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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『バスカヴィルの獣犬』
ムーラン・ルージュで変態貴族を演じて、凄くかっこよかったリチャード・ロクスバーグが出ているというので借りてみたんですが、あれ? ずっと違う人だと思ってたよ………。
私がリチャード・ロクスバーグだと思っていた、ワトソン役はイアン・ハートでした。
そして、リチャード・ロクスバーグは凛々しく男前であごがっちりのホームズでした。
あ、あの変態貴族の面影は何処に!?
いや、ホームズだってかなりの変態でおまけにヤク中だけどさ。
私は別に、ホームズファンではないので(名探偵ホームズは大好きだ)帽子とパイプがないから違和感、ということも全くなく、普通にシルクハットに巻きタバコのホームズを受け入れられました。
舞台がその時代のイギリスで、広大な自然と町並みが非常におしゃれです。おしゃれというか、想像できるよきイギリスの都会と田舎というか。薄いトーストをかじり、紅茶を飲み、不味そうな卵を食べて、男性は常にシルクハットに黒のロングコートにベスト。様式美的な美しさがそこにあります。
基本的に、ホームズシリーズは推理小説だとはあまり思っていないので、この映画もサスペンス物という捕らえ方で間違いないかと。
私は前述したとおり、イギリスの世界観や、衣装などを含めた映像としては楽しめましたが、話としてはまあ普通、という感じでしょうか。
特別怖くもなければ、ホームズが劇的に活躍するわけでもなく。
ホームズよりも主人公がワトソンなのは、個人的には嬉しい限りです。どう考えたって、他人の心の機微全くわからない男より、人情派なんだけど基本紳士で、行動力もあって、かつインテリ(医者だぜ)のワトソンのほうが好みです。ヘイスティングスとは違った可愛さがあるよね。
結局、最初から最後までまるで報われないワトソンが見所なのではないかと。
ホームズはーうーん、テレビシリーズのほうが病んでる感が強くて、こっちのホームズはただ性格が悪いだけに見えました。推理もまあアレだし、大体、依頼人を一ミリも大切にしないのってどうなの。
イギリスの文化と、ワトソンの可愛さを楽しむ、くらいのまったりした気持ちで見ればいいのではないかと思います。


『ラスト・マップ/真実を探して 特別版』
クリストファー・ウォーケンと、マイケル・ケインが出ていて、見ないわけにはいかないだろう、と鼻息荒くしてみました。
世間の評判は並で、短いとか色々言われているみたいなんですが、個人的にはこれくらいのドライ感が流れる親子物のほうが好みでした。
主人公が幼い頃に出て行った父親が急に戻り、祖父が急に亡くなり、そして祖父の遺言に従って、父親、主人公、その息子の三人で車の旅が始まる。散骨をしながら家族の交流が描かれるのですが、その描かれ方が非常にシャープというか、家族だけどそれぞれの領域にはあくまで踏み込まないというスタンスが非常にリアルでした。
これが女同士ならそうもいかないのかもしれませんが、男同士だとその微妙な距離感が凄く感情移入できました。

また、祖父(曽祖父になるのかな)の遺言がカッコいいんだ。
ケンタッキーフライドチキンの紙袋に、散骨して欲しい場所の地図と、開いて欲しい順番に詰められた青とピンク色の付箋。
がさがさ紙袋を開けながら、いちいち遺言どおりに、まず目的地に向かい、そして必ず食事をして、指定場所で散骨する。
見ているこっちは、その家庭でずっと離れていた父息子間の絆が深まるのかな、と思いきや、そうでもないんですね。
息子はじぶんをほっておいた父親を尊敬できないし(そりゃそうだ)父は父で「今まで何も頼んだことのなかった父が頼んでいるからやっているんだ。そうでなかったらこんなことするか」とはっきり言ってしまうんですね。またそれは前半の台詞なんですが、後半でも別にその発言を覆すわけではありません。
それでも、息子と父はなんとなく話をして、いさかいを起こし、話せなかったことを話すようになっていく。

