「麗しのサブリナ」
大体の筋と、オードリー・ヘップバーンが出てる、くらいの内容は知っていたんですが、オードリー扮するサブリナが、非常にいい性格をしていて困った。
サブリナは運転手の娘で、大富豪の次男坊に恋をしているんだけど、次男坊は三回も結婚に失敗している、女たらし。
パリの料理学校に行く羽目になってしまったサブリナは、叶わぬ恋を抱いて自殺しようとするんだけど、その方法が、お父さんが管理しているガレージに乗り込んで、エンジンふかして、一酸化炭素中毒で死のうとするんだぜ。
それ、なしだろ。
てっくり首でもくくろうとするのを見つかるとか、そんなのかと思ってたら、お前よりにもよって自分の父親の仕事台無しにするような死に方を選ぶって、どういうこと!?
なんていうか、サブリナは身分違いの恋に悩む少女(大体その時点で二十歳だし)という感じよりも、恋に浮かれて勘違いな行動に走る女という印象が強くて、一事が万事行動に共感できませんでした。
二年後パリから帰ってきて、素敵なレディに変身したのよ、みたいなシーンも、明らかに勘違いしてる発言が多いし。
次男坊は二年後の時点で婚約してるんだけど、それを言われても「だからなに」みたいな態度を取るサブリナが、ちっとも可愛くない。
いや、確かに恋愛っていうのは相手が結婚してようが、婚約してようが、関係ないったら関係ないのかもしれないけど、そんなお前の行動を周囲がどう見ているかとか、婚約者がいるのにほいほいお前に声をかけてくる次男坊のどこがいいのかとか、こっちはその恋を応援できない要素が多すぎだよ。
サブリナは、出だしで印象が悪かったせいで、最初から最後まで、自意識過剰の勘違い娘という印象のままで終わってしまいました。
いや、そりゃ顔は可愛いですよ。ヘップバーンですから。ただ、私ヘップバーンは別に好きな役者さんじゃないからな。
次男坊は女たらしですが、基本的にいい奴で打算のない女好きなので、逆に好感度が高かったです。
財産には興味がない。女の子がきれいだから声をかける。サブリナに二年前は興味がなかったのは、純粋に女として魅力的じゃなかったからで、二年後自分の目にかなえば、立場とか身分とか関係なく声をかけて、ずっと一緒にいようと言える。
恋愛の仕方も、感情の表し方もストレートで、こういう男を好きになると大変、男も一人の女をずっと好きでいられるような性質じゃないのもあいまって、上手くはいかないでしょうが、人間的に陰険じゃないので、見ていて楽しかったです。
現実として、お前は金も才能も何もないのに、「太平洋をいかだで横断しよう」とか、てらいもなく、未来の不安を全く感じさせずに本気で言えるのが次男坊イズム。
こういう男は裏表がないので嫌いじゃないです。
最終的にサブリナと結ばれる長男は、私てっきりビジネスにしか興味のない朴念仁かと思ってたら、とんでもない、すげえ腹黒で、策士でした。
しかも、適当に女の扱いに長けてやんの。サブリナを弟の代わりに面倒を見るふりをして、自分に惚れさせてパリへ追いやろうと騙すなんて、普通の堅物は考えない!
純粋に身分違いを諭すとか、もっと悪い路線から行くなら、父親を引き合いに出すとかして、追い出せばいいのだし。何故そこで自分に惚れさせて、という選択肢が出てくるのだよ長男………。
これも最初は芝居で、本当はサブリナ一人でパリに行かせる、というのが当初の思惑なんですが、それにしたって、長男演技派。
嘘か本当かわかりませんが、過去の女の話までしちゃって、お前弟よりもよっぽど女扱い上手いじゃねえの!
