「大奥」第三巻。
色恋から将軍としての自覚が出てきた家光は、やはりカッコよく見えますね。そしてその分、そばにいる男が、ますます霞んで見えるという誤算が。しかしこの作者さんの描く、可愛らしい女はちっとも可愛くないけど、個性的、かつ男らしい女は誰も彼もがカッコイイなあ。ばばまでも。
「ネウロ」最新刊(既に何巻なのかもよくわからん)(その程度の関心)
火火火さんがビジュアル的に加速しているようで、不安であり楽しみであり。
頼むから、一番最初にやられてくれるな!
ますます内容としては、読者置いてけぼりの感がありますが、個人的にはこっち方面のほうが、サイの駄々っ子っぷりに付き合っているより好みです。
ネウロはやっぱり、食欲第一の存在でないとねえ。
「ドSサミット」は笑った。
「第三の時効」
「驟(はし)り雨」
はこれから楽しみに。もうすぐ「ふたつのスピカ」も一気に届きます。
「みどりのマキバオー」はゆうメールで発送しましたよ、というお知らせが来てから、預かっている支店から動く気配がありません。
民営、お前まだ24日で年末営業とか言わせねえぞ。
以下、「RED」のネタバレ感想になります。
色恋から将軍としての自覚が出てきた家光は、やはりカッコよく見えますね。そしてその分、そばにいる男が、ますます霞んで見えるという誤算が。しかしこの作者さんの描く、可愛らしい女はちっとも可愛くないけど、個性的、かつ男らしい女は誰も彼もがカッコイイなあ。ばばまでも。
「ネウロ」最新刊(既に何巻なのかもよくわからん)(その程度の関心)
火火火さんがビジュアル的に加速しているようで、不安であり楽しみであり。
頼むから、一番最初にやられてくれるな!
ますます内容としては、読者置いてけぼりの感がありますが、個人的にはこっち方面のほうが、サイの駄々っ子っぷりに付き合っているより好みです。
ネウロはやっぱり、食欲第一の存在でないとねえ。
「ドSサミット」は笑った。
「第三の時効」
「驟(はし)り雨」
はこれから楽しみに。もうすぐ「ふたつのスピカ」も一気に届きます。
「みどりのマキバオー」はゆうメールで発送しましたよ、というお知らせが来てから、預かっている支店から動く気配がありません。
民営、お前まだ24日で年末営業とか言わせねえぞ。
以下、「RED」のネタバレ感想になります。
+ + + + + + + + + +
「RED」村枝賢一
インディアン(差別用語ではない)が虐殺されていた時代、ただ一人生き残った、ウィシャ・スー族の生き残り、レッドが、部族を皆殺しにしたブルー隊の面々に復讐をたくらみ、実行していく話である。
始まりが、女子どもの虐殺から始まるだけに、内容は明るいものではなく、血や肉や内臓が飛び散る残虐なシーンもたくさん出てくるのだが、正直、この漫画を読む前に抱いていたイメージとは、全く違った内容の作品だった。
主人公の、インディアンの青年レッドの行動理念は復讐。
ゆえに、作品そのものにも、湿って粘着質な悲劇性があるのかと思っていたのが、実際そうでもないのである。
何故なら、復讐=人殺しであることが明白だが、誰も彼も、それに対して「復讐は」空しいものだという説得を、レッドに殆どしないのである。
様々な事情から、レッドの復讐のたびに付き合う人間たちは、レッドの過去を知り、彼の行動している理由を知り、こう思う。
彼が死なないように、手伝いをしよう、と。
彼らは、レッドの復讐を止めないし、それこそ、人殺しは悪いことだからするなとも言わないのである。
それは、その時代に、人が殺されたり、殺したりすることが日常茶飯事に行われていたことと同じく、彼の復讐理念が、それぞれの感情に叶ったものであるからだ。
誰もが、彼の部族の虐殺の話を聞き、それはむごいものだと思い、また、特別同情することもせずに、ただ仲間になる。
そこに、やって当然の殺し合いがある以上、現代における、家族を殺された男の復讐とは、一線を介すものがあるのである。
加えるならば、レッドの復讐の相手である、ブルー隊長を中心とした小隊は、誰も彼もが問答無用で人殺しであり、わかりやすい敵なのだ。
無抵抗の人間を殺し、殺すことを楽しみ、漫画の見せ方としてわかりやすい狂人たちが、ブルー小隊の面々なのである。
その連中を、レッドやその仲間たちが倒していく様は、マカロニウェスタンならぬ、まさに、時代劇。
悪い奴等は切って捨てる。
その辺りの、殺されても仕方のない奴らを初めから相手にしている以上、レッドの復讐の旅は、粘着質になることもなく、カラっとした物語なのだ。
そしてまた、主役であるレッドも、生き生きとしている。
