アカギだの、攻殻機動隊だの、コロンボだの、ウェストサイドストーリーだの混同している私の予約リストは、さぞカオスだろうと思いますが、向こうはそんなのおかまいなく、カイジとミュージカルをセットで送りつけてくるので、届いたときなんともいえない気持ちになります。
いいけど、結局私以外見ないんだし(何処までいっても一人趣味)。
『チキチキバンバン』
名作ミュージカルと名高いらしいのですが、蓋を開けてみれば、オヤジの空想話に始終付き合わされる内容で仰天。
衣装がおしゃれだったり、勿論有名な音楽は軽快で楽しいのですが、その空想の世界(ミュージカル部分)が、あくまで妄想どまりなのが非常に痛くて見ていられませんでした。
これが「現実のファンタジー」である、例えば『ナルニア国物語』(衣装ダンスの奥には異世界があった)とか、『ネバーエンディングストーリー』くらいまでいけば、そういう世界のそういう文化、として見られたのかもしれませんが、見ている側は「え、これ親父の妄想だよね。空想の話だよね。え、それなのになんでこんなにシュールなの」と終始困惑気味。
本来ならば、日常生活でのミュージカルパートに違和感を覚えなければいけないはずなのに、そこは流せて、いわばなんでもありの妄想部分でのミュージカルシーンに違和感を覚える始末。
歌の内容もシュールだし、大体空想の世界の話が、子どもに語って伝えるほどわかりやすい内容じゃない。
元々、シュールやファンタジーというものにたいして、あまり耐性がないので、個人的には頑張っておかしな世界を演出したいのだろうけど、見ている側はそれほどその世界観にのめりこめないという温度差を感じる映画になってしまいました。
普通に現実世界で、楽しげに歌い踊る場面は、音楽もおしゃれだし、カッコよかったのになあ。
二時間半以上も我慢して見る映画じゃないなあ。
『マルタの鷹』
拍手にてお勧めいただきました。ありがとうございます。
天下の、ハンフリー・ボガード主演の、ハードボイルド映画です。
この映画、勿論役者陣も大変カッコイイのですが、特筆すべきはその展開の速さ。
え、と思っている間に次のシーン。
ええ? と思っている間に、不必要な行間をぶっ飛ばして展開は進みます。
それゆえに、ちょっと余所見をしていると話の筋がわからなくなるし、登場人物の名前に特別説明はないしで、その展開の速さが非常に、ギスギスした感じがして、逆に、ハードボイルドの世界観に合っているように思いました。
それに乗っかってくるように、主人公である探偵、サム・スペイド(ハンフリー・ボガード)の心理描写が、全くないので、非常に硬派なイメージが先にたちます。
心理描写に割く時間があるなら、主人公にカッコイイ行動を取らせたほうがいいし、カッコイイ台詞一つしゃべらせた方がいい。
アメリカ流強い男、というか、タフな男は、余計なことに思い悩んだりしないのだ。思案→行動→結果に至るまでの過程が、常人の比じゃないのだ。だからこそ強い男なのだ。
この辺は、様式美というか、カッコイイアメリカのタフなロボットと一緒で、主人公に感情移入する映画ではなく、ありえないくらい非人間的なカッコよさを味わう映画なのです。
本当にスペイドは、笑っても「クッ」くらいだし、憤ってもそれは芝居であったりする、鉄面皮の男で、その男がダークスーツに身を包み、帽子を目深にかぶっている姿は、まさに一枚の絵。
しかも、ハンフリー・ボガードは二枚目ではないので、普段の顔でアピールするよりは、そうでない部分を見せたほうが、そりゃ魂抜かれますよ。
相手を、うっすら笑いながら追い詰める顔、そして、感情を全く表さない顔で敵と相対する姿は、まさにゾクゾクします。
このへん、キャラクターとして揺るぎがないというか、登場人物に「どうしてスペイドはこんなにクールなんだろう」と思わせることに成功しているので、見せ方の上手さでしょうね。
この時代の台詞運びの上手さも健在。
依頼人が来た、それが美人だと秘書に伝えられたときの、
「すぐにお通ししろ」
とか、女がらみの台詞の上手さは、向こうのお家芸ですね。
「お前が絞首刑になっても、覚えている」
とか、惚れた女に言う台詞じゃない。
しかも、どれだけ女にもてていても、それはそれというか、嬉しそうな様子を全く見せないストイックさ加減が、映画の主題とよく合っています。
初めはよくわからなかったのですが、サム・スペイドは巻きタバコみたいなものを吸うんですね。紙にタバコの葉を巻いて、舌でなめて棒状にして、火をつける。
この一連の動作がカッコよかったです。
意識的に吸うんじゃなく、喫煙者が自分の居場所について、当然のように行う動作までもが絵になる。
