣。
見ている側、大忙しでした。


「野瀬は、死病を患っておるらしい。まもなく、死ぬらしい。不運な一生であった。どうしても、儂にひとたち浴びせねば、気がすまんのだろう。忠兵衛は、その市之丞を利用して、わしを殺したいのだろう」
「果し合いに行くのですか?」
「さあ」
「さあ?」
「わからんのだ」

満江に告げた桑山の言葉は、最終回を見た今となっては、全く的外れだったものだとわかります。
ただそれに、杉山も、桑山も気づかなかった。


果し合いの前の晩、桑山の元へ、若き日の自分が現れます。

「隼太、儂は汚れたかの。悪い顔か。一生懸命生きてきたつもりだったが、お前から見れば悪人か。一蔵は、儂が切るべきであったか。引き立ててくれた忠兵衛に、義理をつくせばよかったか。市之丞を見捨てず、真の友として、大切にすべきであったか。お前なら………そうしたであろうな………」

見上げれば、そこには若き日の旧友たち。
それぞれに、希望のあった。
壊れて、もう戻らない友人たちの。

明けて、さっぱりとした顔で、桑山は義父の墓前に手を合わせた。
「満江。儂は今日、市之丞と立ち会うことにした。眠りにつくまで、自分こそ正義、そう思っていた。前の執政を倒すために、杉山忠兵衛がうった手は、それは酷いものであった。そしてひとたびけんせいを握ると、今度は敵対するものを要職から次々と外し、そして矛先を儂にむけてきた。だから儂は杉山をしりぞけた。やましいことは何一つない、そう思っていた。しかし、夜中ふいに声が聞こえて目が覚めた」
「声?」
「貴様とて、立派なことは言えまい。そう言った」
「どなたの声でございます」
「若い頃の儂の声だ。上村隼太の声だった。今日は、一蔵の命日だ。二十六年前のこの日、市之丞は一蔵を切った。そして、一生を棒にふった。本当に一蔵を切らねばならなかったのは、この儂だ」
「私にはわかりませぬ。何故一蔵殿をいつまでも覚えているのか。何故、野瀬様をそこまで重く受け止めるのか」
「さあ、何故かの」

これは、私にもわからないし、満江にも絶対にわからないものなのでしょう。
他人から見れば、人を切って出奔した男が、ただ成敗されたにすぎない。
切った人間もそれを恥じる必要はないし、重荷に感じる必要もない。
ましてや、自分が切らせた、自分が切るべきだったと思う必要もない。
ただ、そう思わずにいられなかった男たちがいただけで。
一蔵は弱く、それを切った野瀬も、とても弱かった。
それを見ているだけだった桑山は己を恥じ、杉山はそれを踏み台にした。
純粋に悲しむことのできた庄六は、それでも、野瀬も一蔵も救えなかった。

「一人か」
「一人だ」

場所は七つ半。
夕暮れの川原にて、桑山と野瀬の果し合いが始まる。



最終話。
野瀬との果し合いに出向く桑山。
その日は、宮坂一蔵の命日でもあった。
川原で相対する二人。ずり、っと草履を脱ぎ捨てる二人がカッコイイです。
先に大地に転がったのが桑山なら、先に立ち上がったのも桑山。

「水くれ」
「今飲んだら死ぬぞ!」
「構わん。水くれ」
「すまなかった。一蔵を切らねばならなかったのは、儂のほうだった」
「………よくやったさ、隼太。二人とも、よくやった………」

事切れる野瀬。
その様子を見守る、一蔵のかつての妻、類。

「今日、ここへ来い、と。………あの人と一緒に、帰ります………」


腕を切られた桑山が向かった先は、唯一残った旧友、藤井庄六の元であった。

「庄六、俺、お前で話そう。今日、市之丞と切りあいをしてきた」
「………やっぱり、そうか。どうもそんな気がしたのだ。それで、奴は死んだのか………」
「死んだ………。奴は俺に、果たし状を送ってきたんだ」
「………そうか………。奴は、死病をわずらっていて、もう長い命ではないと言っていた」
「いつのことだ」
「おとといの夜だ。市之丞は、小屋に一晩泊まっていったのだ。俺は、もうすぐ死ぬのだ。惨めな人生だったと言っていた………」