また、クリストファー・ウォーケン演じる、初老の無精ひげの男がカッコいいんだまた! 饒舌じゃないんだけど無口じゃないんだけどハンサムじゃないんだけど、女にすげえもてる。
いや、わかるよ! こういう男が魅力的なのはさ!
散骨のための銀のスプーンも、友人と称する女が買ってくれるんですよ。いや、友人なのかもしれませんが、凄い親しい友人であるのは間違いないし、祖父を看病していた看護師とも関係しちゃうしで、おま、お前………。

そして、旅を続ける間に、最終目的地が近づき、父は何故かいなくなってしまいます。
息子は別居している妻から、父親が刑務所の病院で透析の最中に脱走し、そして余命いくばくもないことを知ります。
最後の目的地はある町の階段。父親と息子、母が暮らした場所でした。その場所で一体何があったのかと問い詰める息子。
「親子の交流を深める旅かと思っていたが、結局、これはヘンリーから俺への腹いせだったんだ」
「話してくれ。僕へのメモにはこうあった。「許してやれ」と」

母が亡くなり、麻薬に溺れた父親。
「自分を落としたのか」と問う息子。
「落としたんじゃない。投げ捨てたんだ」と答える父。
もう少し現実的に救いがあるのかと思っていたのですが、これ、許す許さないの時限を越えて酷い過去でした。
これが原因で今まで刑務所に入って………いたのかな?
ここでのクリストファー・ウォーケンは、それまでの枯れた男ではなく、急にギラギラとしたどうしようもないやるせなさを抱えた、男の顔になって、凄く迫力がありました。

息子は、父親を車に乗せて、結局父親が本当に行きたがっていた場所へ向かいます。
その最中、車中が映るんですが、延々無音なんですよね。
腎臓が全く機能していない父親が、もう意識混濁で、朦朧としているわけですよ。
それに気づき、必死で話しかけたり、身体をゆすったりして、今までになく自分から積極的になる息子。
父親はそんな息子の腕をたたき、息子は黙ります。
この間の「わかったから」「大丈夫だから」という父と息子のやりとりで、もう号泣。
無音なので、何を話しているのかはわからないんですが、息子が必死で笑ってるのも悲しいし、力なく声を出さずに反応する父親がもう。

結局、父親は車中で亡くなります。
その後、本来の父親の目的地に散骨されるところで話は終わります。

面白かったです。
あー私も、息子を持ってフライドチキンの袋に遺言詰めて、遺言執行してもらいたいなあ。父親として(無理だろ!)
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『ウォッチメン』

いつもながら知り合いと見に行きました。
せっかく遠出したのに、体調最悪というおまけがついてきて、先行き不安になること甚だしかったのですが、鑑賞後、あまりのわけのわからなさに逆に元気になるというご褒美をもらいました。
これってあれかな? みんな元気でやろうよ、こんなふうにも生きていけるっていう製作者側からのスピリチュアルかなんかが出てるのかな?
なんだか、色々な意味で意味不明さがあって、なんていうか、感想までもが意味不明になりそうな映画でした。
まあ、万人にお勧めできないのは当然のこととはいえ、テレビCFなどで流れている、「ヒーローが次々と殺される。その裏にあるものは」みたいな、血沸き肉踊るみたいなサスペンスモノじゃ全くありません。
ええー? 強いて言うならば、ラブコメ?(本気だ)

まずまあ、3時間は長い。
途中でだれにだれました。
知り合いは、「前半四分の一までは凄く楽しかった」と申しておりましたが。
うん、でも私の席の近くの人、前半四分の一に行き着く前にいびきかいてたよね。

時代が、ウォーターゲート事件の時代なので、知り合いは年代的にドンピシャだったらしく、「おお、ここでボブ・ディランを使うか!」「ニクソンとキッシンジャー似てる」とか、そういった自らの過去と照らし合わせる楽しみ方ができたらしいのですが、それが終わった途端に終わったらしいです。

まず、話そのものがない。
難しい、とか難解とかそういうことじゃないんです。結論としては、愛は地球を救うみたいなオチだし。
まあ、その幸福は犠牲の上に成り立ってみたいな話は、別段珍しくもなんともないんですが、ただなあ、別にその話にヒーローたちいらんし。

