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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『ウォルター少年と、夏の休日』
泣き通しでした。
母親に捨てられたも同然の少年が、顔も知らなかった大伯父兄弟の下でひと夏を過ごし、さまざまなことを体験してく物語です。
大ボラのようなアフリカやアラブの話。
婚約者を奪い取った族長と、石油の話。
それらを裏づけするような、ハブ伯父の強さと、正体不明の金。
美しい写真の女性に、ジャスミンという女性の物語。
見ているこっちは、ウォルターがおかれた、しようもない現実よりも、ガース伯父が話してくれる、過去の話を信じたい。
けれど、周囲はそれを笑う。
真夜中、一人出歩くハブ伯父に、ウォルターは尋ねます。話は本当なのかと。
「この世には、本当であるかどうかは別にして、信じなければならないことがある」
「人間は、生来善だ。善は必ず悪に勝つ」
「そして、真実の愛は、永遠に滅びることはないのだ」
見ながら嗚咽。
当たり前のことを当たり前に言う、年老いた伯父。
決して当たり前ではないことを、当たり前だと言える伯父。
どちらにしても、なんだか胸をうつものがあって、非常にぐっときました。
ハブ伯父にとって、それは真実であり、そしてその姿を見たウォルターにとっても、信じたい過去の話であった、ということなのでしょう。
結果、ウォルターはガース伯父が話す、過去のハブ伯父のエピソードを信じ、自分を迎えに来た母親とその恋人から離れます。

「一度で良いから、僕のことだけ考えて」
母親も決して悪い人、ではないんですが………。悪い母親、ではあるんでしょうな………。
結局子供を置いて新しい男を作り、「私にはこれしかない」と言い切れる以上、それは彼女の生き方であって。ただ、なら子供作っちゃいけねえよなあ………。

途中で、老いた雌ライオンを飼うことになるんですが、そのライオンが、母親の恋人に襲われたウォルターを助けて、死亡します。
「勇敢なライオンだった。本物の、ライオンだった」
そう、伯父たちとウォルターは言い合い、彼女が好きだったトウモロコシ畑に埋葬します。このとき、ちゃんと三人が正装しているのが凄く泣けるんですが。
ライオンを間違えて買ってしまったときも、「とんだ買い物だ」「お前の種よりマシだ」(ガース伯父はまがい物の種をこの前につかまされている)と、凄く会話がおしゃれでした。

そして、最後。
大人になり、独り立ちしたウォルターの元に、伯父たちの訃報が届きます。
「二人とも、一緒に逝かれました」
90歳で無免許で飛行機を運転した挙句、宙返りで倉庫をくぐろうとし、そのまま墜落して亡くなったと。
ウォルターが久しぶりに訪れた伯父たちの家は、記憶のまま変わらず、倉庫に飛行機だけが突っ込んで存在していました。
保安官は、遺書をウォルターに見せます。

『坊主に全部やる。 ライオンの隣に埋めてくれ』

ここで、一番号泣しました。
鼻水と涙で嗚咽しながら、突如現れたヘリコプターから、過去の物語に出てきた、婚約者を奪った族長の孫が現れます。
「彼らは真実の男だったと。一枚上手だったと。彼らをご存知ですか?」
信じたかった、少年だったウォルターが信じ、今も信じている伯父たちが、心底本物であったことを知った青年は、
「ええ。育ててもらいました」
胸をはってそう答えて、物語は終わるのでした。

俺は泣いたよ………。泣き疲れて眼が腫れました。

役者陣も豪華で、主人公ウォルター少年は、『シックス・センス』のあの少年です。ハーレイ・ジョエル・オスメントですね。
ハブ伯父は、『ゴッド・ファーザー』のロバート・デュヴァル。馬の首のシーンは怖かったなあ………。マーロン・ブランドが「捨てろ」と花束を見もせずに言うのも怖かった。
『サンキュー・スモーキング』にも出ていたらしいので、記憶を引っ張り出してみたんですが、ああ、あの、アーロン・エッカートの上司。
お勧めいただいたマイケル・ケインはガース伯父。ウォルターに初めからそれなりに好意的に接し、物語を進めてくれるチャーミングな伯父を好演していて、とてもセクシーです。
ハブ伯父は生き様で、ガース伯父は物語の語り部として、ウォルターをそれぞれ導いてくれます。

原題は『Secondhand Lions』といい、どういう意味なのかと見終わった後調べてみたんですが、Secondhand とは、中古品という意味を指すそうです。
中古のライオン、おんぼろライオンか………。
見終わった後わざわざ調べてまた泣く人間が一人。
いい映画でした。特に、エンドクレジットが凝っていたのには、満足。ウォルターの成長の証がそこにあります。
家一つ、車一つとっても、映画の中の世界としてあこがれた古き良き時代のアメリカンスタイルが見られるので、パーツとしても見ごたえがあります。
スーツの上にカウボーイハットをかぶり、朝食はスクランブルエッグにソーセージ。車は真っ赤なトラクターで、オーバーオールで農作業。
いいですねえ、こういう、幸せな想像の上での世界観というものは。
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