この長男の立ち位置は、ビジネスが第一だけど、それしか知らないのではなく、女扱いもジョークもできるけど別にそれらに関心がない、というアメリカ的何でもできる強い男だからこそ、年齢がサブリナよりも10は上なんでしょうね。
アメリカの恋愛映画は、年端も行かない少女と、老人の組み合わせは結構普通にあります。「昼下がりの情事」とかね。
まあそんな感じで、人物としては次男が一番まともなんじゃねえの、という感じの映画でした。
ただ、台詞の使い方とか、「くすり」と笑える場面の作り方は絶品。
二年後に帰ってきたサブリナを迎えに行けなかった父親の台詞とか、
「すまない、行けなくて」
「いいのよ」
「どうせ、行ってもわからなかった」(くらいきれいになった)
物凄くおしゃれだし。
サブリナがパリから送ってくる手紙を父親が、召使の人たちに読み聞かせるシーンも、
「デヴィット(次男)のことは書いてある?」
「忘れたそうだ」
「良かった」
「夜だけ思い出すらしい」
「駄目だわ」
「デヴィットの写真をやぶりました」
「良かった」
「セロハンテープを送ってください」
「駄目だわ」
とか、台詞回しが上手くて笑える。
それ以外にも、行動が凄く面白くて、禁酒禁煙をしている大富豪のお父さんが、奥さんに隠れて、出てくる場面でこそこそタバコを吸っていたり、長男が自分の部屋に帰ってくると、自分のクローゼットから煙が出ていて、慌てて開けてみると、お父さんが直立不動で隠れてタバコを吸っているとか。
「母さんかと思って」
ちょっとまぬけで、奥さんに頭の上がらないお父さんも可愛いです。
最終的には次男と同じように、尻ポケットに入れていたビンを忘れて椅子に座り、破片を突き刺して泣く羽目になるのですが。
「オリーブが!」
そうそう、次男がシャンペングラスを尻に入れたまま椅子に腰をかけ、サブリナとのデートが出来なくなるように仕向けたのも、長男です。
本当に、お前いい性格してるよな。
次男は、最後サブリナに注意された、長男のダサい帽子と傘を持って、悠々と兄貴の背中を「追いかけろ」と押すことのできる、典型的美味しいところ持って行き男なので、情けないだけの男じゃなくて、長男よりもよっぽどとっつきやすいと思いました。このシーン、弟がカッコイイんだ。
三人の恋の応援は特別できませんでしたが(強いて言えば次男は幸せになればいいと思う)物語の中にあるユーモアを楽しむ、という意味では、非常に面白い作品でした。衣装の素晴らしさ(サブリナパンツとか)は言うまでもなし。
大体の筋と、オードリー・ヘップバーンが出てる、くらいの内容は知っていたんですが、オードリー扮するサブリナが、非常にいい性格をしていて困った。
サブリナは運転手の娘で、大富豪の次男坊に恋をしているんだけど、次男坊は三回も結婚に失敗している、女たらし。
パリの料理学校に行く羽目になってしまったサブリナは、叶わぬ恋を抱いて自殺しようとするんだけど、その方法が、お父さんが管理しているガレージに乗り込んで、エンジンふかして、一酸化炭素中毒で死のうとするんだぜ。
それ、なしだろ。
てっくり首でもくくろうとするのを見つかるとか、そんなのかと思ってたら、お前よりにもよって自分の父親の仕事台無しにするような死に方を選ぶって、どういうこと!?
なんていうか、サブリナは身分違いの恋に悩む少女(大体その時点で二十歳だし)という感じよりも、恋に浮かれて勘違いな行動に走る女という印象が強くて、一事が万事行動に共感できませんでした。
二年後パリから帰ってきて、素敵なレディに変身したのよ、みたいなシーンも、明らかに勘違いしてる発言が多いし。
次男坊は二年後の時点で婚約してるんだけど、それを言われても「だからなに」みたいな態度を取るサブリナが、ちっとも可愛くない。
いや、確かに恋愛っていうのは相手が結婚してようが、婚約してようが、関係ないったら関係ないのかもしれないけど、そんなお前の行動を周囲がどう見ているかとか、婚約者がいるのにほいほいお前に声をかけてくる次男坊のどこがいいのかとか、こっちはその恋を応援できない要素が多すぎだよ。
サブリナは、出だしで印象が悪かったせいで、最初から最後まで、自意識過剰の勘違い娘という印象のままで終わってしまいました。
いや、そりゃ顔は可愛いですよ。ヘップバーンですから。ただ、私ヘップバーンは別に好きな役者さんじゃないからな。
次男坊は女たらしですが、基本的にいい奴で打算のない女好きなので、逆に好感度が高かったです。
財産には興味がない。女の子がきれいだから声をかける。サブリナに二年前は興味がなかったのは、純粋に女として魅力的じゃなかったからで、二年後自分の目にかなえば、立場とか身分とか関係なく声をかけて、ずっと一緒にいようと言える。
恋愛の仕方も、感情の表し方もストレートで、こういう男を好きになると大変、男も一人の女をずっと好きでいられるような性質じゃないのもあいまって、上手くはいかないでしょうが、人間的に陰険じゃないので、見ていて楽しかったです。
現実として、お前は金も才能も何もないのに、「太平洋をいかだで横断しよう」とか、てらいもなく、未来の不安を全く感じさせずに本気で言えるのが次男坊イズム。
こういう男は裏表がないので嫌いじゃないです。
最終的にサブリナと結ばれる長男は、私てっきりビジネスにしか興味のない朴念仁かと思ってたら、とんでもない、すげえ腹黒で、策士でした。
しかも、適当に女の扱いに長けてやんの。サブリナを弟の代わりに面倒を見るふりをして、自分に惚れさせてパリへ追いやろうと騙すなんて、普通の堅物は考えない!
