「ペイチェック 消された記憶」
ケツアゴ(アーロン・エッカート)を見たくてレンタルしたのですが、始まってみれば主役(ベン・アフレック)もケツアゴだったという罠。
そんなに派手なアクションはありませんが、サスペンス物としてはまとまっていて良かったです。
記憶を消せる時代に、仕事終了後、FBIに取り調べを受け、何者かに命を狙われる主人公。
この場合、主人公は自分が記憶を消されるのは、あくまでそういう契約の仕事だとわかっているので、何故自分は仕事をスムーズに終わらせることなく、一億近い株券を放棄し、役立たずのがらくたばかりつめた茶封筒を残したのか。
20個のがらくたで一体どうやって追っ手から逃げて、真実にたどり着けるのか、あたりが見所でしょうか。
がらくたはそれほど予想外の使われ方をするわけではありませんが、絶望的に手掛かりのない中、ヘアスプレーやクリップでどうやって場面を切り抜けるのか引き込まれます。
主人公はマッチョですが、わりとビジネスマンぽい感じですし、肉体に任せたアクションではないので、変にヒーロー的アクションがない分、リアリティがあります。殴る蹴る、はむしろヒロインが率先してやってますし。大体、ヒロイン役がユマ・サーマンですからねえ。この人きれいなんですが、ロボット的なきれいさなので、感情移入しにくい感じです。逆に戦闘シーン以外で違和感、というか。
最終的にアーロン・エッカート演じる会社の社長さんは、「お前の未来を見せてやる」とか言って直接対決になるんですが、その社長さん一連の登場シーンがすべてスローモーションになるのが、ありがちかもしれませんが、カッコよかったです。
流れる音楽。振り向く主人公。建物の影から銃を片手にゆっくり歩み寄ってくるスーツ姿の男。
一連の演出が統合されていて、中々見ごたえがありました。アニメ的っていったらそうなのかもしれませんが、わかりやすいだけに、インパクトが大きいです。
この社長さん、他の連中が自分の未来を見たがるのに対し、徹頭徹尾最後まで自分の未来を見ようとしないのが、凄くシュールでした。そこまで考えての演出ではないのかもしれませんが、見たいとはなから思っていないにせよ、他にやることがあったから見る必要がなかったにせよ、どちらにしてもかっこいいですね。
「世界最速のインディアン」
この場合のインディアンは差別用語ではなく、オートバイの名前です。
バイク命の老人が、最速スピードを出すためだけに、ニュージーランドからはるばるアメリカにわたり、そこで記録を打ち立てる、という話なんですが、俺がじじいものに弱いと知っての狼藉か!
ほぼ最初から最後まで泣きっぱなしでした。
良かったと思っては泣き、感動しては泣き、切なくなっては泣きで、忙しいったらありゃしません。
基本的に、アンソニー・ホプキンス演じる、バイク好きの老人、バート・マンローは、バイクだけに情熱を注ぎ、変人と見られている人なんですが、これが世捨て人ではなく、きちんと他人とコミュニケーションをとっている、人好きのする男だ、というのが中々「偏屈な老人もの」としては画期的かな、と思います。
バートはバイク中心に生きてますが、隣の子供と一緒に話をしたり、彼女とつきあったり、バイク仲間とパーティーをしたりと、私から見ると十分社交的だろというくらい、人間関係構築してますので。
バートは作中で、様々な人と出会い、その人たちの善意や好意によって、助けられて目的を果たすのですが、ここで「こんなにいい人ばかりいるわけじゃない」というツッコミは、かなりヤボでしょう。
バートがバイクにかけた情熱が、様々な人との関わりの中で、最終的に実った、というだけで、人の善意を問題にしたい映画ではないからです。
個人的には、バートが白い目で見られたり、老人だからと笑われたり、心血を注いだバイクを馬鹿にされたりするシーンだけで気持ちとしてはいっぱいいっぱいなので、それ以上やられると、ただの老人イジメみたいになってしまって、逆に物語として入り込めなかったと思うので、困難はあっても人の助けで叶う、という図式がはっきりしていて、見続けるのが苦ではなかったです。
金がないために、部品を一から手作りし、バルブのふたはブランデーのコルク。タイヤは市販のものを肉きり包丁で表面を削ったもので、見た目もまったくおしゃれではない。バート自身も老人で、心臓に持病を抱えている。そんなオンボロのコンビが、世界最速をアメリカでたたき出す、というロマンがまた泣かせます。ノンフィクションが元って言うのが、もうねえ。
紆余曲折の末、バートが大会のある塩の湖、ボンネビルにたどり着き、歓喜のあまり涙を流すシーンで一番号泣しました。まだレース始まってもいないのに(苦笑)。
他にも、バートを老人の戯言だとわらった若者のライダーたちが、旅立ちの日にみんなで送りにきてくれて、選別まで渡したり(その前のシーンで、勝負をして、彼らはバートから金をせしめているので、それをそのまま渡したんじゃないかなあ)、アメリカでも大なり小なり様々な人に助けられていくシーンは、やっぱり悪意を見せ付けられるよりも、感動できます。
最後、ニュージーランドに戻ってきたバートが、「やっぱり我が家がいい。来年も挑戦するからこれから忙しい」と言いながら、画面がひいていき「この記録以降、1000CCバイク最速記録はいまだ破られていない」と文字が出たときに、最後にまた号泣。
若干映画としては長いですが、アンソニー・ホプキンスの見事な演技も相まって、非常に面白い映画でした。