ヒーローも、俗に言うスーパーマン(はなっから超人)なのか、こう、ブロッケン一族(ドクロの徽章を人間が見につけると超人になれる)なのかもよくわからず。
まあ、それは重要なところじゃないんでしょうけど(なんにせよ彼らはヒーローなわけだし)そこらへん曖昧にしながら見ていると、アクションシーンも凄いんだか凄くないんだかさっぱりなんですよね。
人間としては凄いだろうけど、超人としては………どうだ? というか。
まあ、多分(人間)くらいの位置づけなんだろうなと思うんですが。
デブの中年男、コメディアンくらいまでは、純粋にタフガイとしてのヒーロー(ベトナムに従軍し、女、酒、葉巻とやること全部やってる暑苦しい悪漢)像として、火炎放射器をぶちかましたり、ロケット弾をぶっ放したりする様は、カッコいいなあと思えたんですが、純粋に警察に捕まるのを恐れたり、ドアにマントが挟まって撃ち殺されたりするヒーローを見てると、結局ヒーローってなんだ? と思ってしまったり。
無理にヒーローしてないコメディアンが、一番強さの体現としてはヒーローぽかったりしますしね。

結局、なんか実験で超人になっちゃった青い人が、全能の力を手に入れて、その力を利用して世界を平和にしようとしう人がいて、青い人は今まで付き合ってきた女を捨てて若い女に走り、全能のわりには身近な人のこと何もわからず、若い女の過去をずっと知っていたにも関わらず、突如「君の存在こそが奇跡だ、愛だ」と言い出して、新しい生命を創造しにでかけましたとさという話なんです。いや、本当に。

これ、後半でどかどか出るんですが、そこに至るまでの尺が長いのと、明らかに、そこに行き着くまでのほうがまだましなので、いやもう物語りにツッコミを入れているときりがない。

物語の主役は、孤高にヒーローとしての正義を貫こうとする、痩身のヒーロー・ロールシャッハみたいなもので、ダミ声で全面マスクで表情の見えない男が、必死に、コメディアンを殺した犯人を捜す様は確かにカッコいいのですが、いきなり青い人のプライベートがそれを邪魔したりするので、せっかく乗りかかろうとしたハードボイルドの世界が、一気に台無しになる感じでした。
ロールシャッハそのものは、凄く外見も行動もカッコいいのですが、周りにいる奴らがどうでも良すぎる。
青い人のラブシーンも、ヒロインの女とフクロウの男のラブシーンも、とにかく延々尺を取って流されるので、見ているこっちはイライラすることしきりです。そんなのいらねえんだよ! ヒーローの愛ってそんなもんじゃねえだろ!(この映画においてのヒーローの意味を履き違えているものの発言)

この監督さん、どうやら過剰な演出っていうのが基本にあるらしく、血がドバーとか、腕をチェーンソーで切断するとか、頭部に斧をつきたてるとか、全裸のラブシーンとか、青い人は男性性器まで常にがっつり映っているとか、とにかく、映像がクドいです。
でもそれが、話として世界観に合っているかというと、そんなことはない。
残虐シーンが多いので、「うへえ」と思うかもしれませんが、それが映画としての質を上げているか、というとそんなことはないんですね。
物語前半で、コメディアンが殺されるのですが、その派手な乱闘シーンよりも、CFで使われている、スマイルマークに血の一滴、のほうが明らかに演出として上手いですし、高層ビルから落下し、地面にこびりついた血を洗い流している最中、スマイルマークのバッチが排水溝にひっかかり、それをロールシャッハが拾う、とか、その手の静的な演出のほうが、明らかに印象深いです。

俗っぽい演出にしたいのか、残酷描写を明確に現すことによって、リアルさを演出したいのかはわかりませんが、そこまでこの映画、リアルじゃないし、かといってヒーロー物と呼べるほどの、「清々しい馬鹿馬鹿しさ」もないので、個人的には演出そのものもあまり好みではありませんでした。
だから、三時間は長いって。ラブシーンや、やたらにフラッシュバックする過去とか排除すれば二時間もいらないって。

