患者「………はんも………あおる………」
私「ハンドタオルですか? 引き出しの中にありますか? ちょっと見てみますね」
探してみるとない。
私「ないですねえ」
患者「はんどうたる………」
私「病院のでよければ持ってきますけど、それでもいいですか?」
患者「はんどうある」
私「すみません、もう一度」
患者「はんもうたい」
私「?? え?」
患者「はんどうたい……」
半導体! その発想はなかった!
患者「半導体を見に行かないと………。見に行ってくれる?」(いざわかればちゃんと文章としてわかってくる)
私「今私は行けないけれど、他の人がちゃんと見に行ってくれているので、大丈夫ですよ。後で一緒に確認しましょう」
患者「うん」
自分の身の回りに、半導体が関わってくることなど滅多にないので、非常に難解でしたが、やり遂げました。
何でも、バリバリの企業戦士だった方のようで。昔のことが染み付いちゃっているんでしょうねえ。
弟の具合が相変わらずのようで。
ごくたまに母親からメールが来るんですが、何でも今度は親知らずが歯茎の中で曲がって埋まってしまったらしく、それを粉々に砕いて抜いたらしいんですね。
それそのものは別に珍しい処置でもなんでもないですし、病院にだって歯科医は来ますから、私から見ても「ふーん」くらいの出来事だったのですが、その後弟は「血が中々止まらない」と騒いだらしい。
弟は(というか一族は)わりと痛みとか、血とかに強い方なので、それだけでも「え」という感じだったのですが、なんともう一度歯医者に電話して、行ったらしいんですよ。
結局、「いずれ止まります」って言われて帰ってきたんですが、それがまた不服だったらしく。
病気の人は、大病と言われると嫌だけど、なんともないと言われても嫌、っていう思考に陥りがちになるのですが、その典型ですね。
もう、完全に精神科系の部類だと思います。
メールでそ知らぬふりをして「体調はどうだ。紹介したい医者があるけどどうだ」みたいな文章を送ると、すぐに「体調はよくないから教えてくれ」と返事が。
すぐに返ってきたってことは、家にいるんだろうと電話すると、テンションの低い声が。(元々弟は声が低いのでいつだってテンションは低く感じる)
「寝てたのか」
「寝てない」
「体調はどうだ」
「歯が痛い」
「歯をどうした」(そ知らぬふり)
「親知らずを抜いたんだ」
まあそんな会話の後、心療内科を勧めてみます。
私「職場の人から聞いたんだけどね。その人は首から肩にかけての痛みが酷くて、休職してたんだけど、そのお医者さんに通って少しずつよくなったんだって。すぐに治るわけじゃないけど、今ではちゃんと働けてるし、痛みの分野でも強いみたいだから、どうだね」
勿論真っ赤な嘘です。
その医者の評判そのものはちゃんと調べましたが、具体的な事例がないと、弟は動かないだろうと思って。大体、姉にとやかく言われてもすぐに動くようなタイプじゃないので。結局勧めた整体にも行かなかったらしいですし。
結論として、予約するかどうかはよくわかりません。
まめにメールしてやろうとは思いますが、どうもあいつは、昔から変なところで腰が重いからなあ。
「私にとやかく言われるのもいやだろうけど」
「そんなことはない。ありがとう。調べてみる」
………それが嘘だとは思いませんが、調べてみるじゃ駄目なんだよ………。行かないことには………。ただでさえ、心療内科は予約が取りづらいのに………。
まめに実家に顔を出してみようとは思いますが、弟は基本的に夜の仕事なので、私が仕事帰りに寄ったところでいないし。夜勤明けに行ってみるか………。
自分のことならまだしも、身内のことだと色々アレですねえ。
これが五歳児とかなら、首根っこひっ捕まえて医者に連行もできますが、体重百キロ近い男を引きずるのは無理だ。
私「ハンドタオルですか? 引き出しの中にありますか? ちょっと見てみますね」
探してみるとない。
私「ないですねえ」
患者「はんどうたる………」
私「病院のでよければ持ってきますけど、それでもいいですか?」
患者「はんどうある」
私「すみません、もう一度」
患者「はんもうたい」
私「?? え?」
患者「はんどうたい……」
半導体! その発想はなかった!
患者「半導体を見に行かないと………。見に行ってくれる?」(いざわかればちゃんと文章としてわかってくる)
私「今私は行けないけれど、他の人がちゃんと見に行ってくれているので、大丈夫ですよ。後で一緒に確認しましょう」
患者「うん」
自分の身の回りに、半導体が関わってくることなど滅多にないので、非常に難解でしたが、やり遂げました。
何でも、バリバリの企業戦士だった方のようで。昔のことが染み付いちゃっているんでしょうねえ。
弟の具合が相変わらずのようで。
ごくたまに母親からメールが来るんですが、何でも今度は親知らずが歯茎の中で曲がって埋まってしまったらしく、それを粉々に砕いて抜いたらしいんですね。
それそのものは別に珍しい処置でもなんでもないですし、病院にだって歯科医は来ますから、私から見ても「ふーん」くらいの出来事だったのですが、その後弟は「血が中々止まらない」と騒いだらしい。
弟は(というか一族は)わりと痛みとか、血とかに強い方なので、それだけでも「え」という感じだったのですが、なんともう一度歯医者に電話して、行ったらしいんですよ。
結局、「いずれ止まります」って言われて帰ってきたんですが、それがまた不服だったらしく。
病気の人は、大病と言われると嫌だけど、なんともないと言われても嫌、っていう思考に陥りがちになるのですが、その典型ですね。
もう、完全に精神科系の部類だと思います。
メールでそ知らぬふりをして「体調はどうだ。紹介したい医者があるけどどうだ」みたいな文章を送ると、すぐに「体調はよくないから教えてくれ」と返事が。
すぐに返ってきたってことは、家にいるんだろうと電話すると、テンションの低い声が。(元々弟は声が低いのでいつだってテンションは低く感じる)
「寝てたのか」
「寝てない」
「体調はどうだ」
「歯が痛い」
「歯をどうした」(そ知らぬふり)
「親知らずを抜いたんだ」
まあそんな会話の後、心療内科を勧めてみます。
私「職場の人から聞いたんだけどね。その人は首から肩にかけての痛みが酷くて、休職してたんだけど、そのお医者さんに通って少しずつよくなったんだって。すぐに治るわけじゃないけど、今ではちゃんと働けてるし、痛みの分野でも強いみたいだから、どうだね」
勿論真っ赤な嘘です。
その医者の評判そのものはちゃんと調べましたが、具体的な事例がないと、弟は動かないだろうと思って。大体、姉にとやかく言われてもすぐに動くようなタイプじゃないので。結局勧めた整体にも行かなかったらしいですし。
結論として、予約するかどうかはよくわかりません。
まめにメールしてやろうとは思いますが、どうもあいつは、昔から変なところで腰が重いからなあ。
「私にとやかく言われるのもいやだろうけど」
「そんなことはない。ありがとう。調べてみる」
………それが嘘だとは思いませんが、調べてみるじゃ駄目なんだよ………。行かないことには………。ただでさえ、心療内科は予約が取りづらいのに………。
まめに実家に顔を出してみようとは思いますが、弟は基本的に夜の仕事なので、私が仕事帰りに寄ったところでいないし。夜勤明けに行ってみるか………。
自分のことならまだしも、身内のことだと色々アレですねえ。
これが五歳児とかなら、首根っこひっ捕まえて医者に連行もできますが、体重百キロ近い男を引きずるのは無理だ。
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