忍者ブログ
日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
[312] [311] [310] [309] [308] [307] [306] [305] [304] [303] [302]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



『マシュー・マコノヒー マーシャルの奇跡』
デヴィット・ストラザーン祭り。
スポ根ものとして紹介されることが多いらしいんですが、個人的には全くそんな感じではありませんでした。なすべきことを懸命にやろうとした人たちが、ただ素晴らしいという感じで。

実話を基にした作品で、1970年、マーシャル大学のアメフト関係者や、町の住人達が乗った飛行機が墜落し、乗客全員が死亡してしまう。
残された人々は、悲しみの中でどう立ち上がっていくか。
新しいアメフトチームがどう復活し、また悲しみを乗り越えていくかの物語です。
最初っから最後まで泣きどおしでした。そして、デヴィット・ストラザーンは最高でした(それが目当て)。

事故が起こり、街の有志たちも、若く才能のある生徒達も亡くなり、街全体が悲しみにくれます。
チームはコーチも後援者も失い、再開は延期されます。
「失ったものを、毎週思い出す」
マーシャル大学学長エドモン(デヴィット・ストラザーン)は、その旨を偶然地元に残った四人に伝えます。
残ったメンバーはアメフト再開のために、一年や大学の生徒を集め、決起します。
「わからない。何から手をつければいいのかも」
「まず、コーチ選びからです」

婚約者を失ったアニーは、その父であり、教育委員会会長のグリフィンに店で話しかけます。
息子と映っている写真が飾ってある席に座る、グリフィンに、アニーは震えながら指輪を返そうとします。
「元は奥様の………。それをクリスに………。だから、返します。これは家族で持つものです」
「家族って? ………君が持っていてくれ。それを毎朝つけるたびに、息子を思い出してくれ」

飛行機の席を譲ったおかげで助かった、コーチ・レッドの元に学長が訪れますが、彼に戻る意思はありませんでした。
「私が彼の立場だったら、起き上がることもできなかったでしょう。どうか、もっと彼に仕事を与えてください」
そう、レッドの妻に言い残し、学長は新しいコーチ選びに奔走します。

ストラザーン演じる学長は、決して優柔不断で不誠実な人間ではありません。非常に真面目で真摯な態度をとる人ですが、それでも彼は学長である以上、生徒やチームとは同じ目線でのやり方を選びません。駄目なものは駄目なのだと、告げるのが上に立つ人間のすべきことだとわかっているので。
そんな彼が、必死でコーチを勧誘するために、何本も電話をかけるシーンで号泣。(おっさんが努力する様に心底弱い)
基本的に私は、努力をしている人間がその努力に報われないのが嫌なので(誰だってそうでしょうが)、見ていて凄く精神的に堪えました。こう、派手な「試練」ではなく、他人に断られるのは、相手の態度がどれだけ丁寧であっても辛いものですし、それを、延々(しかも見込みもないのに)続けなければいけないっていうのは、もう心底辛いわけです。
特に私は日常生活にある、誰もが経験する負の感情に非常に弱いので(スプラッターとか全く平気なんですが)ストラザーンが、どれだけ断られても、丁寧に受け答えしている姿を見るのが、本当に辛かったです。
これは感性の問題であって、普通に見られる人は「そりゃメンバーも誰もいないチームなんて引き受ける人はいないよね」と受け止められるのだと思いますし、実際そりゃそうだと私も思うんですが、こういうシチュエーションそのものがきっついのです、私は。

全ての人間に断られた学長の下に、陽気な性格のジャック・レンゲル(マシュー・マコノヒー)がコーチになりたいと連絡をしてきます。
ジャックの家を訪れた学長は、彼に尋ねます。
「ジャック。君に尋ねたいことが一つある。失礼だったら許してくれ」
ここで、許してくれ、と言うのが学長の性格ですよねえ。
「電話をもらったときに、貴方の目的を聞いておくべきだった。ここのコーチだし、うちとは関係がない。何故志願した? 普通の人間なら………。私が気になるのは、ここへ呼び出す前に少しは考えたか、ということだ」
「少しはね」
ジャックの答えを受けて、学長はその場を去ろうとします。それを呼び止めるジャック。
「電話した理由だよね。難しい話じゃないよ」
「この四ヶ月難しい話ばかりだ。簡単に頼む」
「墜落事故の聞いたとき、考えたのはあいつらのことだ。かけがえのない家族。もしあいつらを失ったら、どうなってたか。そして考えた。チームを。学校を。街を。傷ついてるはずだ。そして思った。力になろうって」
それを聞いて、学長がぐっと涙をこらえる様を見て、また号泣。
「私は詳しくないほうが都合がいいと思っている」
と、ジャックに学長が言うのも、またらしくていいんですよねえ。