見るべきものは、コメディアン殺害から、ロールシャッハが行動を起こすまで、でしょうか。やはり、前半四分の一程度ですね。
こう、「こういうマニアックな映画、馬鹿馬鹿しい映画大好き」と言う方にも、あまりお勧めできない感じです。
「キル・ビル」とか、そういう、基本粘着質じゃない荒唐無稽さではないから、なのではないかと。
うーん、色々突き抜けようとしたのかもしれませんが、結局、長いだけで中途半端という印象の映画でした。

キャストは基本マイナーな方なので、それほど特筆するものもなく。
ヒーローは逆に、仮面を被っているときのほうがカッコいいのは、当たり前ですし。

映画鑑賞前に流れる予告で、『トランスフォーマー・リベンジ』の報が一番燃えました。
オ、オプティマスプライム様にまた会える………!(鼻息)
『プラダを着た悪魔』
結局は金持っている人しかおしゃれはできないということなんだろうと見始める前は思っていたんですが、そんな話じゃありませんでした。
見ようによっては、ジャーナリストという目指すものがあるのに、ファッション雑誌の編集長に媚びるために、無理やりおしゃれをするっていうのは、当人のポリシーとしてどうなの、と思うかもしれませんが、助手という仕事である以上、例えば、雇い主が黒は縁起が悪いから絶対に着ないのであれば、自分も避けるとか、そういう配慮は必要なので、ただそれが、「ファッションに関心を持って実行する」ということだったのでしょうな。
現実的に、おしゃれではないアシスタントは、ファッションを体現する編集長が連れて歩くことはできないでしょうし(いい、悪いの問題ではなく)。
ある意味、必要であるとみなしたおしゃれ、という感じで主人公は実行に移しているという感じが、好印象でした。
別に、自分がおしゃれになって、きれいになって嬉しくないわけじゃないけど、それはあくまで仕事のためであって、というスタンスのほうが、万人受けしますよね、そりゃ。

キャリアウーマンの立身出世物語ですが、やはり目を見張るのは、その賢覧豪華たる、ブランド物や、登場人物たちの着こなしでしょうか。
同僚にアドバイスを受けて、主人公の衣装がどんどんおしゃれになっていく様は見事の一言。
主人公の着ていた「青いセーター」を、編集長が「それは青ではなくセルリアンという色だ」と、ただ衣料品にしか興味がないのではなく、それを作った文化、時代背景、人物に至るまで網羅する知識を疲労する場面は圧巻でした。
内容が、ファッションであろうがなかろうが、己の仕事に対して膨大な知識を持ち、それを自由自在に引っ張り出せるっていうのは、仕事人としてカッコいいものです。

ただ、だ。
仕事ができて有能な人は全員性格が横暴なのかよ。
もう、毎朝出社するたびに、主人公の机の上に、コートやかばんをぶん投げる編集長は、人として尊敬できないですよ。
有能であれば、非常識であっても許されるのか。………許されるんだろうな、ああいう職場では。
というか、ファッション雑誌の編集長なのに、衣料品を大切にしようという気はないのかな。それもひっかかりました。
世の中には、仕事ができて人格としてもできている、せめて、部下に対してごく普通に会話ができる人なんて、ごまんといるだろうになあ、と、どうも小市民である私はそればかりが気になりました。
仕事上でのアシスタントに、子供の宿題まで任せるものなのか、普通………(あっちの世界じゃそれが当たり前なのか………?)。
お前が旦那と上手くいかないのも、そのせいで子供が辛い思いをするのも、そりゃ全部お前のせいだよと、編集長に対してはわりとドライな目で見られました。
この人に必要なのは、ビジネスパートナーじゃなく、それこそメイドさんだよね。

とまあ、並べ立ててみましたが、やはりこの映画は、画面いっぱいに映される様々な衣装。服や、靴や、帽子や、アクセサリーなどにため息を付きながら見る作品ではないかと。
頭を悩ませて見るようなものではありませんしね。
目指すものがあっても、一旦仕事として引き受けたのであれば、それを完遂しようとするのは当たり前だろうし。それに泣き言を言うようであれば、日々生きるためだけに稼いでいる人たち全員に平謝りする必要があると思うし。