ハードボイルドはこうでないと。
いいけど、結局私以外見ないんだし(何処までいっても一人趣味)。
『チキチキバンバン』
名作ミュージカルと名高いらしいのですが、蓋を開けてみれば、オヤジの空想話に始終付き合わされる内容で仰天。
衣装がおしゃれだったり、勿論有名な音楽は軽快で楽しいのですが、その空想の世界(ミュージカル部分)が、あくまで妄想どまりなのが非常に痛くて見ていられませんでした。
これが「現実のファンタジー」である、例えば『ナルニア国物語』(衣装ダンスの奥には異世界があった)とか、『ネバーエンディングストーリー』くらいまでいけば、そういう世界のそういう文化、として見られたのかもしれませんが、見ている側は「え、これ親父の妄想だよね。空想の話だよね。え、それなのになんでこんなにシュールなの」と終始困惑気味。
本来ならば、日常生活でのミュージカルパートに違和感を覚えなければいけないはずなのに、そこは流せて、いわばなんでもありの妄想部分でのミュージカルシーンに違和感を覚える始末。
歌の内容もシュールだし、大体空想の世界の話が、子どもに語って伝えるほどわかりやすい内容じゃない。
元々、シュールやファンタジーというものにたいして、あまり耐性がないので、個人的には頑張っておかしな世界を演出したいのだろうけど、見ている側はそれほどその世界観にのめりこめないという温度差を感じる映画になってしまいました。
普通に現実世界で、楽しげに歌い踊る場面は、音楽もおしゃれだし、カッコよかったのになあ。
二時間半以上も我慢して見る映画じゃないなあ。
『マルタの鷹』
拍手にてお勧めいただきました。ありがとうございます。
天下の、ハンフリー・ボガード主演の、ハードボイルド映画です。
この映画、勿論役者陣も大変カッコイイのですが、特筆すべきはその展開の速さ。
え、と思っている間に次のシーン。
ええ? と思っている間に、不必要な行間をぶっ飛ばして展開は進みます。
それゆえに、ちょっと余所見をしていると話の筋がわからなくなるし、登場人物の名前に特別説明はないしで、その展開の速さが非常に、ギスギスした感じがして、逆に、ハードボイルドの世界観に合っているように思いました。
それに乗っかってくるように、主人公である探偵、サム・スペイド(ハンフリー・ボガード)の心理描写が、全くないので、非常に硬派なイメージが先にたちます。
心理描写に割く時間があるなら、主人公にカッコイイ行動を取らせたほうがいいし、カッコイイ台詞一つしゃべらせた方がいい。
アメリカ流強い男、というか、タフな男は、余計なことに思い悩んだりしないのだ。思案→行動→結果に至るまでの過程が、常人の比じゃないのだ。だからこそ強い男なのだ。
この辺は、様式美というか、カッコイイアメリカのタフなロボットと一緒で、主人公に感情移入する映画ではなく、ありえないくらい非人間的なカッコよさを味わう映画なのです。
本当にスペイドは、笑っても「クッ」くらいだし、憤ってもそれは芝居であったりする、鉄面皮の男で、その男がダークスーツに身を包み、帽子を目深にかぶっている姿は、まさに一枚の絵。
しかも、ハンフリー・ボガードは二枚目ではないので、普段の顔でアピールするよりは、そうでない部分を見せたほうが、そりゃ魂抜かれますよ。
相手を、うっすら笑いながら追い詰める顔、そして、感情を全く表さない顔で敵と相対する姿は、まさにゾクゾクします。
このへん、キャラクターとして揺るぎがないというか、登場人物に「どうしてスペイドはこんなにクールなんだろう」と思わせることに成功しているので、見せ方の上手さでしょうね。
この時代の台詞運びの上手さも健在。
依頼人が来た、それが美人だと秘書に伝えられたときの、
「すぐにお通ししろ」
とか、女がらみの台詞の上手さは、向こうのお家芸ですね。
「お前が絞首刑になっても、覚えている」
とか、惚れた女に言う台詞じゃない。
しかも、どれだけ女にもてていても、それはそれというか、嬉しそうな様子を全く見せないストイックさ加減が、映画の主題とよく合っています。
初めはよくわからなかったのですが、サム・スペイドは巻きタバコみたいなものを吸うんですね。紙にタバコの葉を巻いて、舌でなめて棒状にして、火をつける。
この一連の動作がカッコよかったです。
意識的に吸うんじゃなく、喫煙者が自分の居場所について、当然のように行う動作までもが絵になる。
ハードボイルドはこうでないと。
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