純粋に身分違いを諭すとか、もっと悪い路線から行くなら、父親を引き合いに出すとかして、追い出せばいいのだし。何故そこで自分に惚れさせて、という選択肢が出てくるのだよ長男………。
これも最初は芝居で、本当はサブリナ一人でパリに行かせる、というのが当初の思惑なんですが、それにしたって、長男演技派。
嘘か本当かわかりませんが、過去の女の話までしちゃって、お前弟よりもよっぽど女扱い上手いじゃねえの!
この長男の立ち位置は、ビジネスが第一だけど、それしか知らないのではなく、女扱いもジョークもできるけど別にそれらに関心がない、というアメリカ的何でもできる強い男だからこそ、年齢がサブリナよりも10は上なんでしょうね。
アメリカの恋愛映画は、年端も行かない少女と、老人の組み合わせは結構普通にあります。「昼下がりの情事」とかね。
まあそんな感じで、人物としては次男が一番まともなんじゃねえの、という感じの映画でした。
ただ、台詞の使い方とか、「くすり」と笑える場面の作り方は絶品。
二年後に帰ってきたサブリナを迎えに行けなかった父親の台詞とか、
「すまない、行けなくて」
「いいのよ」
「どうせ、行ってもわからなかった」(くらいきれいになった)
物凄くおしゃれだし。
サブリナがパリから送ってくる手紙を父親が、召使の人たちに読み聞かせるシーンも、
「デヴィット(次男)のことは書いてある?」
「忘れたそうだ」
「良かった」
「夜だけ思い出すらしい」
「駄目だわ」
「デヴィットの写真をやぶりました」
「良かった」
「セロハンテープを送ってください」
「駄目だわ」
とか、台詞回しが上手くて笑える。
それ以外にも、行動が凄く面白くて、禁酒禁煙をしている大富豪のお父さんが、奥さんに隠れて、出てくる場面でこそこそタバコを吸っていたり、長男が自分の部屋に帰ってくると、自分のクローゼットから煙が出ていて、慌てて開けてみると、お父さんが直立不動で隠れてタバコを吸っているとか。
「母さんかと思って」
ちょっとまぬけで、奥さんに頭の上がらないお父さんも可愛いです。
最終的には次男と同じように、尻ポケットに入れていたビンを忘れて椅子に座り、破片を突き刺して泣く羽目になるのですが。
「オリーブが!」
そうそう、次男がシャンペングラスを尻に入れたまま椅子に腰をかけ、サブリナとのデートが出来なくなるように仕向けたのも、長男です。
本当に、お前いい性格してるよな。
次男は、最後サブリナに注意された、長男のダサい帽子と傘を持って、悠々と兄貴の背中を「追いかけろ」と押すことのできる、典型的美味しいところ持って行き男なので、情けないだけの男じゃなくて、長男よりもよっぽどとっつきやすいと思いました。このシーン、弟がカッコイイんだ。
三人の恋の応援は特別できませんでしたが(強いて言えば次男は幸せになればいいと思う)物語の中にあるユーモアを楽しむ、という意味では、非常に面白い作品でした。衣装の素晴らしさ(サブリナパンツとか)は言うまでもなし。
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