忍者ブログ
日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
[624] [623] [622] [621] [620] [619] [618] [617] [616] [615] [614]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『小間使いの日記』
この白黒映画をどうしてレンタルしたか、というと、小間使いにブーツをはかせてそのブーツを抱えたまま死ぬというじいさんの姿が見たかったからです。
これもフェティシズムっていうんでしょうねえ。
ブーツをはかせた女ではなく、はかれたブーツに対して執着を持つ、っていうのが業が深いなあ。
他の内容としては、性格が最初から最後まで全くつかめない小間使いと、その時代の上流階級の生活、といったところでしょうか。
登場人物がそれぞれに、誰も彼も愛せないってところが、見所でしょうかねえ。


『隠し砦の三悪人』
黒澤白黒時代劇(基本的に現代モノ、また晩年の作品は見ないので)もここ最近連続で見てきたので、大分耐性がついた感じです。
出てくる役者さんもおなじみの方ばかりなので、さすがに、「あ、あの人知ってる」という顔ぶれ連発でした。
ただ、今回内容に関して、さすがに「飽き」てきしまいました。
内容が、というより黒澤映画独特の長さと申しましょうか。
どの作品も、一つの山に向けて動き出すまでがとても長いんですよね。
1・例えば、埋もれていた金を偶然見つける男二人。
2・他にもないかと、探し回る。
3・結果、見つかる。
という場面があったりすると、過程であるはずのその2がとにかくひたすら長い。
この長さの表現は、どの作品でも総じて同じなので間違いなくこの監督の色なんでしょうが、さすがに同じ監督の作品を連続で見ると、途中で飽きてきてしまいました。
例えばこれも、殺陣のシーンなんかも同じで、とにかく決着がつくまでが長い。
凄く劇的な演出とか、いわゆるハリウッドのアクションシーンみたいに、ビル爆破にタンクローリー転倒にと、長さの中にこちらにとってわかりやすい見せ場があるならともかく、この過程の中に求めているのが完璧なリアリティであるせいか、そういった目をひきつけるものはありません(私にとっては)。
前述した金探しのシーンも、そりゃ確かに、五秒やそこら探し回ったって見つかるわけないだろう、というリアリティの元に作られているのでしょうが、それを言ったら全ての映画中身の時間軸を忠実に再現しなきゃいけなくなっちゃうわけで。
例え五秒で探索シーンが終わっても、役者が疲れた様子だったり、明らかに場面が移動していたら、そりゃこちらは「長時間探したんだな」と理解はできるわけですから。
以前から思ってはいたんですが、そのあたりの尺の取り方が、今回改めてまだるっこしいなあと思ったのでした。
別にこの作品だけに限ったことではないので、完璧に監督の色であると判断した上で、ですが。

後、主演女優が何故かいつもとてもエキセントリック。
これはただ時代がそうだったから、ってだけなんでしょうかねえ。
『七人の侍』も、ヒロインの容姿がお世辞にも村で評判の美人には見えないとか、叫んでばかりで音われしちゃって何を話しているんだかよくわからない、とか思ったんですが、今回は男勝りの姫君っていう役どころなので、いつにもまして凄かったです。
『椿三十郎』は、おっとりヒロインだったのであまり気にならなかったし、『用心棒』とか『赤ひげ』なんかは、杉村春子さん最高の演技だったし。
監督作品において、女性はヒロインとしての役回りで起用されることの方が少ないので、そういう点において「かわいくなくてもいい」というのは前提にあるのかもしれませんね。

今回の作品そのものの内容としては、同じことを繰り返して笑いを取る、っていうわかりやすい内容でした。
三船さん演ずる侍よりも、農民二人が毎回毎回、金をめぐって同じようにいさかいを起こしたり、逃亡したりというスタンダードな流れが楽しめます。

ちなみにレンタルリストに最後に残った作品は、『羅生門』でした。
何故…何故最後にこれをもってくるか、ツタヤ…。


で、『羅生門』も見たんですが、泥臭い殺陣はこれが一番秀逸でした。
誰かを切り殺すんじゃなく、切り殺されないように必死で逃げ回る姿と、それを追うために同じように地べたに這い蹲る男。
奪った男と、奪われた男と、女。
三人が三人とも、自分の自己弁護と名誉のために嘘をつく。
その真実を知っていて、人間不信に陥りそうになる坊主ですが、逆を言えばその真実を否定しようとするだけ、その世界はマトモだよなあ。
見ている側からすると、それぞれの嘘は自己保身のために、至極当然の嘘であって、そういう嘘をつくことが、なんらおかしくないと思ってしまう分、こっちの世界は病んでいるというか。
逆に極限状態になると、ああいうこともあるんじゃね? で済ませてしまえるというか、あんなことがあったって、それでも生きていれば美味しく明日もご飯を食べるんだろうさ、というか。
そのふてぶてしさを、人が信じられないものだと断じる材料にするのはどうかと思うんだなあ。それがあってこそ生きられるというか。

まあ結果的に、生き残って人性を続けられる女が一番強いんだな、というところで話は落ち着きました。
PR
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ツイッター
ブログ内検索
メモ

公式サイト11月10日発売予定








ファンタスティックMr.FOX
アリス・クリードの失踪
4デイズ


美術系
・氷見晃堂(石川県立美術館)
・佐々木象堂(佐渡歴史伝説館)
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) 雑記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]