『有罪×無罪』公式サイト
地味ですが、非常に真面目に作られた良質ゲームでした。
お気楽極楽に動く探偵や、調べることが当然である警察ではなく、一介の小市民が突如人を裁くことになったら、という始まり方に、おちゃらけさは一切ありません。
笑いの要素もなく、始まる事件概要や、おもしろおかしく誇張させるマスコミなどは、説明を聞いているだけで背筋が凍る思いがします。
プレイヤーが裁くのは人間であり、事件ではなく犯罪という、現実的な部分を強調しているだけに、全体に流れる雰囲気は非常に重苦しいです。
ですが、それを真正面から描く姿に好感触。
このゲームは裁判員制度を元にして作られており、人の人生を左右する裁判に笑いの要素などあるわけがないという割り切り方が、非常に誠実な印象を受けました。
ゲームは基本的に証言や、証拠を元に討論していく形で進みます。
こちらが質問したり、否定したり、肯定することで、新たな展開が生まれたり、いや、そうは言ってないけどそうなるの!? というような「会話」のリアル感があり、やっていて緊張感が常に漂います。
やり直しがきくといっても、やり直しても結論が同じであったり、新たな発見がなかった場合「これでいいのか」と常に思いながら進まなければならないことが多く、完全に「これでいいんだ」と思えるのは稀だからです。
特に最初のほうは曖昧な判断が多く、既にもう取り返しがつかないんじゃないかと思いながら進めるのは、かなりドキドキします。
裁判や証言を考察するシーンは、基本論破して進んでいくわけではないので、ひたすら情報を集めることに特化しています。
その辺が、「かったるい」と思えるかもしれませんが、逆に、どんなことが動機になるかわからないともいえます。
このゲームは別に、告訴されている人間がその時点で、「犯人であるか」を見極めるわけではなく、あくまで告訴されている内容にそぐわないかどうか、を判断していくことになります。
殺人か殺人でないか、ではなく、「保険金殺人といわれているけれどそうなのか」という具体的な判断をするわけです。
つまり、殺人ではあるが果たして保険金目当てなのか、という捕らえ方であって、吟味する内容も、「その程度では保険金殺人の動機にならない」という、曖昧なものなのです。
その曖昧さを積み重ねていくことによって、あくまで話し合いで結論を下す、という爽快感のなさが、物凄くリアルでした。
論破して新しい証言が出てくるわけでもない。
劇的に場面が変わるわけでもない。
証言者は当たり前のことしか話さず、裁判員たちも当たり前の会話しかしない。
その当たり前さ加減が、凄く真面目に作られていて、おちゃらけムードがかけらもない(多少会話の中でありますが、あくまで会話なので、作品の質そのものが笑いのスタンスではない)ことが、このゲームの質を上げていると思います。
操作としては、文章を読んでいくだけのものなので、ゲーム性は薄いかもしれません。
ですが、人の人生に関わることだと何度も念押しされる時点で、常に緊張感が漂うわけです。その上で自分が何かリアクションをしなくても話が進んでしまうので、終始緊張感は持続し続けます。
サスペンスやアドベンチャーもので、緊張感を持続させるのは中々難しいことですが、最終的な見通しが何も立たない(無罪だから終わり、有罪だから終わりではない)状態で延々すすめられてしまうのは、非常に上手いつくりだといえましょう。
おまけに、最後量刑までこちらが決めなければならないとあっては、ゲームなのに責任重大です。
ここにきてやっと、物語の背景がなんだったかはわかりますが、話はそこで終わりではなく、あくまで、罪の有無に関係なく刑を処するところまでやるというのは、中々面白い終わり方でした。
犯人を「当てる」ゲームではなく「罪を決める」ゲームなわけですから。
ただの推理ものや、サスペンス法廷物とは違い、自分が他人の人生を左右する中立な立場で挑まねばならない意欲作として、非常によくできていたゲームでした。
最近発売されて遊んだ中では、単品としてトップレベル。
ですが、果たして売れるかどうかは。
まあ絵柄からして非常に地味ですし、萌え要素はかけらもありませんし。この世界観にむしろ、萌えなんてあってたまるかというのが本音ですが、よほど硬派な推理ゲームファンくらいしか購入しないのではないかと、いらぬ心配をしたくなります。
音楽は重厚で迫力があって凄くいいんですが。ゲーム音楽というよりは、サスペンスドラマ風ですね。
シナリオもよく練られていて面白かったです。奇をてらったものはないのですが、無罪、有罪を決める過程や、シナリオ配置の順番、ラストのどんでん返しも含めて、各話に直接的なつながりはないものの、第一話は最初に、最終話は最後に持ってくる理由がちゃんとあります。