チーム再開に反対する人々の意思を内包しながら、ジャックはコーチに就任します。
ただ、どうしても人数が足りません。そのためにジャックは、NCAA(全米大学体育協会)に請願を求めます。例外的にマーシャル大だけ一年生が出られるようにと。
このへん、中々理解できないのですが、フットボールは一年生は出られない、またどんどん他の学生や、他のスポーツをやっている人をスカウトしていい(スカウト、ということばが当然のように山ほど出てくる)ということのようですね。

NCAAは石頭で例外を認めない、という学長に、ジャックは言います。息子が信じられないことに四歳でそそうをし、それを自分が片付けたと。
「妻が信じられないと言ったのは、俺がオムツを片付けたことだ」
「何がいいたい?」
「やればできる」

ジャックはレッドを誘いにきます。
「今度はアシスタントだ。同じ分だけ働いて、給料はへる。その代わり、責任はへる。地元のスカウトを頼みたい」
「………レシーバーのコーチなのに、スカウトも任された。二十軒周り、二十のリビングに座り、二十人の母親に預かると約束した。73年に卒業のはずが………一人もいない。教えてくれ、今度は母親達になんて約束すればいい?」

残された四人のレギュラーメンバーも、それぞれ葛藤を抱えます。再建に必死なもの。また、チームに戻らないもの。
「あいつらが託したチームだぞ! 俺たちにかかってる!」
「俺は行くべきだった。お前にわかるもんか! 俺は寝坊した。それで飛行機に乗り遅れた。怪我でも病気でもない。一緒に行くはずだった」

ジャックの下に、レッドが現れ、コーチ陣は何とか揃います。
ただスカウトはままならず。学長もNCAAに請願書を出し続けますが、却下され続けます。
「それがジャック。これまで色よい返事が来ていない。もっと時間が必要かも」
「時間はないよ。時間は友達じゃない。………学長は結婚してる?」
「ああ。二十五年になる」
「二十五年か。賭けてもいいが、プロポーズは電話じゃなかっただろう? そして、奥さんの答えも手紙じゃなかった。できるって。あんたは開拓者だ。新しいことに挑戦できる」
「君は………」
「あんただ。誰にでも初めてのときはある。あんたしかできない」
そして学長は、豪雨の中、NCAAを訪ねます。
「マーシャル大学長のエドモンです。少しよろしいですか」
「カンザスで何してる」
「私の街も、学校も傷ついてます。あなたの力添えがないと、アメフトができません。お願いです」
ぬれねずみになった姿で戻ってきた学長の手に持っていたのは、承認の手紙。
「オムツをかえるって」
号泣(またお前!)。

ここからは、スカウトのコミカルなシーンが入ります。野球やらサッカーやらバスケから「君、いい体してるね。やらないか」みたいなノリで、コーチ陣が声をかけるのが面白いです。
練習は中々上手くいかず、ジャックはライバル校に作戦のコツを教えてもらえるよう頼みに行きます。そこには、ヘルメットにマーシャル大追悼を現したエムブレムが。
「色はいまいちかな」
「最高です」

新しい作戦によって、何とか形になってきた新生マーシャル大チーム。『ヤング・サンダリング・ハード』ですが、経験や実力の差はいかんともしがたく、初戦は敗退します。
懸命に試合をするチームや、コーチの姿に、レッドは失った仲間達を思い出し、指示できなくなってしまいます。
また生き残った四人の選手たちも、新しく加入した選手たちとの埋められない溝を実感します。
四人の選手のうち、キャプテンであるラフィンも、肩を痛め、出場が危ぶまれてしまいます。荒れた気持ちは態度にも出てしまい、ラフィンの乱暴な態度は目に余るものになっていきます。
「お前一人だけが辛いと思うな!」
レッドはそう言い放ち、グラウンドを去ります。
「前コーチが、亡くなる直前にこう言った。ファンが期待するのは勝利だけだ。俺たちは勝てない。この先もずっと。亡くなった人たちを辱めている」
ラフィンは痛む肩で、懸命に試合に出たいとジャックに懇願します。
「これは、勇気ややる気の問題じゃない」
「俺のチームでした。俺は託されたんです」
「それは違うな。彼らは託していない。ただ去った」
「じゃあ何故、俺は残ったの? 何で?」
「わからない」