しかし、あの衣装全部購入してるんでしょうか。
どうも映画を見ていると、会社に山ほどある衣装から、同僚が選んで着せてくれているみたいなんですが、最後、「着なくなった服が山ほど家にあるから」とか言ってるし………。
もう必要のない服を、タダでもらっているってことなのかな?
それにしても、やっぱりああいうおしゃれって、オールセンスの問題ですね。
ずいぶん前の職場で、とにかくやたらに服装のセンスがいい人がいて、派手とか奇抜なものを着ているわけではないのに、とにかく、この私が見てもセンスが良いなあ、という人だったんですが、聞いてみると、
「やだ、これ20年前くらいに買ったのよ!」
「これねえ、スーパー三和で1500円だったのよ!」
とか、いつも返ってくる答えは庶民よりで、非常に驚いたものでした。もう60近い年齢の人だったけど、とにかくおしゃれな人だったなあ。

メリル・ストリープは、これくらいの年齢が一番違和感なく見られますね(マンマ・ミーアと比べると逆に凄く若く見える)。
「みんながあこがれる仕事なのよ」
と、主人公を見ないで言い切る様は、今まで確固たる発言しかしてこなかった彼女の、唯一の、何の根拠もない発言でしたが。

アン・ハサウェイも可愛かったですねえ。あれで太ってるとか言われたら、お前、こっちはどうすりゃいいのだ。


『カーズ』
ディズニーアニメ。
一流のレーサーであるが、態度がでかい(見もふたもない)主人公が、かけがえのない仲間や、友人たちを通して、真のチャンピオンを目指す物語です。
話としても、凄くわかりやすくてシンプルにまとまっていて面白かったです。
DVDを再生したら、勝手に吹き替えが流れてしまい、なんとなくそのまま見続けたんですが、その後、字幕版を見てうっさんくさいイングリッシュと、うっさんくさいオーバーリアクションを見て、やはりこれは字幕で見た方がいいと思いました。
「Yeah!」とか「OH!」とか「Woo!」とか、日本語ではありえない言葉遣いをしている時には、ちゃんと画面の上で登場人物たちが、日本人は絶対にしないリアクションと、顔芸(苦笑)を見せてくれますし。

全編出てくるのは車(擬人化………じゃないしな)なのですが、それでも個性が出ていてカッコいいものはカッコいい。
過去の栄光を捨てて隠遁している、伝説のレーサードック・ハドソンは超萌えた。(結局そこか)
事故を起こして帰ってくるも、もう新人に居場所を取られて自分の席はなく、突然現れた新人レーサーである主人公に辛く当たるも、最後は協力してくれるという、べったべたなキャラなんですが、その枯れるに枯れられない態度がまたいい!(笑)
チャンピオンとして尊敬されているキングが、最後ハドソン博物館に着たり(車なのに奥さんいるんだぜ………)とか、ああー扱いが良かったードックは………。
他の登場人物たちも凄く魅力的でした。
イタリアかぶれのタイヤ屋が、最後、本当にミハエル・シューマッハが着てくれたとき、無言で気絶するとか、サビだらけの主人公の親友が約束を守ってもらってヘリに乗って大喜びとか。
子供向けとしても見られますし、大人が見ても十分楽しめると思います。
笑いの要素も、あまり下品な感じじゃありませんしね。
『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』のCFが流れるたびに、その犬の個性がバカなのと、飼い主がしつけをしないのとでは全く意味が違うだろうと、凄くイラっとするのは私だけでしょうか。
私は、「こういう」動物モノでは全く感動しません。
これって、ただ飼い主の無責任さが前面に出ていて、腹立たしいだけじゃねえの?



