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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『采配のゆくえ』

第四話 命がつなぐ道
これやっぱり、島津の末路を表しているとしか思えないタイトルなんですが………。やめてくれよ! 奴のムッツリ顔だけを励みに頑張ってきたのに!
歴史を知っているとより楽しいんでしょうね。この史実がこうアレンジされているんだとか、熱い性格がこうキャラクターに反映されているのか、とか。特に戦隊井伊。
私は歴史に全く詳しくないので、純粋に、台詞と外見だけで萌えようと思います。それがゲームの醍醐味だよ。他にない。

時はさかのぼって関が原から一年半前。あたりをうろうろしていたくの一が、三成に仕えていた侍女であることがわかります。
それにしても、一年半前の三成も全く以って人望がないですね。ここまで他人に愛されない主人公っていうのも珍しいです。
その分、左近と大谷でおつりが来るような気もしますが。

「自分の意志を貫くだけで、他人の恨みに気づかない。賢くなれとは言いません。ただ、今夜だけは自分が恨まれているということを自覚してください」

深い………! 左近の言葉が深すぎる………!

外見は豪胆なオッサンですが、左近、キレ者の男前すぎて震えがきます。大谷みたいな、こう、才覚ある天才軍師じゃなくて、現実の中で頭の回転が速い人物って、本当にかっこいいですね。仮にも自分の主に、「殿は家康より人望も、何もかも劣るんです」と言ってのけちゃう肝っ玉に惚れる。

前田家の葬式に行くべく身支度をするも、次々に刺客に襲われる三成は、当事者であろう家康の屋敷に飛び込みます。
そこで家康と正面切って対決するわけですが、家康は家康で、キャラクター造形が上手くてかっこいいですね。
狸親父というよりは、イタリアマフィアのドンみたいな感じです。一言で相手を黙らせるっていうか、迫力のある男はべらべらしゃべる必要がねえというか(お前それ、三成どうなるんだ)。
この辺、三成のへっぽこ度合いがますます際立つので、非常にいい感じです。

時は戻り関が原。動かない毛利と合流し、くの一であった侍女はつが、徳川と内通している毛利家家臣を殺害し、敵の只中を島津の力を借りて突っ切る、という作戦にもならない作戦を実行にうつすべく、三成は島津義弘の説得にかかります。

しかし、やっぱり戦国時代。死に重みをおいている分、逆転裁判とは立ち位置が根本的に違いますね。
笑いもたまたまあっただけで、基本は、史実になぞらえるか、史実ではなしえなかったもしもの出来事、もし己が戦場の立場にいたらこういった会話をしたのではないか、という、ある種のドキュメンタリー会話なので、島津義弘の説得なんて、重くて胃もたれしました。
「おぬしは、我々に勝利のために死地に赴けといっているのだな?」
「はい」
という会話がまかり通るゲームは、根本的に他の部分もギャグ基本じゃ駄目だよな。

「伯父上、私は石田三成が嫌いです。あの男に命をかけるのではなく、伯父上、貴方のために私は命をかけます」

ギャー! 豊久の死亡フラグが完璧に立ったー!!

このゲーム、スチルそのもののできは、わりと普通なんですが、使いどころが上手いので、泣けてきます。顔のアップばかりで攻めるが業じゃない。男二人が並んで戦場を見つめるスチルがあってもいいじゃないかむしろ最高だ。

采配キャラクターは、誰も二枚目じゃないデザインにしてある、らしいのですが、個人的には誰もがツボなので、それはいいとして、くるくる動くキャラクターの動作、表情がそれぞれ、完璧に決めポーズを演出しているところが、高感度が高いです。
キチ印の藤堂も、ともかく取るポーズ取るポーズが、いちいちかっこいいのは、狙っているのでしょうし。
頑固一徹みたいな豊久のポーズが、常に腕組みとか、そういう動作そのものも、非常に上手いですね。
笑える要素として動くのではなく、その人物が一番かっこよく見えるポーズがそれぞれに用意されている、というところが、好印象です。それだけ、キャラクターが大事にされているってことだからな。

そしてついに、戦場に残った豊久が、スキル「すてがまり」発動。
実は、豊久に萌えたばかりに、事前にウィキで島津がらみを調べてしまっていた私は、その言葉が出た途端に突っ伏しました。
うわああああ! 伯父に言われないでも意味知ってるよ!