様々な登場人物が入り乱れている作品だが、この主人公は、凄惨な過去を持ち、復讐の相手を前に我を忘れることがあっても、日常の生活も同じレベルで楽しめる強い人間なのだ。
レッドの仲間には、「強い」人間しか集まらない。
レッドに興味を抱き、自分の男だと言ってはばからない、娼婦のアンジー。
日本で割腹し損ねた、熊本弁をしゃべる、義に厚い日本人、イエロウ。
ブルー小隊の一員であったが、レッドに捕縛されブルーを倒すために共に戦うゴールドスミス。
彼らは、レッドのそばにいるだけあって、復讐を止めるつもりはさらさらないし、復讐と同じレベルで飯を食べ、賭け事をする。
冗談も言えば、涙も血も流す。
だが、彼らに悲壮さはない。
変な言い方をすれば、彼らを見て不安にはならないのである。
彼らは、たとえ物語が進もうが、壊れることはないのだと、読み手は確信できるのである。
それは、最後に生き残るとか、生死の問題ではなく、彼らは彼らなりに生きて、そして死ぬ、または生き続けるのだと思わせるだけの力強さがあり、それもまた、物語の血なまぐささを緩和している。
やって当たり前の、真っ直ぐな復讐。
それにまい進する、真っ直ぐな仲間たち。
彼らが集まる物語に、後ろめたさや、そんなことになってしまった、という後悔はない。
ゆえに、レッドに関わってくる人物たちは、その強さに引きずられるように、それぞれがそれぞれの事情を抱えつつも、登場人物の一人として、必要があって消えていけるのである。
ただし、この物語に唯一、強くない存在がいる。
それが、グレイである。
彼は母親に育てられ、子どもの頃、自らの父親とは知らず、町にやってきた兵士を射殺した。それを見て逆上した母親は、グレイを撃ち、それからグレイは「死なない男」となって、大統領のエージェンシーをしている。
彼は、おかしくなった母親と、成長した後対面したが、母親は息子を夫だと思いつき、歓喜する。それを否定することなく、グレイは大統領に協力する見返りに、母親の保護を求める。
グレイは、巡回牧師として荒野を行く。人も殺す。
その有様は、まさに、弱い人間の他ならない。
悲惨な過去、という比べ方をすれば、レッドもグレイも、安穏に生活してきたわけではない。
ただ、復讐のために、自ら復讐の鬼になったレッドと違い、グレイは、明らかに、壊されたのである。
自分で狂ったのではなく、彼は他者によって壊され、そして、真っ当な人として生きられなくなった。
母親の代わりに、幼い少女に神格性を求め、拳銃で撃たれても弾が当たらない自分を揶揄し、人生を諦めて生きている。
それは彼が、確実に弱い人間であり、その弱さはレッドと対極をなすものとして描かれる。
グレイは最後、撃たれて死ぬ。
そこには救済も何もない。母親が自分を実は認識していたのだ、という事実を知ったところで、彼は癒されなかったし、彼を慕う幼い少女も、彼を救うことは出来なかった。
誰かによって壊されてしまったグレイは、「果たして自分は生きていてもいいのか」と問いかけるように、死地に赴く。
それは、彼なりの救済の旅だったのかもしれないが、それでも、誰かによって壊された男は、誰にも救いを求めなかった。
レッドたちなら、それができただろう。
レッドも、イエロウも強い人間であり、他者の力を借りることや、借りないことを選ぶことが出来る。
ただ、弱い人間であるグレイには、それすらできない。
だから最後、彼は撃たれて死ぬ。
救われることなく。
そのまま、少女を自分の神としてみていれば、救いもあっただろう。
実は正気を取り戻していた母親を、互いに許せば同じく救いもあった。
だが結局、彼はどちらも得ることができず、どちらも否定して、ただ死んでいく。
彼は、他者によって人生を変えられ、そして、レッドのように自分でその後の人生を選ぶことも出来なかった、非常に弱い人間なのだ。
他にも、スカーレットを死体の山の中から救い出した、スタージェスという男もいるのだが、彼は自分の弱さを知り、自分自身でそれを後悔し、贖罪を望んでいるだけ、グレイよりも人間として真っ当な道を選んでいる。
勿論彼も、救われることのない終わり方をするのだが、少なくともスタージェスは、自分で、スカーレットを自らの救いとすることができていた。
グレイは、それすらもできないのである。
レッドの物語の主軸そのものに、グレイの物語はそれほど関わっていない。エージェントとして、時折戦闘に参加したり、スカーレットという、レッドと同じ一族の生き残りを助けたり、とレッドとは別の次元で戦いに参加するが、彼は異彩を放って、この物語の中で弱い人間であり、逆に、つわものぞろいの物語の中で、彼の生はただ弱弱しくて悲しい。