途中までの各話は難易度としてもそれほど難しくありませんが、最終話はやることや証明することが多くて、中々難しかったです。
操作性に関しても、特筆するようなものはないのですが、証言や証拠がどんどん一方的にストックされてしまうので(ほぼ無差別に)閲覧時に不便を感じました。
またやり直す際や読み進める際のスキップも遅く、繰り返し遊ぶ作りにはなっていないように思えます。
こちらは証言を聞く立場なので、会話のキャッチボールもなく、延々シナリオを読み進めるだけなので。
シナリオもボリュームももう少しあれば嬉しかったところですが、あくまで、「面白かったのでもう少し長いと嬉しかったな」程度です。
むしろ、操作そのものは難しくないので、ゲーム初心者にお勧めしたいデキです。裁判員制度というものを、ゲームと言う媒介を通してわかりやすく理解できるないようでした。
まあ私は、井原裁判長とか、検察側の人とか、裁判補佐の人とか、最終話のフリーターとか、被告人とか、普通にルックスいけましたが。(最後に最低な感想)
でも、プレイヤーはあくまで中立。裁判員同士とも、検察とも弁護人とも、勿論証人とも被告とも、絶対に交わらない。
心の交流などゲームで存在しません。
だからこその裁判員なのだ、という立ち位置は、凄くストイックで良かったです。半端な萌えなどお呼びじゃないよ、という感じが。
このゲーム、主人公の名前決められるんですが、井原が使われてしまっていたので、中古にそのまま入っていた名前で遊びました。ちなみに五條さん。
………二次元にいたかなあ、五條さん………。悟浄さんならいるだろうけど。(オリジナルの名前だと想像できない業の深さ)
あと、こんなこと今更言っても本当に意味のないことなんですが、良質ゲームを中古で引き当てると、ちょっとした罪悪感に襲われますね。
いや、これがもう定価で手に入らない昔のソフト、とかならいいんですが、このゲームなんてまだ普通に密林とかで購入できるわけで。
こんなに面白かったのなら、ちゃんと定価で購入してメーカーにちょっとでも還元したかったなあ、と思ってしまいました。
続編が出たらちゃんと予約購入します。
地味ですが、非常に真面目に作られた良質ゲームでした。
お気楽極楽に動く探偵や、調べることが当然である警察ではなく、一介の小市民が突如人を裁くことになったら、という始まり方に、おちゃらけさは一切ありません。
笑いの要素もなく、始まる事件概要や、おもしろおかしく誇張させるマスコミなどは、説明を聞いているだけで背筋が凍る思いがします。
プレイヤーが裁くのは人間であり、事件ではなく犯罪という、現実的な部分を強調しているだけに、全体に流れる雰囲気は非常に重苦しいです。
ですが、それを真正面から描く姿に好感触。
このゲームは裁判員制度を元にして作られており、人の人生を左右する裁判に笑いの要素などあるわけがないという割り切り方が、非常に誠実な印象を受けました。
ゲームは基本的に証言や、証拠を元に討論していく形で進みます。
こちらが質問したり、否定したり、肯定することで、新たな展開が生まれたり、いや、そうは言ってないけどそうなるの!? というような「会話」のリアル感があり、やっていて緊張感が常に漂います。
やり直しがきくといっても、やり直しても結論が同じであったり、新たな発見がなかった場合「これでいいのか」と常に思いながら進まなければならないことが多く、完全に「これでいいんだ」と思えるのは稀だからです。
特に最初のほうは曖昧な判断が多く、既にもう取り返しがつかないんじゃないかと思いながら進めるのは、かなりドキドキします。
裁判や証言を考察するシーンは、基本論破して進んでいくわけではないので、ひたすら情報を集めることに特化しています。
その辺が、「かったるい」と思えるかもしれませんが、逆に、どんなことが動機になるかわからないともいえます。
このゲームは別に、告訴されている人間がその時点で、「犯人であるか」を見極めるわけではなく、あくまで告訴されている内容にそぐわないかどうか、を判断していくことになります。
殺人か殺人でないか、ではなく、「保険金殺人といわれているけれどそうなのか」という具体的な判断をするわけです。
つまり、殺人ではあるが果たして保険金目当てなのか、という捕らえ方であって、吟味する内容も、「その程度では保険金殺人の動機にならない」という、曖昧なものなのです。
その曖昧さを積み重ねていくことによって、あくまで話し合いで結論を下す、という爽快感のなさが、物凄くリアルでした。