「私のことなど気にかける必要はない。戦場の一将にすぎない私のことなど、忘れてしまって結構。たとえ屍となっても敵の足を止めて見せよう」

ギャー!!

手の内に残されたのが、義弘だけなんてー! おまけにこれから先仲間になりそうなのが、全く好みじゃない毛利当主と坊主だけなんてー!

毛利は無事に仲間になり、なんかニュータイプっぽく目覚めましたが、終盤にかけて、一気に潤いがなくなりました。

誰か………誰か私に益荒男を………!


第五話 決意、その先へ
ついに家康との直接対決です。
この期に及んで未だに味方の説得に紛糾する三成は、何処まで恵まれていないのか。
難易度としては総当りで進めるので、難しいわけではないのでしょうが、ひらめきという言葉にとんと縁がない私としては、結構采配で間違えて怒られたりしています。
何がどう動いたらどうなる、っていうのがイマイチぴんとこないんですよねえ。

ここにきて、藤堂が凄いピュアっ子であること判明。お前………片思い野郎だったのか………高校生か………。

家康と三成の天眼対決です。超能力を使っているという、キテレツな感じではないので(あくまでパズルを解いている、という印象にしか過ぎない)特別おかしくもないですね。
三つに分かれた戦場を、絶対的な苦境から脱出させ、勝利をつかむというのはやはり盛り上がります。

結果として、家康の手のひらの上で転がされていた三成は、戦力を集中させられ、総攻撃を受けてしまいます。
必死に天眼を使おうとする三成に、叱咤激励する仲間たち。
「私が決断したように、そなたも決断を!」
「こんなときにこそ、我らに頼るがいい。南の敵はわし一人で食い止める!」
島津と毛利がすげえかっこいいです。
自分ひとりで背負い込もうとする、そんなところまで、みんな期待していないから、大丈夫という励まし方がかっこいい。
しかし、鬼籍に入った人を思い出すシーンで、大谷と左近しか出てこないのが………悲しい………(豊久のことも思い出してあげてください)。
大体、撤退した宇喜多と小西と豊久を一緒くたにされているのも、個人的には気に入らないのよォォォ!(苦笑)

でも、一つの戦場でなら絶対的に優位な状況を作り出せる家康と、そんな力はないが仲間たちの尽力あって複数の戦場での采配をふるえる三成、という図式は面白いですね。家康が一つところで良かれと思ってやったことが、他の戦場では致命的なミスになる。それを三成は見抜いて、仲間に託す、っていうのは物語の進みとしても、「采配のゆくえ」としても上手いです。

戦いは続き、豊久の仇なんだけどどうしても憎めないヒーロー戦隊井伊が参戦。
お前は………キャラクターとしてはむしろこっち側であっても全くおかしくないのに………。

そして、見事天眼でも家康に勝利し、三成は関が原の合戦を終結させます。
その後、力業で黒幕もねじ伏せ、史実は進み、昔語りは終わります。
いやあ、その終わり方もちゃんと一ひねりきいていて、面白かったです。


総括。
個人的には非常に楽しめました。
何がいいって、基本コメディじゃないのがいい。
コメディや笑いの路線を感じるのは、あくまでキャラクター造形にだけのみ限定されていて、物語そのものはシビアに進みますし、人死にも当然あります。
政治的な角度や、自分の手柄など、サブキャラの台詞一つとっても凄くセンスがありました。

システムに関しては特になし。セーブロードもスムーズですが、セーブロードは別にいらないゲームなので、苦もなく進めるかと思います。
ただ、クリア後になんのおまけもないのは、ちょっとさびしいかなと。
別になくて当然ったらそうなんですが、せっかくですから出てきた人物の略歴とか見られても面白かったような。せっかく戦国時代なわけですし、采配のキャラデザで実際はどうだったか、とか、色々見せ方があったような気がします。

「天眼」というのがいわゆる合戦パートの中に組み込まれる、パズル要素なのですが、この難易度については初めから問題ではないと思います。
クリアのために必須な陣形は、ちゃんと映像として出ているので、それに合うように自軍のこまを動かせばいいわけで。
この図のあるなしが選べれば、難易度としても違ってくるかもしれませんが、基本的に、パズルって言うのは何度も間違えてやり直した上に完成すること前提なわけですから、間違えてペナルティ、という「説得」や「合戦」時における指示と同列に扱う必要はないと思います。
パズルでもなんでも、鉛筆で書いて消しゴムで消してやり直して、っていう手順を常に踏んで完成させるわけですから。
この「天眼」に関しては「合戦」をただしめるのではなく、盛り上がりとしてもう一工夫、のためだけにあるようなものなのでしょう。
三成が家康と同じ「天眼」を持つ異能である、というのは別段物語上では関係のないことなわけですし。