レッドと言う強い人間と対比するかのように、弱い人間として、グレイは物語の双頭であるように思う。
スカーレットは彼の死に対して、号泣する。
グレイは誰かに優しくして、誰かに優しくしてもらいたかったのだろう。
だが結局、スカーレットの涙は知らぬままなのだ。
レッドは主役だが、個人的にこの物語の主役は、イエロウだと思っている。
彼は義に厚く、いけないことをいけないと言える強さがあり、友のために身体を張ることができる。レッドの過去を聞き、「レッドを死なせない」ために、復讐の旅に同行するのだ。
彼は非常に利他的な人間であり、死に損ね、死に場所を探しているイエロウにとって、レッドに協力することは、自らが生きていてもいいのだ、と自覚するような理念からであったのだろう。
レッドの自暴自棄な発言や、行動に心から怒ることのできる彼の旅の始まりは、確かに、他人のためのものであったが、途中、彼をそそのかし、共にアメリカに渡った、ムラサキが出てきてから、彼もまた復讐者になる。
自分を騙した男への復讐。
だが、それでもイエロウはイエロウであり、そのムラサキの背後にブルーの異常な影を見たイエロウは、自分自身が許すことの出来ないブルーの行動を止めるために、自ら進みだす。
それは、レッドと目的は同じであっても、進む過程は違った、彼の復讐であった。
それは彼自身のためではなく、守りたい友人であったり、許せない他者の所業であったり、と、恨みからきたものではなく、許してはおけないという、ある意味優しい感情から来たものだった。
そして、彼も自らの銃で復讐を完遂する。
それもまた、友の危機を救うという、実に彼らしい結末だった。
イエロウはレッドよりも人間味あふれ、非常に行動理念がわかりやすいため、物語の語り部は終始彼で進む。
さもすれば、暴走しがちなレッドの物語において、読者が常に感情移入できるのは、やはり、イエロウであろう。
この作品においての、女の位置づけは、実は、非常にどうでもいいものだと思っている。
物語の最初から最後まで、アンジーと言う女がレッドのそばにはいるのだが、このアンジーとレッド、何度読み返しても恋愛要素がかけらもないのである。
物語終盤、レッドが一人復讐に出向く際、
「生きて帰ってこれたら、残りの人生はお前のために使う」
とアンジーに告げる場面があるのだが、その場面、実はこの作品中で一番驚いたシーンだった。
アンジーは過去の事情から、必要以上にレッドに思い入れを抱くのはわからないでもないが、レッドは今まで正直、仲間内はイエロウが一番大切で後は一緒くらいのノリであり、それこそ、途中で仲間になるゴールドスミスよりも、アンジーの存在としての印象は薄いくらいだったからだ。
何で唐突にこんな場面が出てきたんだ。いくらなんでもこのシーンありえないだろう。
と思っていたら、その次で納得。
その後結局レッドは生き残り、アンジーと再会するのだが、そこでアンジーが
「別に何も言いにきたわけじゃないわよ。あんたの泣き言を聞きにきただけ」
というシーンが出てきて、そこでレッドはアンジーに救いを求めるかのように、押し倒す。
ああ、このシーンが少しでも違和感がないようにあの場面作ったんだなと納得できるくらい、唐突にふって沸いたフラグ立てだった。
もっともこのシーン、アンジーの過去話につながってしまうため、結局レッドがこのアンジーに抱いている感情がどうのというよりは、アンジーがレッドに対して抱いている感情の出所はこうです、という、アンジーのための場面に過ぎない。
だからレッドが自ら意思表示をしている、「残りの人生を?」の部分は、何回読み直しても違和感がありすぎるのである。正直、あれはないと思った。
この漫画、女性の主要人物が少ないが、それにしても、ノーマルな恋愛関係を描くのが苦手らしく、アンジーはおろか、裏ヒロイン、むしろ正ヒロインである、スカーレットの扱いも結構最後おざなりであった。
スカーレットは、レッドを知らずに育ち、物語中盤で己の氏素性を知り、レッドを探すたびに出る。それは、グレイが神と称した純粋さであったり、同族意識であったりするほか、彼女は物語においての母性の象徴なのだ。
彼女は優しく、アンジーのように拳銃を振り回して戦う存在ではない。最初から最後まで誰かに守られ、さらわれるような、力のない小娘だ。
だが、彼女がいるというただそれだけで、最後のウィシャであったレッドは、復讐の仮面を脱ぎ捨てて狼狽し、ブルーもその存在をほくそ笑む。