『少年メリケンサック』
見終わった後、知り合いと二人で、結局この人は脚本だけやっていたほうがいいという結論に達しました。
いやー久しぶりに何も得るものがないつまらなさでした。
『マンマ・ミーア!』といい、最近はずればかりひいてるな………。いや、『チェンジリング』は面白かったか。

まず、基本出てくる人物全員に共感できないのが激しくマイナスです。
誰も彼もが、行動に一貫性がないというか、何をしたくてここにいるのかがわからないので、見ていて面白くありません。

どうして今、中年になってからバンドをやろうと思ったか。
やろうと思って始めたのに、馬鹿にされて悔しいのなら、何故努力しないのか。
その努力もせずに売れている若い者を理由なく殴ってなにがしたいのか。
迷子になったと笑いどころのはずなのに、真っ当に花屋を営んでいる店先の花をそのたびに蹴飛ばしてどうしたいのか。

とにかく出てくる登場人物の行動全てが、逐一不愉快でした。
せっかく佐藤浩市なのに、何だよ!

あと致命的なのが、これはお笑い映画のはずなのにちっとも笑えないということです。
言葉の使い方とかで、凄くたまにニヤっとできたりしないこともないんですが、これはあくまで、その時の「間」や「言葉」でしかないわけで、現実的に映画の上で、笑いどころでは何一つ笑えませんでした。
笑いは人を選びますし、感性の違いがあるとしても、それにしたって最低水準があるだろう。
この人の笑いは好みじゃないけど、笑えるっていうのが、万人に向けての作品であれば絶対に必要なわけで、この作品にはこれが何一つありませんでした。
寝たきりの父親が、自動ベッドを自分で操って、中指を立ててまた寝るとか、もう完全完璧に笑えません。
時折出てくるシモネタも最悪。シモネタを出したのなら、絶対にその下品さ加減で笑えなきゃ意味ないだろうが!

そして、ライブの迫力のなさったら。
中年男のロックバンドに魅力があるわけでなく、体力もない連中がやるどうしようもないバンドが評価されるわけもなく、それでも、まあ如何なる理由で突然魅力的になるのかは理由なんかないので触れないでおきますが、最終的には最高のパンクバンドになるのであれば、最初と比べて技術的にも、パフォーマンス的にも、最高のライブを行わなければ意味がないじゃないかよ。
それがなく、最後も非常に尻つぼみで終わりました。
これなら、半ばコミックバンドだったDMCの方が遥かにマシだった………。

唯一の見所は、宮崎あおいの可愛い衣装。
25歳とは思えない可愛い服のオンパレードで、ピンクのカーディガンに、ピンクのロングブーツとか、丈の短い上着に長いTシャツとか、衣装が凄く良かったです。

途中で「失敗した」と正直思ったのですが、もう見ながら、こうすればもっと面白くなったんじゃないか。いっそ、シャルウィーダンスみたいに、真っ当になったサラリーマンがパンクをするとか、宮崎あおいの立場が逆にユースケの立場で元パンク好きが奮起するとか、そんなほうが良かったんじゃないかとか、見方を工夫しなければ見てなんとか最後までたどり着いたという感じです。
個人的には全くお勧めしません。
『ブルース・オールマイティ』
主役がジム・キャリーで脇役がモーガン・フリーマンという、濃いキャスティングの映画でした。
見所といえば、モーガン・フリーマンの白タキシードでしょうか。それくらいしかない、ともいえますが。
あ、ジム・キャリーの恋人役の女の人は凄くきれいでキュートでした。向こうの人の髪型によくある、ブロンドと茶の中間みたいな色で、天然パーマみたいな、ごわっとした髪型というか。日本では絶対ありえない髪型ですが、それが凄く可愛かったです。

内容としてはまとまっていて、神の力を授かってしまったジム・キャリーが、色々な奇跡と向き合いながら、結局は奇跡は自分で起こすものだ、と気づくという正統派な映画でした。

ジム・キャリーの演技は、相変わらずったら相変わらずで、これが持ち味だとしても、ちょっと胃もたれする感じです。それに付随するように、主人公ブルースが嫌味ではない程度に、結構いい性格の人間なので、役としては合っていたと思います。
これが、完全に善人だったら物語として破綻しますが、適度に自分のことしか考えない主人公だからこそ、個人の幸せが明確になってよかったのではないかと。