嗚咽し、涙を流す庄六。

「一対一か?」
「ああ」
「そうか。それならいい………」

激しく泣き崩れる庄六。

「一対一ならいい………」


深夜、帰宅する桑山。
「握り飯を作って来い」
「は?」
「茶碗が持ちにくいのだ」
「………中に何か入れますか?」
「何もいらん。味噌だけでいい」

これを、庭を挟んで話しているんだから、夫婦の会話は怖い。

「野瀬様は?」
「死んだ」
「いえ、どのような」
「よく覚えておらんのだ。腕を切られ、刀を振った。すると、野瀬が倒れておった。二人ともよくやったと言った。それが、最後だ」
「………どうしてなんでしょう。どうして、切りあったのでしょう。野瀬様は、貴方のことが一番好きだったのでしょう?」
「わからん」


深夜、しゅうとめが、しゅうとの夢を見たと、桑山に伝えに来る。

「野瀬様のことを、忘れるようにと。本当ですよ。今日のことを後悔するのか、逆に良かったと思うのかと。それは、時が決めるのだということかしら」


庄六は、杉山に事の次第を伝えに行く。

「………野瀬は、病で」
「桑山に、切られにいったというのか」
「儂は、そう考えております」
「そんな、きれいな話ではない。野瀬は桑山が憎くてたまらなかったのだ。自分に一蔵を切らせ、自分ひとり偉くなった桑山が」
「野瀬の死を汚さないでいただきたい!」
「何?」
「野瀬は、美しく死ぬことを望んだのです。それを信じてやることが、何よりの供養ではございませぬか!」
「………帰れ!」
「野瀬家の通夜がありますが」
「誰が出るか!」
「野瀬に、一蔵を切れと命じたのは貴公だぞ!」
「何!? 庄六! おぬし今儂に、なんと言った。主席家老は桑山で、このわしは」
「俺はそんな人間ではない! おぬしがどうとか、桑山がどうとか、俺には何の関わりもない! ただ、好きだから………ずっと付き合ってきた! ………帰る!」

去る庄六。
残される杉山。

庄六はある意味、俗世のしがらみから一線を引いた身分だからこそ、手に入れられるものがあり、また失ったものもある。
その失った身分や、権威などを持つ杉山や、桑山が最も欲しいものが、庄六の手の中にあり、それに気づくことが出来た桑山と、気づくことができなった杉山。
杉山は、庄六が好意で桑山と付き合っているのだ、ということは気づいていても、それが自分にも当てはまるのだと、気づいていなかった。
杉山は、桑山のように両立することができない、しようとしなかった分だけ、孤独の根が深い。


それから二年後。

染まる桑山。
若い執政に批判され、隠居するという噂も絶えない。
執政批判をした人間を荒れ寺に閉じ込め、切ってはならぬという意思を伝える桑山。それは、初めの切れ、という意見を相反するものであった。

桑山は杉山の家を訪れる。
「悩んでおるのか。やめたくなったか」
「そんなことはない」
「決断の元は身体だな。強い身体だ。執政は人間の運命に関わる。大きな決断をせねばならぬ。だが身体が弱っておると、誤った判断をくだすことになる。それに、抑圧だ。市之丞のことが忘れられない」
「それを言うなら」
「なんだ」
「一蔵を切らせたのは貴公だ」
「そうだ。俺だ。俺たちの中の誰かが切らねばならぬと思った。俺たちのうちの、誰かがだ。そうではなかったか。おぬし、俺、庄六、市之丞。そのときのうち、一蔵を切ることができたのが、婿入りが決まっていなかった野瀬以外いたのか」
「いない」
「そうだ。市之丞以外いなかったのだ。俺だけが切らせたのではない。俺と、お前と、庄六が」
「わかった!」
「だから俺は、あの男の生涯を引き受けてやろうと思った。金ですむなら、一生金を私続けてやろうと思った。月に一度、必ず野瀬に会い、金を渡した。おぬしは俺を、野瀬を出世の道具に使ったと言ったが、奴はあれで、俺が出世をし、それにくっついて、おぬしが出世するのを、案外喜んでいたのだ」
「それはわからん」
「死んだ野瀬に嘘はつかぬわ! おぬしは何をした?」
「何をした?」
「野瀬に何をしてやった? 庄六は庄六らしく、律儀に、実直に付き合っていた。食べ物を届けたり、ともに酒を飲んだり。あの庄六が、金を貸してやったことすらあったそうだ」
「俺が一番楽をしたのか」
「おぬしが、一番さけていたのだ。一蔵を切った、血なまぐさい奴だと」
「俺はいつも、一蔵のことは考えていた。俺が切るべきだったと」
「考えていただけだ! ………だがな、切ったからな」