彼女のために、周囲は何かしてやりたいと思い、その懸命な姿に打たれる。
勿論彼女は黙って守られているだけの存在ではない。
ゴールドスミスの死の間際に、
「後悔して死んでください。次の世代の人たちが後悔しても意味がないから」
と言い切る強さを持ち合わせた少女だ(このとき仮にもゴールドスミスは身体を張ってスカーレットを守っているのだが)。
彼女の目的は、レッドに会う、というそれだけであり、レッドに会って止める気なのか、協力する気なのかも定かではない。
ただ、彼女は自分の存在こそが寄る辺なのだ、ということを自覚している。レッドの対存在であり、レッドの子を産み、母になる、というビジョンがある。
だからこそ、最終巻で丸々一ページも使って、彼女の初潮シーンが描かれるのだ。
こうして、名実ともに母となれる身体になったスカーレットだが、結局これも、レッドには意味がないことだったように思える。
レッドは確かにスカーレットの存在が希望だった。
「レッド」の意味は、「赤ちゃん」の色だと教えられ、死の間際に微笑みもした。だが、最後の最後で、彼は叫ぶ。
「スカーレット、銃をくれ! ブルーはまだ死んでない!」
そして、スカーレットが慌てて銃を取りに行くと、その離れた隙に、こともあろうにレッドは死ぬのである。
スカーレットを選ばず、彼は銃を選んだ。
結局レッドは、最初から最後まで、母を必要としていなかったのだ。
女としてのアンジーも必要ではなかったし、母としてのスカーレットも必要ではなかった。
明確に思い返したのはイエロウのみ。
彼が求めていたのは、復讐の相手と、かつて失ってしまった友、そして今の友。
これだけだったし、これだけで充分だったのだろう。
この点、スカーレットに純粋無垢な神の姿を投影した、グレイとは明らかに違うのがわかる。
レッドは例え同族であって、存在そのものが大切であったとしても、スカーレットそのものは必要ではなかったのだ。
強いて言えば、「ウィシャの生き残り」としてのスカーレットは、必要だったのであろう。
レッドは復讐において達観して生きている。
ゆえに、他のキャラクターよりも個性が薄い。
入り込める余地が少ないのである。
友を失い涙するシーンもあるし、喜び笑うシーンもある。
だが、物語が進むにつれ、彼は結局原点へ戻る。
ブルーへの復讐。彼を殺すこと。
彼の生い立ち全て関係なく、彼の起こした出来事の上に成り立つ復讐。
そこに他者の入り込む余地はなく、レッドは死んでいく。
彼は何も残さなかった。
ブルーは死に、レッドも死に、そして、二人の復讐をしようとする人間も誰一人いない。
何かを残し、死んでいった仲間たちと比べて、レッドは何も残さなかった。
それこそ、レッドがレッドたる所以のように思う。
さて、絵に関してだが、あまりに色々な男たちが出てくるのでどれから手をつけていいのか迷うな!(いきなりフランク)
グレイなんか、何巻かの巻頭カラーで、何処の峰倉かずやがいるのかと思ったよ。何あの三蔵! 背中に天使の羽とか背負っちゃって、二挺拳銃で、たれ目で、無精ひげって、お前スキルありすぎだろ!? 腰のラインが異様にセクシーで、グレイは外見だけなら他者の追随を許さない勢いでした(笑)
ゴールドスミスも渋いおじじで最高にカッコイイ。何あの歳経たスナイパー。眼帯ってどういうこと!? ちょっとしたジョークも言えるって、お前どんだけ男前なの!
先ほど紹介した、「後悔して死んでください」のシーンで、ゴールドスミスは、一方的に自分を慕っていた、部下の姿を思い出し、「そうか、そうだな」と事切れるシーンでは泣いた。
泣けるシーンといえば、実はこの作品正直泣くような作品ではないと思っているのだが、その中で唯一問答無用に泣けたのが、アンジーの過去だった。
別にアンジー云々で泣いたわけではない。
彼女が子どもの頃、教会に預けられ、歳経たインディアン、ウィーピングオウルと知り合う。
オウルは、勇敢なアンジーを、夜を恐れぬもの「ホワイトナイト」と名づけ、二人は親しくなっていく。
だが事件が起き、村人たちに追い詰められたオウルを救うため、逆上したアンジーは、村人に銃を向ける。
その銃口の前に飛び出て、弾丸を受けたのは、育ててくれたシスターだった。
「………ホワイトナイト………」
「まだ、私を………そう呼んでくれるのですね………」
アンジーを頼むと告げ、シスターは事切れる。
「ホワイトナイトって、先生のことだったんだね………。あんた、先生のことが大好きだったんだね………」
泣きながらアンジーを抱えて、森の中を走るオウルを見て、もうこっちが号泣。
泣いた、泣いたよ。この漫画で唯一号泣!