ケツアゴ(アーロン・エッカート)を見たくてレンタルしたのですが、始まってみれば主役(ベン・アフレック)もケツアゴだったという罠。
そんなに派手なアクションはありませんが、サスペンス物としてはまとまっていて良かったです。
記憶を消せる時代に、仕事終了後、FBIに取り調べを受け、何者かに命を狙われる主人公。
この場合、主人公は自分が記憶を消されるのは、あくまでそういう契約の仕事だとわかっているので、何故自分は仕事をスムーズに終わらせることなく、一億近い株券を放棄し、役立たずのがらくたばかりつめた茶封筒を残したのか。
20個のがらくたで一体どうやって追っ手から逃げて、真実にたどり着けるのか、あたりが見所でしょうか。
がらくたはそれほど予想外の使われ方をするわけではありませんが、絶望的に手掛かりのない中、ヘアスプレーやクリップでどうやって場面を切り抜けるのか引き込まれます。
主人公はマッチョですが、わりとビジネスマンぽい感じですし、肉体に任せたアクションではないので、変にヒーロー的アクションがない分、リアリティがあります。殴る蹴る、はむしろヒロインが率先してやってますし。大体、ヒロイン役がユマ・サーマンですからねえ。この人きれいなんですが、ロボット的なきれいさなので、感情移入しにくい感じです。逆に戦闘シーン以外で違和感、というか。
最終的にアーロン・エッカート演じる会社の社長さんは、「お前の未来を見せてやる」とか言って直接対決になるんですが、その社長さん一連の登場シーンがすべてスローモーションになるのが、ありがちかもしれませんが、カッコよかったです。
流れる音楽。振り向く主人公。建物の影から銃を片手にゆっくり歩み寄ってくるスーツ姿の男。
一連の演出が統合されていて、中々見ごたえがありました。アニメ的っていったらそうなのかもしれませんが、わかりやすいだけに、インパクトが大きいです。
この社長さん、他の連中が自分の未来を見たがるのに対し、徹頭徹尾最後まで自分の未来を見ようとしないのが、凄くシュールでした。そこまで考えての演出ではないのかもしれませんが、見たいとはなから思っていないにせよ、他にやることがあったから見る必要がなかったにせよ、どちらにしてもかっこいいですね。
「世界最速のインディアン」
この場合のインディアンは差別用語ではなく、オートバイの名前です。
バイク命の老人が、最速スピードを出すためだけに、ニュージーランドからはるばるアメリカにわたり、そこで記録を打ち立てる、という話なんですが、俺がじじいものに弱いと知っての狼藉か!
ほぼ最初から最後まで泣きっぱなしでした。
良かったと思っては泣き、感動しては泣き、切なくなっては泣きで、忙しいったらありゃしません。
基本的に、アンソニー・ホプキンス演じる、バイク好きの老人、バート・マンローは、バイクだけに情熱を注ぎ、変人と見られている人なんですが、これが世捨て人ではなく、きちんと他人とコミュニケーションをとっている、人好きのする男だ、というのが中々「偏屈な老人もの」としては画期的かな、と思います。
バートはバイク中心に生きてますが、隣の子供と一緒に話をしたり、彼女とつきあったり、バイク仲間とパーティーをしたりと、私から見ると十分社交的だろというくらい、人間関係構築してますので。
バートは作中で、様々な人と出会い、その人たちの善意や好意によって、助けられて目的を果たすのですが、ここで「こんなにいい人ばかりいるわけじゃない」というツッコミは、かなりヤボでしょう。
バートがバイクにかけた情熱が、様々な人との関わりの中で、最終的に実った、というだけで、人の善意を問題にしたい映画ではないからです。
個人的には、バートが白い目で見られたり、老人だからと笑われたり、心血を注いだバイクを馬鹿にされたりするシーンだけで気持ちとしてはいっぱいいっぱいなので、それ以上やられると、ただの老人イジメみたいになってしまって、逆に物語として入り込めなかったと思うので、困難はあっても人の助けで叶う、という図式がはっきりしていて、見続けるのが苦ではなかったです。
金がないために、部品を一から手作りし、バルブのふたはブランデーのコルク。タイヤは市販のものを肉きり包丁で表面を削ったもので、見た目もまったくおしゃれではない。バート自身も老人で、心臓に持病を抱えている。そんなオンボロのコンビが、世界最速をアメリカでたたき出す、というロマンがまた泣かせます。ノンフィクションが元って言うのが、もうねえ。
紆余曲折の末、バートが大会のある塩の湖、ボンネビルにたどり着き、歓喜のあまり涙を流すシーンで一番号泣しました。まだレース始まってもいないのに(苦笑)。
他にも、バートを老人の戯言だとわらった若者のライダーたちが、旅立ちの日にみんなで送りにきてくれて、選別まで渡したり(その前のシーンで、勝負をして、彼らはバートから金をせしめているので、それをそのまま渡したんじゃないかなあ)、アメリカでも大なり小なり様々な人に助けられていくシーンは、やっぱり悪意を見せ付けられるよりも、感動できます。
最後、ニュージーランドに戻ってきたバートが、「やっぱり我が家がいい。来年も挑戦するからこれから忙しい」と言いながら、画面がひいていき「この記録以降、1000CCバイク最速記録はいまだ破られていない」と文字が出たときに、最後にまた号泣。
若干映画としては長いですが、アンソニー・ホプキンスの見事な演技も相まって、非常に面白い映画でした。
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