ただ、これ捕らえ方の違いなんでしょうが、主人公が乱発する奇跡によって、世界は次第におかしくなっていくのですが、そのへんの、現実とのつじつまが合ってしまう奇跡など、もはやそれは奇跡じゃないと申しましょうか。
奇跡で隕石が落下する。そのために環境に影響が出る。
宝くじが当たる。何人も当選者が出てしまったために、額が17ドルにしかならず、暴動が起きる。
これらは、ジム・キャリーが勝手気ままに乱発してしまった奇跡のために、後々起こる弊害なんですが、なんか、これすらも理屈抜きで力技でどうにでもできるからこそ、神の能力なんじゃないですかね。
隕石が落下する、でも何も起きない。
宝くじが当たる、17ドルしかもらえないけど当たった全員それで満足する。
この辺の、理不尽さ加減こそ、万能じゃないかなあと思う私にとって、神の奇跡からの流れは、ちょっと退屈な感じがしました。
ジム・キャリーが奇跡の能力を見つけたばかりの頃、皿の中のスープを割ってみて驚くとか、その辺の方が、何でもできちゃってびっくり、という当たり前に驚けたという感じです。

ヒロインの女性が、自立した女性で、でも可愛くてユーモアもあって、よくジム・キャリーと付き合ってるよという意味で稀有な女性を演じていて、凄く良かったので、そういう意味ではお勧めです。


『ギャラクシー★クエスト』
スタートレックのパロディらしいのですが、私はスタートレックをまるで知りません。
それでも、凄く面白かったです。

話としては、ギャラクシー・クエストというSFものの作品を演じている役者が、本当の異星人たちの争いに巻き込まれる、というわかりやすいものなのですが、見終わった後の読後感はハレバレとしていて格別です。

物語も非常に筋が通っていて飽きさせません。
名ばかりの艦長である主人公に、「貴方に会えて光栄です」と目を輝かせる異星人。ギャラクシー・クエストをドキュメントと思っている、嘘を知らない異星人たちに、次第に親愛の情がわき、彼らを助けようと奮起する様は必見。

自分の、おかしなマスクをかぶった役と、「トカゲヘッドの名に懸けて」という決め台詞が気に入らない役者も、彼に心酔している異星人が撃たれたとき、
「貴方と共に任務が遂行できて幸せでした。心の中で父とも思っていました」
との言葉を受け、
「トカゲヘッドと、父の名に懸けて、復讐は必ず果たす」
と誓うシーンは思わず涙。

パロディ要素も満載で、宇宙船の中枢に向かう時、落ちたら死亡の一本橋や、通路を妨害する高速ピストンを見て、「何で通路なのにこんなものがあるのよ!」「この脚本を書いた奴は死ね!」と暴言を吐くヒロインは必見です。

衣装や、セットはあまりにもチープだと、ちょっとテンションが下がるのですが、適度にCGで、手作り感があってこちらも世界観と非常に合っていたと思います。あまりに、CGバリバリで、宇宙バリバリだと、逆に作り物っぽくて辛いものがありますし。
我々の想像する宇宙船内、宇宙基地、敵対する異星人はとにかくクリーチャー顔、という、お約束を踏まえたつくりは、映画として入り込みやすいし、安心して見られます。

物語は、最後クリーチャーを倒し、彼らは無事に地球へ帰還し、異星人たちは自らの航海を進み、そして、ギャラクシー・クエストは十八年ぶりに映画化されるという、まごうかたなきハッピーエンドで終わります。
最初から最後まで非常に面白かったので、お勧め。
日陰の彼がちゃんと、映画化で役をもらっていたのも嬉しかったですし。

キャストも、若かりし頃のシガニー・ウィバーの美貌と乳は必見。
アラン・リックマンも被り物をしていてもわかる顔の濃さがありますし、役者陣の演技も見ものです。
いやあ、久しぶりに何も考えずに面白かったです。勿論、スタートレックシリーズを知っていればより楽しめるのでしょうが、全く知らない私が見ても楽しめる、ということは、作品として非常に質が高いということなのでしょう。
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