普通の男女のカップリングはイマイチだけど、老人のカップリングがどうしてこうも泣けるか!
他にも、ヤンデレ(笑)とお勧めいただいた、イエロウの友人ムラサキの死に際とかくるものがあります。
(言いたかった………。ずーっと、ずーっと。言いたかったんじゃ………。ごめんなさい、ち………)
ただ彼は、救われた勝ち組なので、嫌いな方は嫌いでしょうね。
私は、わかりやすい奴だな、くらいの印象ですが。
随分長々と書いてしまいましたが、迫力のある絵柄に、迫力のある戦闘シーン、銃撃シーンなどが楽しめれば、非常に面白い作品だと思います。
チリカとか、子どもも男前ですしね。さあみんなで選んでみよう。
ちなみに私の中で、性格、外見ともにダントツだったのは、クレイジーホースでした(笑)。
ごめんね! アニキ性格かつ、ロン毛オールバック後ろ一本結わき髪形に弱くて!(笑)
インディアン(差別用語ではない)が虐殺されていた時代、ただ一人生き残った、ウィシャ・スー族の生き残り、レッドが、部族を皆殺しにしたブルー隊の面々に復讐をたくらみ、実行していく話である。
始まりが、女子どもの虐殺から始まるだけに、内容は明るいものではなく、血や肉や内臓が飛び散る残虐なシーンもたくさん出てくるのだが、正直、この漫画を読む前に抱いていたイメージとは、全く違った内容の作品だった。
主人公の、インディアンの青年レッドの行動理念は復讐。
ゆえに、作品そのものにも、湿って粘着質な悲劇性があるのかと思っていたのが、実際そうでもないのである。
何故なら、復讐=人殺しであることが明白だが、誰も彼も、それに対して「復讐は」空しいものだという説得を、レッドに殆どしないのである。
様々な事情から、レッドの復讐のたびに付き合う人間たちは、レッドの過去を知り、彼の行動している理由を知り、こう思う。
彼が死なないように、手伝いをしよう、と。
彼らは、レッドの復讐を止めないし、それこそ、人殺しは悪いことだからするなとも言わないのである。
それは、その時代に、人が殺されたり、殺したりすることが日常茶飯事に行われていたことと同じく、彼の復讐理念が、それぞれの感情に叶ったものであるからだ。
誰もが、彼の部族の虐殺の話を聞き、それはむごいものだと思い、また、特別同情することもせずに、ただ仲間になる。
そこに、やって当然の殺し合いがある以上、現代における、家族を殺された男の復讐とは、一線を介すものがあるのである。
加えるならば、レッドの復讐の相手である、ブルー隊長を中心とした小隊は、誰も彼もが問答無用で人殺しであり、わかりやすい敵なのだ。
無抵抗の人間を殺し、殺すことを楽しみ、漫画の見せ方としてわかりやすい狂人たちが、ブルー小隊の面々なのである。
その連中を、レッドやその仲間たちが倒していく様は、マカロニウェスタンならぬ、まさに、時代劇。
悪い奴等は切って捨てる。
その辺りの、殺されても仕方のない奴らを初めから相手にしている以上、レッドの復讐の旅は、粘着質になることもなく、カラっとした物語なのだ。
そしてまた、主役であるレッドも、生き生きとしている。
様々な登場人物が入り乱れている作品だが、この主人公は、凄惨な過去を持ち、復讐の相手を前に我を忘れることがあっても、日常の生活も同じレベルで楽しめる強い人間なのだ。
レッドの仲間には、「強い」人間しか集まらない。
レッドに興味を抱き、自分の男だと言ってはばからない、娼婦のアンジー。
日本で割腹し損ねた、熊本弁をしゃべる、義に厚い日本人、イエロウ。
ブルー小隊の一員であったが、レッドに捕縛されブルーを倒すために共に戦うゴールドスミス。
彼らは、レッドのそばにいるだけあって、復讐を止めるつもりはさらさらないし、復讐と同じレベルで飯を食べ、賭け事をする。
冗談も言えば、涙も血も流す。
だが、彼らに悲壮さはない。
変な言い方をすれば、彼らを見て不安にはならないのである。
彼らは、たとえ物語が進もうが、壊れることはないのだと、読み手は確信できるのである。
それは、最後に生き残るとか、生死の問題ではなく、彼らは彼らなりに生きて、そして死ぬ、または生き続けるのだと思わせるだけの力強さがあり、それもまた、物語の血なまぐささを緩和している。
やって当たり前の、真っ直ぐな復讐。
それにまい進する、真っ直ぐな仲間たち。
彼らが集まる物語に、後ろめたさや、そんなことになってしまった、という後悔はない。