論破して新しい証言が出てくるわけでもない。
劇的に場面が変わるわけでもない。
証言者は当たり前のことしか話さず、裁判員たちも当たり前の会話しかしない。
その当たり前さ加減が、凄く真面目に作られていて、おちゃらけムードがかけらもない(多少会話の中でありますが、あくまで会話なので、作品の質そのものが笑いのスタンスではない)ことが、このゲームの質を上げていると思います。
操作としては、文章を読んでいくだけのものなので、ゲーム性は薄いかもしれません。
ですが、人の人生に関わることだと何度も念押しされる時点で、常に緊張感が漂うわけです。その上で自分が何かリアクションをしなくても話が進んでしまうので、終始緊張感は持続し続けます。
サスペンスやアドベンチャーもので、緊張感を持続させるのは中々難しいことですが、最終的な見通しが何も立たない(無罪だから終わり、有罪だから終わりではない)状態で延々すすめられてしまうのは、非常に上手いつくりだといえましょう。
おまけに、最後量刑までこちらが決めなければならないとあっては、ゲームなのに責任重大です。
ここにきてやっと、物語の背景がなんだったかはわかりますが、話はそこで終わりではなく、あくまで、罪の有無に関係なく刑を処するところまでやるというのは、中々面白い終わり方でした。
犯人を「当てる」ゲームではなく「罪を決める」ゲームなわけですから。
ただの推理ものや、サスペンス法廷物とは違い、自分が他人の人生を左右する中立な立場で挑まねばならない意欲作として、非常によくできていたゲームでした。
最近発売されて遊んだ中では、単品としてトップレベル。
ですが、果たして売れるかどうかは。
まあ絵柄からして非常に地味ですし、萌え要素はかけらもありませんし。この世界観にむしろ、萌えなんてあってたまるかというのが本音ですが、よほど硬派な推理ゲームファンくらいしか購入しないのではないかと、いらぬ心配をしたくなります。
音楽は重厚で迫力があって凄くいいんですが。ゲーム音楽というよりは、サスペンスドラマ風ですね。
シナリオもよく練られていて面白かったです。奇をてらったものはないのですが、無罪、有罪を決める過程や、シナリオ配置の順番、ラストのどんでん返しも含めて、各話に直接的なつながりはないものの、第一話は最初に、最終話は最後に持ってくる理由がちゃんとあります。
途中までの各話は難易度としてもそれほど難しくありませんが、最終話はやることや証明することが多くて、中々難しかったです。
操作性に関しても、特筆するようなものはないのですが、証言や証拠がどんどん一方的にストックされてしまうので(ほぼ無差別に)閲覧時に不便を感じました。
またやり直す際や読み進める際のスキップも遅く、繰り返し遊ぶ作りにはなっていないように思えます。
こちらは証言を聞く立場なので、会話のキャッチボールもなく、延々シナリオを読み進めるだけなので。
シナリオもボリュームももう少しあれば嬉しかったところですが、あくまで、「面白かったのでもう少し長いと嬉しかったな」程度です。
むしろ、操作そのものは難しくないので、ゲーム初心者にお勧めしたいデキです。裁判員制度というものを、ゲームと言う媒介を通してわかりやすく理解できるないようでした。
まあ私は、井原裁判長とか、検察側の人とか、裁判補佐の人とか、最終話のフリーターとか、被告人とか、普通にルックスいけましたが。(最後に最低な感想)
でも、プレイヤーはあくまで中立。裁判員同士とも、検察とも弁護人とも、勿論証人とも被告とも、絶対に交わらない。
心の交流などゲームで存在しません。
だからこその裁判員なのだ、という立ち位置は、凄くストイックで良かったです。半端な萌えなどお呼びじゃないよ、という感じが。
このゲーム、主人公の名前決められるんですが、井原が使われてしまっていたので、中古にそのまま入っていた名前で遊びました。ちなみに五條さん。
………二次元にいたかなあ、五條さん………。悟浄さんならいるだろうけど。(オリジナルの名前だと想像できない業の深さ)
あと、こんなこと今更言っても本当に意味のないことなんですが、良質ゲームを中古で引き当てると、ちょっとした罪悪感に襲われますね。
いや、これがもう定価で手に入らない昔のソフト、とかならいいんですが、このゲームなんてまだ普通に密林とかで購入できるわけで。
こんなに面白かったのなら、ちゃんと定価で購入してメーカーにちょっとでも還元したかったなあ、と思ってしまいました。
続編が出たらちゃんと予約購入します。
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