『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』公式サイト
アトリエシリーズの流れを組む作品。
主人公ノーラが、魔女と疑われても、村の人々の信頼を得るために三年間頑張る話です。
物の分解、加工、導刻といった調合一つに流れがある作品ですが、基本的にやるべきことは、物を集め、分けて、新しい物質を作り出すというわかりやすいものなので、作業ゲーとしてはよくできていると思います。
ただ、こちらがやるべきことをすぐに把握できても、そのやらなければならないことのシステム面が弱いのが難点。
依頼を受けても物ができるかすぐにわからない、とか、アイテムの数がどれだけ増えても検索が非常にしづらいとか、「導刻」という作業に必要な化合物が必要な数があらかじめ全く分からない(足りないことはわかっても)とか、繰り返しプレイ前提の作業ゲーにしては、肝心の作業の部分のシステムが非常に弱いのが気になりました。
やはり、作業ゲーの醍醐味は、新たな物質を見つけ、作る、という部分に特化していると思うので、他の何をおろそかにしても肝心の部分だけは、ストレスフリーであって欲しかったところ。他には、OPが飛ばせないとか細かな部分はありますが、他はストレスを感じるほどのシステムは一切なかっただけに、残念でした。
アトリエシリーズの意を汲むところでは、採取地での採取などがありますが、これが、どれだけ遠方に出向いてもかかる時間は全く同じ、そして採取作業を行わなければ時間経過しない(街に行ったりする分にはいくら出入りしても自由)という、大変潔い作りは大感謝。
本当にねえ、行って帰ってくるだけで二ヶ月経過するとかそれイベントのためだけに行くのかよ…と遠い目になったシリーズもありましたが、このゲームは一切そういうのありません。すんげえ気持ち的に楽。
ただ、採取地で取れるものがランダムなのはいいんですが、採取アイコンをクリックして魔物が増えるコマンドが出たら即終了みたいなのは厳しいですかね。
鉱物が増えちゃうとか、植物が増えちゃうアイコンならまだしも、魔物が増えるアイコンを踏んだらもう、採取作業は諦めて帰宅したほうがいいです(苦笑)。
このゲームの時間経過ですが、採取作業を一回行う=一日経過ですので、鉱物目当てで行ったら、一回目で敵が増えた、のなら、もうその時点で帰ったほうがいいわけです。
粘ったって、敵が出て日数が経過するだけムダなので。
おまけに、シャッフルアイコンでせっかくのものが入れ替わっちゃったりするので、本当に効率のいいプレイをしたければ、採取場所で一回採取を行う⇒帰る、を繰り返した方がいいことになります。粘るだけムダというか。
それだけ手間ったらそうなんですが、このゲーム何気に敵が強くて、結構普通に死ねるので、万全を期すなら帰宅したほうが無難。
グラフィックはとにかく可愛いです。
キャラクターの表情もころころ変わるし、街中の様子も、自分の家の庭も可愛い。
生えてくる草花も可愛いし、基本的にキャラデザが二頭身目玉大きい系なので、その可愛さにひたすらもだえろ、といったところでしょうか。
主人公ノーラは頑張りやさんで、一生懸命。嫌味のない職人気質(笑)の主人公で好感度高し。それぞれ、出てくるキャラクターにも個別EDがありますが、恋愛EDではないのでその点がっかりするかもしれませんが、ノーラはなんというか、やっぱり職人(笑)なので、個人的にはその手の描写なくても大丈夫でした。あくまで、導刻術師として三年間を過ごすのがメインというか。
細かなキャラクターの台詞バリエーションはとにかく豊富で、ノーラに対する言葉遣いもそうですが、仲間内でも、戦闘時の組み合わせによってもかなり違いますし、採取場所でも違います。仲良くなってくれば当然違うし、イベントも豊富です。
キャラEDがありますので、それぞれの好感度も存在するのですが、惜しいのがゲームをやっていて、好感度が上がっている感が「ぱっと見」でわかりづらい、というのはあるかもしれません。
個別イベントが進んでいくので、ああ、仲良くなってるんだろうなというのは(数値含めて)わかるんですが、通常時にそれを感じ取れないというか。
ネオロマで言う、相手が頬を染めて台詞が変わったときの達成感とか、アトリエシリーズみたいに、どんどん雇える金額が安くなってくるとか、そういうのがいまいちわからないのが勿体無いかなあ、とは思いました。
それらを踏まえても、ノーラは別に皆と特別な関係になりたいわけじゃなくて、迫害されていた立場から、あくまで対等な人間関係に持っていくまでがゴールのゲームなんだと思います。
アトリエシリーズのような、物を作る作業ゲーが好きならば買って充分楽しめます。数回プレイしてもコンプできなかった(それはお前が下手なだけだ)ので、やり応えも充分なのではないかと。
キャラクターで好きなのは、圧倒的に酒場のダビーさん…(笑)男と女に花を贈るイベントを教えてもらった時とか、「くっそ、このオヤジは狙ってやがるのか…!」と歯を食いしばりながら、花をたたきつけた(気持ちの中で)りしましたよ! わかったわかったオヤジがイケメンなのはわかった!
ただし、ダビーさんはオヤジという年齢なのかちょっと謎。
絵柄が可愛らしいので全員年齢不詳っていうのもあるんですが、声が…櫻井なんだぜ…どういうことだ…。
ただ私は、粗野な櫻井ボイスも大好物なので、問題なし、でした。ヤッホー、ダビーさん萌えるよー!
戦闘中の台詞が面白いのは妖精のケケ。ケケはもう一人のスナフキン妖精の影が濃すぎて薄い印象でしたが、やっぱり可愛い。
女のキャラクターもなんていうか、出てくるのが皆、妙に頑固一徹みたいな、男形無しの女性ばかりなので、それもファニーで可愛かったです。鉱物にしか興味がない幼女とか…。人の役に立つっていうのはお約束だけど布団を担いで淡々と歩く少女とか…ずれている…ここでの美少女の価値観が…。
それに反比例するかのように、基本男がへたれっていうのもこのゲームの特徴でしょうか。へたれっつうか、オトメっていうか…。可愛い坊ちゃんとか、お前歯を食いしばれみたいな風来坊とか、ピュアっ子の自警団とか、あれ? なんか逆じゃね? という可愛さがあります。というか、基本的に出てくる人物みんな可愛いんだけどね。
後、地味に音楽がいい。初回版?でついてきたサウンドトラックのオルゴールバージョンは良かったです。後、個人的にゲームで遊ぶ上で一番長く聞く曲がいい作品は、いい(RPGでいうマップ上の曲的な)という法則があるので、ノーラのアトリエ内BGMはヘビロテに耐えられるいい曲でした。
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