『ミスト』
衝撃のラスト、と好評価なので見てみました。
結果として、ホラーものの楽しみ方がよくわからないという結論に達しました。
確かに後味悪いっちゃあ、悪いんですが、そこになんていうか、知らない上で最善を尽くしたのに絶望、みたいな、どうしようもならない悲壮感みたいなのものを、感じなきゃいけないんだろうけどくらいの感想でした。パニック映画とか、ホラーモノに耐性があるんでしょうか。虫や、よくわからない謎の生物のグロさとか、契れた胴体とか、純粋にスプラッタな部分は、スプラッタとしてちゃんと見られるんですが、逆に、そこにストーリーが絡んでくるのが、おかしい、と思ってしまうのは、ホラーに慣れていないからなのかもしれません。
未知の物体Xが絡んでくると、それだけで、「がっつりフィクション」という気分になってしまうからかもしれませんが。
『サスペクト・ゼロ』
少なくとも、『セブン』は越えてません。強いて言うなら『Xファイル』。しかも、『Xファイル』を見たことがない私が想像する『Xファイル』です。
アーロン・エッカート祭りFBI役。わりと惜しいなあ、というスタンスの映画です。つまらないわけじゃないんだけど、これも別にサスペンスでもなければ、ホラーでもなんでもないなあ。
これ、結局「遠隔透視能力」という、トンデモ能力があること前提なので、まずその手の超能力が駄目な人は当然駄目ですし、その能力者である、ベン・キングズレーの演技は素晴らしいものの、彼に食いついていけるほど、アーロン・エッカートの役柄が魅力的ではない。
最初、殺人犯と思われていた、ベン・キングズレーを追い、猟奇的な振る舞いや、住んでいた場所の異常さだけを見れば、『羊達の沈黙』のようですが、そうではない。
キングズレーは、透視能力で殺人犯や、被害者の声をきき、捕らえられないFBIの代わりに、殺人犯を始末します。その映像(というか気配)にシンクロするアーロン・エッカート。
最終的に、ギングズレーとエッカートの間には、ある種の信頼関係が生まれ、「サスペクトゼロ」という、証拠も動機もルールも残さない殺人犯を追い詰めるのだが、というが大まかなあらすじなんですが、このサスペクトゼロがまずいらない。
結局、ほぼ主役である、キングズレー演じる、透視能力者が最後、「疲れたから殺してくれ、この風景を千回は見てきた」とエッカートにすがるんですが、それならそれだけでいいと思うんですよね、主題。
見たくないのに見てしまう、精神がどんどん傷ついていく、キングズレーが「自分と同じ能力を持つ」エッカートを見つけ、自らの結末をゆだね、自分が関わる犯罪にくわえさせた、という、いわゆる仲間意識から生まれた一連の事件であったほうが、もっと、透視「できてしまう」人間同士のつながりが描けたと思います。
キングズレーは同族として、エッカートにかかわりを持ちたがり、エッカートはそれでもFBIとして、相手が人殺しといえども殺人を犯したキングズレーと「同じ」にはなれなかった。
サスペクトゼロという、常人には捕まえられない犯罪者を捕らえられるのは、超常の力を持つものだけだ、とキングズレーが声高に主張したい、それが主題なのであれば、逆に最後は、キングズレーは「自らの目的をエッカートによって果たした」満足感を得られなければいけないわけで。
視点が散漫になってしまったのが、残念だったかなあ、と思いました。
エッカートが最後まで組織の犬であるならば、最後のシーンで拳銃を撃つのも別に、ヒロインでなく、名も出ないFBI職員、名もなき警官であって欲しいですし。
キングズレーの演技は文句なしです。ある種の異常者でありながら、礼儀正しい紳士に見えるが、凄みが自然に身についている感じが、魅力的でした。エッカートはまあ役柄で損をしているというか。悲壮感にあふれるとか、思い悩む感じにしろ、激昂は出来ても、静かに狂うとかできなさそうですし。ヒロインは『マトリックス』のトリニティの人(キャリー=アン・モス)でしたが、印象そのまんまでした。
『エリン・ブロコビッチ』
よくも、悪くもアメリカ的な映画。日本ではこんなに一般人が活躍しないだろうし、まず、一般人が一般人にベラベラ話したりしないだろうし、こういう女性は「日本」では受けない。
アクティブでエネルギッシュなのはいいけど、それと態度が失礼で言葉遣いが悪いのは次元が違うだろうと思わず思ってしまう狭量な私でした。
内容としては、公害で莫大な賠償金を勝ち取ったノンフィクションなのですが、公害にある、その悲壮感などが極力削られている(あっても、エリンが自らの立場をかんがみるための、いい意味でのダシだったり)ので、あっけらかんとした気分で見られます。ただ、二時間以上は長い ………。
隣人の男性があまりにいい人すぎるのが気になりますが、まあ彼はこの映画にいてもいなくてもいいので。エリンも別に彼が気になって仕方がないってわけでもなさそうですしね。
「今まで初めて私の話を真面目にみんな聞いてくれているの。尊敬されるなんて初めてなの。仕事は辞めないわ」
………仕事ってそんなもんじゃねえけどな!(遠い目)
衝撃のラスト、と好評価なので見てみました。