ゆえに、レッドに関わってくる人物たちは、その強さに引きずられるように、それぞれがそれぞれの事情を抱えつつも、登場人物の一人として、必要があって消えていけるのである。
ただし、この物語に唯一、強くない存在がいる。
それが、グレイである。
彼は母親に育てられ、子どもの頃、自らの父親とは知らず、町にやってきた兵士を射殺した。それを見て逆上した母親は、グレイを撃ち、それからグレイは「死なない男」となって、大統領のエージェンシーをしている。
彼は、おかしくなった母親と、成長した後対面したが、母親は息子を夫だと思いつき、歓喜する。それを否定することなく、グレイは大統領に協力する見返りに、母親の保護を求める。
グレイは、巡回牧師として荒野を行く。人も殺す。
その有様は、まさに、弱い人間の他ならない。
悲惨な過去、という比べ方をすれば、レッドもグレイも、安穏に生活してきたわけではない。
ただ、復讐のために、自ら復讐の鬼になったレッドと違い、グレイは、明らかに、壊されたのである。
自分で狂ったのではなく、彼は他者によって壊され、そして、真っ当な人として生きられなくなった。
母親の代わりに、幼い少女に神格性を求め、拳銃で撃たれても弾が当たらない自分を揶揄し、人生を諦めて生きている。
それは彼が、確実に弱い人間であり、その弱さはレッドと対極をなすものとして描かれる。
グレイは最後、撃たれて死ぬ。
そこには救済も何もない。母親が自分を実は認識していたのだ、という事実を知ったところで、彼は癒されなかったし、彼を慕う幼い少女も、彼を救うことは出来なかった。
誰かによって壊されてしまったグレイは、「果たして自分は生きていてもいいのか」と問いかけるように、死地に赴く。
それは、彼なりの救済の旅だったのかもしれないが、それでも、誰かによって壊された男は、誰にも救いを求めなかった。
レッドたちなら、それができただろう。
レッドも、イエロウも強い人間であり、他者の力を借りることや、借りないことを選ぶことが出来る。
ただ、弱い人間であるグレイには、それすらできない。
だから最後、彼は撃たれて死ぬ。
救われることなく。
そのまま、少女を自分の神としてみていれば、救いもあっただろう。
実は正気を取り戻していた母親を、互いに許せば同じく救いもあった。
だが結局、彼はどちらも得ることができず、どちらも否定して、ただ死んでいく。
彼は、他者によって人生を変えられ、そして、レッドのように自分でその後の人生を選ぶことも出来なかった、非常に弱い人間なのだ。
他にも、スカーレットを死体の山の中から救い出した、スタージェスという男もいるのだが、彼は自分の弱さを知り、自分自身でそれを後悔し、贖罪を望んでいるだけ、グレイよりも人間として真っ当な道を選んでいる。
勿論彼も、救われることのない終わり方をするのだが、少なくともスタージェスは、自分で、スカーレットを自らの救いとすることができていた。
グレイは、それすらもできないのである。
レッドの物語の主軸そのものに、グレイの物語はそれほど関わっていない。エージェントとして、時折戦闘に参加したり、スカーレットという、レッドと同じ一族の生き残りを助けたり、とレッドとは別の次元で戦いに参加するが、彼は異彩を放って、この物語の中で弱い人間であり、逆に、つわものぞろいの物語の中で、彼の生はただ弱弱しくて悲しい。
レッドと言う強い人間と対比するかのように、弱い人間として、グレイは物語の双頭であるように思う。
スカーレットは彼の死に対して、号泣する。
グレイは誰かに優しくして、誰かに優しくしてもらいたかったのだろう。
だが結局、スカーレットの涙は知らぬままなのだ。
レッドは主役だが、個人的にこの物語の主役は、イエロウだと思っている。
彼は義に厚く、いけないことをいけないと言える強さがあり、友のために身体を張ることができる。レッドの過去を聞き、「レッドを死なせない」ために、復讐の旅に同行するのだ。
彼は非常に利他的な人間であり、死に損ね、死に場所を探しているイエロウにとって、レッドに協力することは、自らが生きていてもいいのだ、と自覚するような理念からであったのだろう。
レッドの自暴自棄な発言や、行動に心から怒ることのできる彼の旅の始まりは、確かに、他人のためのものであったが、途中、彼をそそのかし、共にアメリカに渡った、ムラサキが出てきてから、彼もまた復讐者になる。
自分を騙した男への復讐。
