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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『ブラック・ダリア』
アーロン・エッカートが出ていたので。
実際にあった事件をどう料理したのかなあ、と思ったら、結構普通の社会派サスペンスでした。
CFで見た感じだと、もっとドロドロしているとか、映像美にこだわってみました、という雰囲気でしたが、刑事二人の内情や、過去が絡んだサスペンスとしてわりとまとまっていたと思います。
殺人現場のシーンも多いですが、あからさまではないので、目を背けたくなる描写もありません。
アーロン・エッカートは「その時代」のハンサムで、帽子が似合う泥臭い感じが、凄くカッコよかったんですが、主役の男の人の顔が浮いている。
他の連中が、本当にタバコとスーツと帽子、という昔ならではの男性や、女性ばかりなのに、妙に都会ナイズされた主人公の顔だけが、最初から最後まで非常に気になりました。
ジョシュ・ハートには、女におぼれたり、金に汚かったり、タフガイはどうしても似合わないなあ。演技が上手いのか下手なのかも個人的にはちょっと微妙です。
この人は、『ハリウッド殺人事件』でちょっとイカれた優等生を演じているくらいがちょうどいい。


『ハンニバル・ライジング』
『ブラック・ダリア』と連続で見てしまったので、胃もたれするかなあと思ったんですが、これ、意外に面白かったです。
予告で、なんちゃって日本文化とか、日本人ヒロイン(大体名前がムラサキって、ありえないだろう)とか、私的に笑いの要素しかないし、あの、天才精神科医、ハンニバル・レクターに、とってつけたような「原因」になった過去なんていらないだろうと思っていたんですが、愁嘆場もなく、淡々と人を殺していく様には、要因はあっても過程がない、っていうドライ感がよく描けていました。
青年のレクター博士を演じた、ギャスパー・ウリエルが線の細さも相まって、ド級の二枚目でした。
いやあ、私久しぶりに役者さんで、文句なしの美青年を見た。
ハンサムというほど砕けてなく、男前というほどタフでない、ただ綺麗な青年、それが淡々と殺人………というか、捕食していくさまが、なんとも綺麗で美しい。
映像的に綺麗に見せよう、という雰囲気ではないんですが、ハンニバルが相手を殺してく様が、大体拷問めいているので、彼そのものが毒々しかったら、もうこの映画やってられないと思います。日本刀を振り回したり、馬に縄ひかせて首絞めたり、死体の沈む貯水槽で溺死させたり、顎から頭頂部まで刃物を貫通させたりとか、ハンニバルがやってるからまだ許せる(視覚的に)。

最初の殺人で、「お前はご夫人を侮辱した」と、あのハンニバルが言うわけですよ。元々レクター博士は、フェミニストですし、異常性欲者ではないので、女性に対しては基本礼儀正しい。そのハンニバルにとって特別な相手が、未亡人である東洋人っていうのは、確かにパーツだけ見れば萌えですよねえ。
ただ、やっぱり日本文化の紹介的には、笑っちゃう場面ばかりでした。それも初期で出てこなくなるので、大丈夫、忘れられます。
鎧を飾ったり、面を天井からつるしたり、浮世絵を飾ったり、剣道を洋館でやったり、普通の日本人はしない。

ただ、東洋の神秘炸裂のレディ・ムラサキと、何処となく浮世離れした天才殺人鬼の恋愛未満の関係だけで、異様に女性向けの倒錯した雰囲気が流れておりました。
二人とも恋愛じゃない、っていうのがまた。
「愛している」
とハンニバルが告げても、
「貴方に愛に値するものがあるの?」
と去っていくムラサキ。
それを追いかけることなく、相手の頬肉を噛み千切るハンニバル。
これ、萌えましたねえ。

カニバリズムが根底にあるとはいえ、それを感じさせず淡々と人を殺していくハンニバルの魅力は、歳経たものではなく、まだまだ純白の初々しさがあって、『羊達の沈黙』のような、恐怖ではなく、かわいらしさすら感じされる内容でした。
さあ君も、ハンニバル・レクターにウィンクされてみないか。
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