結果として、ホラーものの楽しみ方がよくわからないという結論に達しました。
確かに後味悪いっちゃあ、悪いんですが、そこになんていうか、知らない上で最善を尽くしたのに絶望、みたいな、どうしようもならない悲壮感みたいなのものを、感じなきゃいけないんだろうけどくらいの感想でした。パニック映画とか、ホラーモノに耐性があるんでしょうか。虫や、よくわからない謎の生物のグロさとか、契れた胴体とか、純粋にスプラッタな部分は、スプラッタとしてちゃんと見られるんですが、逆に、そこにストーリーが絡んでくるのが、おかしい、と思ってしまうのは、ホラーに慣れていないからなのかもしれません。
未知の物体Xが絡んでくると、それだけで、「がっつりフィクション」という気分になってしまうからかもしれませんが。
『サスペクト・ゼロ』
少なくとも、『セブン』は越えてません。強いて言うなら『Xファイル』。しかも、『Xファイル』を見たことがない私が想像する『Xファイル』です。
アーロン・エッカート祭りFBI役。わりと惜しいなあ、というスタンスの映画です。つまらないわけじゃないんだけど、これも別にサスペンスでもなければ、ホラーでもなんでもないなあ。
これ、結局「遠隔透視能力」という、トンデモ能力があること前提なので、まずその手の超能力が駄目な人は当然駄目ですし、その能力者である、ベン・キングズレーの演技は素晴らしいものの、彼に食いついていけるほど、アーロン・エッカートの役柄が魅力的ではない。
最初、殺人犯と思われていた、ベン・キングズレーを追い、猟奇的な振る舞いや、住んでいた場所の異常さだけを見れば、『羊達の沈黙』のようですが、そうではない。
キングズレーは、透視能力で殺人犯や、被害者の声をきき、捕らえられないFBIの代わりに、殺人犯を始末します。その映像(というか気配)にシンクロするアーロン・エッカート。
最終的に、ギングズレーとエッカートの間には、ある種の信頼関係が生まれ、「サスペクトゼロ」という、証拠も動機もルールも残さない殺人犯を追い詰めるのだが、というが大まかなあらすじなんですが、このサスペクトゼロがまずいらない。
結局、ほぼ主役である、キングズレー演じる、透視能力者が最後、「疲れたから殺してくれ、この風景を千回は見てきた」とエッカートにすがるんですが、それならそれだけでいいと思うんですよね、主題。
見たくないのに見てしまう、精神がどんどん傷ついていく、キングズレーが「自分と同じ能力を持つ」エッカートを見つけ、自らの結末をゆだね、自分が関わる犯罪にくわえさせた、という、いわゆる仲間意識から生まれた一連の事件であったほうが、もっと、透視「できてしまう」人間同士のつながりが描けたと思います。
キングズレーは同族として、エッカートにかかわりを持ちたがり、エッカートはそれでもFBIとして、相手が人殺しといえども殺人を犯したキングズレーと「同じ」にはなれなかった。
サスペクトゼロという、常人には捕まえられない犯罪者を捕らえられるのは、超常の力を持つものだけだ、とキングズレーが声高に主張したい、それが主題なのであれば、逆に最後は、キングズレーは「自らの目的をエッカートによって果たした」満足感を得られなければいけないわけで。
視点が散漫になってしまったのが、残念だったかなあ、と思いました。
エッカートが最後まで組織の犬であるならば、最後のシーンで拳銃を撃つのも別に、ヒロインでなく、名も出ないFBI職員、名もなき警官であって欲しいですし。
キングズレーの演技は文句なしです。ある種の異常者でありながら、礼儀正しい紳士に見えるが、凄みが自然に身についている感じが、魅力的でした。エッカートはまあ役柄で損をしているというか。悲壮感にあふれるとか、思い悩む感じにしろ、激昂は出来ても、静かに狂うとかできなさそうですし。ヒロインは『マトリックス』のトリニティの人(キャリー=アン・モス)でしたが、印象そのまんまでした。
『エリン・ブロコビッチ』
よくも、悪くもアメリカ的な映画。日本ではこんなに一般人が活躍しないだろうし、まず、一般人が一般人にベラベラ話したりしないだろうし、こういう女性は「日本」では受けない。
アクティブでエネルギッシュなのはいいけど、それと態度が失礼で言葉遣いが悪いのは次元が違うだろうと思わず思ってしまう狭量な私でした。
内容としては、公害で莫大な賠償金を勝ち取ったノンフィクションなのですが、公害にある、その悲壮感などが極力削られている(あっても、エリンが自らの立場をかんがみるための、いい意味でのダシだったり)ので、あっけらかんとした気分で見られます。ただ、二時間以上は長い ………。
隣人の男性があまりにいい人すぎるのが気になりますが、まあ彼はこの映画にいてもいなくてもいいので。エリンも別に彼が気になって仕方がないってわけでもなさそうですしね。
「今まで初めて私の話を真面目にみんな聞いてくれているの。尊敬されるなんて初めてなの。仕事は辞めないわ」
………仕事ってそんなもんじゃねえけどな!(遠い目)
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