だが、それでもイエロウはイエロウであり、そのムラサキの背後にブルーの異常な影を見たイエロウは、自分自身が許すことの出来ないブルーの行動を止めるために、自ら進みだす。
それは、レッドと目的は同じであっても、進む過程は違った、彼の復讐であった。
それは彼自身のためではなく、守りたい友人であったり、許せない他者の所業であったり、と、恨みからきたものではなく、許してはおけないという、ある意味優しい感情から来たものだった。
そして、彼も自らの銃で復讐を完遂する。
それもまた、友の危機を救うという、実に彼らしい結末だった。
イエロウはレッドよりも人間味あふれ、非常に行動理念がわかりやすいため、物語の語り部は終始彼で進む。
さもすれば、暴走しがちなレッドの物語において、読者が常に感情移入できるのは、やはり、イエロウであろう。
この作品においての、女の位置づけは、実は、非常にどうでもいいものだと思っている。
物語の最初から最後まで、アンジーと言う女がレッドのそばにはいるのだが、このアンジーとレッド、何度読み返しても恋愛要素がかけらもないのである。
物語終盤、レッドが一人復讐に出向く際、
「生きて帰ってこれたら、残りの人生はお前のために使う」
とアンジーに告げる場面があるのだが、その場面、実はこの作品中で一番驚いたシーンだった。
アンジーは過去の事情から、必要以上にレッドに思い入れを抱くのはわからないでもないが、レッドは今まで正直、仲間内はイエロウが一番大切で後は一緒くらいのノリであり、それこそ、途中で仲間になるゴールドスミスよりも、アンジーの存在としての印象は薄いくらいだったからだ。
何で唐突にこんな場面が出てきたんだ。いくらなんでもこのシーンありえないだろう。
と思っていたら、その次で納得。
その後結局レッドは生き残り、アンジーと再会するのだが、そこでアンジーが
「別に何も言いにきたわけじゃないわよ。あんたの泣き言を聞きにきただけ」
というシーンが出てきて、そこでレッドはアンジーに救いを求めるかのように、押し倒す。
ああ、このシーンが少しでも違和感がないようにあの場面作ったんだなと納得できるくらい、唐突にふって沸いたフラグ立てだった。
もっともこのシーン、アンジーの過去話につながってしまうため、結局レッドがこのアンジーに抱いている感情がどうのというよりは、アンジーがレッドに対して抱いている感情の出所はこうです、という、アンジーのための場面に過ぎない。
だからレッドが自ら意思表示をしている、「残りの人生を?」の部分は、何回読み直しても違和感がありすぎるのである。正直、あれはないと思った。
この漫画、女性の主要人物が少ないが、それにしても、ノーマルな恋愛関係を描くのが苦手らしく、アンジーはおろか、裏ヒロイン、むしろ正ヒロインである、スカーレットの扱いも結構最後おざなりであった。
スカーレットは、レッドを知らずに育ち、物語中盤で己の氏素性を知り、レッドを探すたびに出る。それは、グレイが神と称した純粋さであったり、同族意識であったりするほか、彼女は物語においての母性の象徴なのだ。
彼女は優しく、アンジーのように拳銃を振り回して戦う存在ではない。最初から最後まで誰かに守られ、さらわれるような、力のない小娘だ。
だが、彼女がいるというただそれだけで、最後のウィシャであったレッドは、復讐の仮面を脱ぎ捨てて狼狽し、ブルーもその存在をほくそ笑む。
彼女のために、周囲は何かしてやりたいと思い、その懸命な姿に打たれる。
勿論彼女は黙って守られているだけの存在ではない。
ゴールドスミスの死の間際に、
「後悔して死んでください。次の世代の人たちが後悔しても意味がないから」
と言い切る強さを持ち合わせた少女だ(このとき仮にもゴールドスミスは身体を張ってスカーレットを守っているのだが)。
彼女の目的は、レッドに会う、というそれだけであり、レッドに会って止める気なのか、協力する気なのかも定かではない。
ただ、彼女は自分の存在こそが寄る辺なのだ、ということを自覚している。レッドの対存在であり、レッドの子を産み、母になる、というビジョンがある。
だからこそ、最終巻で丸々一ページも使って、彼女の初潮シーンが描かれるのだ。
こうして、名実ともに母となれる身体になったスカーレットだが、結局これも、レッドには意味がないことだったように思える。
レッドは確かにスカーレットの存在が希望だった。
「レッド」の意味は、「赤ちゃん」の色だと教えられ、死の間際に微笑みもした。だが、最後の最後で、彼は叫ぶ。