教育委員会で、学長のクビが決まります。
会長であるグリフィンの元へ、エドモン学長が訪れます。
「事故の傷が深すぎた。新聞もテレビも見られない。職場でもアメフトから逃れられない。事故のことや、死んだ息子のことを思い出す」
「原因は事故のことだけじゃない。息子さんが亡くなったことだ。それを乗り越えなければ、何人もの学長をクビにしても、意味がない」

レッドの元へ、ジャックが訪れます。
「ここに来て生まれて初めて知った。勝利だけを求めるのは真実ではないと。今ここでは違うんだ。ここでは、勝とうが負けようが関係ない。どう戦うのかもな。大事なのはプレイできるかどうかだ。レッド、いつか言うよ。今日や明日や今季は無理だ。来季も無理だがいつか俺たちは気づく。急によそのチームや他のスポーツみたいに、勝利が全てで他に何もないって。そのときがきたら、前のチームを誇れる」

事故後、地元での初試合に、ジャックは朝早くから会場へ向かう大勢の街の人たちの姿を見ます。
「何の日だ?」
「試合の日」

グリフィンはアニーに、街を出るという息子との約束を守れと言います。
「自分の人生を生きろ。二度と出られなくなるぞ。私や仕事なんかいい。悲しみは厄介だ。後悔し続ける道を選ぶことになるから」
「後悔なんてしません」
「君じゃない」

試合前、ジャックは選手たちと亡くなったチームメイトの墓を訪れます。
損傷が激しく、判別できなかった六人の遺体。彼らは共に埋葬された。それはマーシャル大の歴史だという。
「お前達がなんであるかは、ここにある。フィールドに立った時、ハートを見せてくれ。最後の笛がなるまで戦え。それができれば、俺たちは、負けない。忘れないで欲しい。六名の若者と、六十九名の犠牲者を。今日一緒にフィールドには立てない。だが、見てるぞ。心しろよ。お前達の全プレーを歯を食いしばって見ている。いいか、お前達はこの試練を乗り越え、栄光を掴め。我ら」
「マーシャル!」
「今日で喪はあけた」
原題が『We are Mashall』なだけに、この言葉は頻繁に出てきますが、やはり感動します。

そして始まる地元での試合。面白いのが、観客が殆ど緑色のアイテムをつけて見に来ているんですね。緑はマーシャル大のイメージカラーなので。ネクタイだったり、シャツだったり、女性はリボンだったり。
そして、ラスト一秒。劇的なタッチダウンが決まり、見事マーシャル大は勝利します。
歓喜に沸きあがる中、「勝ったの?」と思わず横の人に感極まって聞いてしまう学長が、超可愛い。(笑)

勝利の後、ジャックは観客席にいる学長の側に走ってきます。
「これは試合の儀式なんです。一番活躍した選手に渡す。学長だ」
「私は選手じゃないよ」
「我らマーシャル。誰もが選手だ」
そして、学長の手にはウィニングボールが残されたのでした号泣。(また。笑)

選手の後日談が語られるのですが、ラフィンが闘病生活の後、亡くなられて、六人の選手たちと一緒の場所に埋葬されたと聞き、またもや号泣。(というか泣き通しなのでは)

エンドクレジットが凝っていて、映画のシーンと、多分実在の映像が照らし合わせる感じで映るので、感動もひとしおでした。実際のジャックと、マシューが共に映るスナップがあったり、本当の学長がストラザーンと似ても似つかなかったり。(笑)

長々と書きましたが、スポーツもの特有のしつこさとか、汗臭さがクドくいないですし、アメフトのルールを知らなくても楽しむことができると思います。ストラザーンは超可愛いし。
いい意味で、二時間ドラマを見ているような感じでした。すっきりとまとまっているので。
二時間強はちょっと長いですが、お勧めです。
PR
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ツイッター
ブログ内検索
メモ

公式サイト11月10日発売予定








ファンタスティックMr.FOX
アリス・クリードの失踪
4デイズ


美術系
・氷見晃堂(石川県立美術館)
・佐々木象堂(佐渡歴史伝説館)
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) 雑記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]