驚く桑山。

「おぬしは、何もしてこなかったツケを、一度に払った。そう、思うことだ。野瀬はあの世で、おぬしに礼を言っているかもしれんな」
「………一つ、聞きたいことがある。執政の身で、主席家老の立場として、一度たりとも決断しかねたことがなかったか」
「お前、最後の敵にそんなことを聞いていいのか。おお、そうか。隠居の噂、あれは真のことか」
「隠居だと?」
「出奔した高松のことで、執政たちの間で、争いがあったそうだな」
「杉山忠兵衛」
「なんだ」
「根も葉もない噂で喜んでいたら、戦えぬぞ。何かお家のために、暮らしが豊かになる、新しい政でも考えてくればわしもうろたえるが、おいぼれたか!」
「何!?」
「わしは隠居などせぬ! 誰がやめるか!」
「おぬしとは話にならん! 帰れ!」
「おう、帰る!」

友の話から、突如仇敵の話へ。
まるで、意地の張り合いのように、桑山と杉山は別れていった。


川原で経を唱えている庄六。
「俺は、役目のない日はよくここへ来る」
「俺は、一年に一回だ」
「それで、今日はどうした」
「人を切るか、切らぬか、決めなくてはならぬ」
「お役目か。大変なことだな」
「執政などというものになるから、人の生き死にまで関わらねばならぬ」
「そんなことは、覚悟の上ではないのか。情けにおぼれていれば、家老など務まるまい」
「市之丞なら、情けをかけてこそ家老だぞ、そう言うだろう。お前の昔の目はどこへいった。いつも怒っていたような、きれいな目だ。二年経って、あいつの声がしきりにそう言う。隼太は隼太のままでいろ。あいつは悲しかったのだろう。悔しかったのであろうな………」
「今年が、あいつの三回忌だな。奴は、おぬしに切られたかったのだ。どう考えても、いくら病でも、おぬしにあの邪剣が避けられるはずがない」

思い返す、あの斬激。

『よくやったさ、隼太。ふたりとも、よくやった………』


「俺は悔しかったさ。何故市之丞は、俺に果たし状をくれなかったのかと。………野瀬は、おぬしが一番好きだったのだ………」


桑山は出奔した人間の裁可を人に任す。

「儂は、高松の人の値打ちがわからぬ。儂は元々農民なのだ。お百姓にここまで育ててもらった」

事実上、切らぬという裁決をくだした桑山。

その顔は、満足げであった。

ひとり、田畑を歩く桑山。
家で、手習いを始める。

「隠居、ご決心くださいましたか?」
見本を広げる桑山。
「父の字ですね」
「うむ。いい字だ。これに近づきたいものだ」
「貴方には無理ですよ。欲張りですからね。………胸の中の風の音、少しは静かになりましたか」
「全くならん。この歳になっても足るを知らん。ただ、身体がついていかん。風、しょうしょうたり。いや、ごうごうたり、かのう。老いぼれて老いぼれて、なお、春の夢」
「私もこのように婆になり、申しわけありません」
「お前はこのごろ、昔よりきれいだ」


風の果て
尚、足を知らず―



きれいに終わりました。
桑山は桑山らしく、上を求め、そして最後はその極めた上で、自らの目を思い出して裁決を下し。
杉山は最後まで権力にしがみついたまま、その先はわからず。
庄六は己の行き方を全うした。
類にしろ、野瀬にしろ、一蔵に関わった人間で、弱い人間は道を踏み外し、それでも己の生は望む形で終えた。
いやあ、面白い時代劇でした。

来週からの再放送は見なかったことにします。
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