「スカーレット、銃をくれ! ブルーはまだ死んでない!」
そして、スカーレットが慌てて銃を取りに行くと、その離れた隙に、こともあろうにレッドは死ぬのである。
スカーレットを選ばず、彼は銃を選んだ。
結局レッドは、最初から最後まで、母を必要としていなかったのだ。
女としてのアンジーも必要ではなかったし、母としてのスカーレットも必要ではなかった。
明確に思い返したのはイエロウのみ。
彼が求めていたのは、復讐の相手と、かつて失ってしまった友、そして今の友。
これだけだったし、これだけで充分だったのだろう。
この点、スカーレットに純粋無垢な神の姿を投影した、グレイとは明らかに違うのがわかる。
レッドは例え同族であって、存在そのものが大切であったとしても、スカーレットそのものは必要ではなかったのだ。
強いて言えば、「ウィシャの生き残り」としてのスカーレットは、必要だったのであろう。
レッドは復讐において達観して生きている。
ゆえに、他のキャラクターよりも個性が薄い。
入り込める余地が少ないのである。
友を失い涙するシーンもあるし、喜び笑うシーンもある。
だが、物語が進むにつれ、彼は結局原点へ戻る。
ブルーへの復讐。彼を殺すこと。
彼の生い立ち全て関係なく、彼の起こした出来事の上に成り立つ復讐。
そこに他者の入り込む余地はなく、レッドは死んでいく。
彼は何も残さなかった。
ブルーは死に、レッドも死に、そして、二人の復讐をしようとする人間も誰一人いない。
何かを残し、死んでいった仲間たちと比べて、レッドは何も残さなかった。
それこそ、レッドがレッドたる所以のように思う。
さて、絵に関してだが、あまりに色々な男たちが出てくるのでどれから手をつけていいのか迷うな!(いきなりフランク)
グレイなんか、何巻かの巻頭カラーで、何処の峰倉かずやがいるのかと思ったよ。何あの三蔵! 背中に天使の羽とか背負っちゃって、二挺拳銃で、たれ目で、無精ひげって、お前スキルありすぎだろ!? 腰のラインが異様にセクシーで、グレイは外見だけなら他者の追随を許さない勢いでした(笑)
ゴールドスミスも渋いおじじで最高にカッコイイ。何あの歳経たスナイパー。眼帯ってどういうこと!? ちょっとしたジョークも言えるって、お前どんだけ男前なの!
先ほど紹介した、「後悔して死んでください」のシーンで、ゴールドスミスは、一方的に自分を慕っていた、部下の姿を思い出し、「そうか、そうだな」と事切れるシーンでは泣いた。
泣けるシーンといえば、実はこの作品正直泣くような作品ではないと思っているのだが、その中で唯一問答無用に泣けたのが、アンジーの過去だった。
別にアンジー云々で泣いたわけではない。
彼女が子どもの頃、教会に預けられ、歳経たインディアン、ウィーピングオウルと知り合う。
オウルは、勇敢なアンジーを、夜を恐れぬもの「ホワイトナイト」と名づけ、二人は親しくなっていく。
だが事件が起き、村人たちに追い詰められたオウルを救うため、逆上したアンジーは、村人に銃を向ける。
その銃口の前に飛び出て、弾丸を受けたのは、育ててくれたシスターだった。
「………ホワイトナイト………」
「まだ、私を………そう呼んでくれるのですね………」
アンジーを頼むと告げ、シスターは事切れる。
「ホワイトナイトって、先生のことだったんだね………。あんた、先生のことが大好きだったんだね………」
泣きながらアンジーを抱えて、森の中を走るオウルを見て、もうこっちが号泣。
泣いた、泣いたよ。この漫画で唯一号泣!
普通の男女のカップリングはイマイチだけど、老人のカップリングがどうしてこうも泣けるか!
他にも、ヤンデレ(笑)とお勧めいただいた、イエロウの友人ムラサキの死に際とかくるものがあります。
(言いたかった………。ずーっと、ずーっと。言いたかったんじゃ………。ごめんなさい、ち………)
ただ彼は、救われた勝ち組なので、嫌いな方は嫌いでしょうね。
私は、わかりやすい奴だな、くらいの印象ですが。
随分長々と書いてしまいましたが、迫力のある絵柄に、迫力のある戦闘シーン、銃撃シーンなどが楽しめれば、非常に面白い作品だと思います。
チリカとか、子どもも男前ですしね。さあみんなで選んでみよう。
ちなみに私の中で、性格、外見ともにダントツだったのは、クレイジーホースでした(笑)。
ごめんね! アニキ性格かつ、ロン毛オールバック後ろ一本結わき髪形に弱くて!(笑)
PR