基本このゲームの肝は、「戦場」パートにおける「説得」と、「合戦」パートにおける仲間への「指示」なわけですが、重きを置かれているのは、やはり「合戦」パートなのでしょうね。
そりゃそうですよ、合戦場なんだもん。命かかってるんだもん。
現実的に難しいかどうかはおいておいて、人の命を左右する選択肢を選んでいるまたは、選ばなければならない、というのは、ゲームにおいて緊迫感が非常にありました。
元々人の生き死には、フィクションにおいても扱いが難しいものですし、「撤退する」と「全滅」ではそれこそ受ける印象が全く違ってきますし。
「戦場」パートでは、主に仲間に引き入れるための説得や、事実関係を明らかにするために行う会話なので、合戦パートほどの緊迫感は望めません。
この辺、ちゃんと戦国時代である設定が生かされていて、良かったと思います。答えがすぐにわかった(正しい選択がわかった)としたら、すぐわかってつまらない、ではなく、すぐにわかることによって味方への被害を少なくできるというような、充足感があるわけです。
まあ、私がのめりこみすぎている(ゲームではなく、戦場という設定そのものに)のも、あるかもしれませんね。
やっぱりねえ、純粋に、物語の上でただ人が必要があるから死ぬのではなく、己の采配によって死ぬっていうのは、いい気持ちしないですから。
そういう意味では、正しい選択肢を選んでも、物語の展開上爽快感を得られない、とも言えますが、それは逆に関が原の合戦を舞台に選んでいる以上、致し方のないことなんでしょう。


音楽とか、逆裁にどこか似ている雰囲気がありますが、盛り上がり時の音楽は必聴。
グラフィックもきれいです。というか、DSできれいとか汚いとか論じることに意味があるのかどうか。
ドット絵は見慣れているので、贔屓目がありますしね。
どうせなら、二画面で下の背景は、朝、昼、夜で変わって欲しかったかなと思いましたが、それはまあ蛇足。

さて、特筆すべきはキャラデザの見事さですね。
この辺は、ネオロマも三国シリーズも含めて、さすがのお家芸と言ったところでしょうか。それぞれ、少ない出番で見事にキャラが立ってます。
台詞もそうですが、やはり、ぱっと見でこいつはこういうキャラだとわかる、単純さっていうのは入り込みやすいですし、とっかかりができれば、それに準じたポーズもつけられるでしょうから、見ていた楽しいです。
ロボが煙吹いたり、ドラキュラみたいな細川がマント羽織ってそれを翻したり、と、して欲しいなと思うことをちゃんとしてくれる、と申しましょうか。

ただ惜しむらくはゲームとしてのプレイ時間の短さと(10時間きるのかな?)絶対的な自由度のなさ、でしょうか。
パズル要素は当たり前ですが、間違えればゲームオーバーなので、それこそ物語を含めて常に一本道ですし、それならばそれで二度やりたい内容かというと、そうでもない。
その辺は、総当りで台詞を聞いた時の面白さや、場所を注目したときの台詞のパターンなど、細かなところまでは追いつけなかった、というところでしょうか。

後半につれてウェイトが大きくなっていく合戦は、基本パズルなので、答えがわかっているパズルを二度やることは当然退屈なわけで、二度目では合戦そのものは楽しめない。
じゃあ、説得の戦略パートや日常会話が面白いか、というとこれはバリエーションに欠ける、といったふうでしょうか。

ただ、もう少し練りこめばよかったのに、という足りなさ加減の中で、あれだけキャラクターを立たせた手腕を個人的には評価したいと思います。

まあ、ただ私は豊久の台詞を網羅するためだけに二週目プレイするけどね。
要するに、島津豊久の外見、性格、超萌えました。
久々に、ド級のヒットでした。
いやもう本当に、二次元の男は顔だよね!
顔が好みでナンボだよね!
藤堂もずる賢く生き残っていて、あくまで他人に煙たがれる賢しさで、人並みの幸せが欲しいくせに、別になきゃないでもいいっていうスタンスが、超かっこよかったです(そんなキャラクターでしたか?)。

と、まあ個人的には凄く楽しめました。二千円台で購入したし。


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