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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『きみに読む物語』

「僕の人生は大したことのない人生だった。それでも、一つだけ誇れることがある。たった一人の女性を、心から愛し続けたことだ」

最初から最後まで女が主役の映画でした。
一応語り部になっているのは男なのですが、男が悩むのは女のせいであり、女をずっと引きずっているのは男であり、女がいないと生きていけないのも男。

ある老人が、病気で入院している老婆のそばで、物語を読みきかせるボランティアをしている。
その物語は、若い男女の青春をかけたひと夏の恋の物語だった。
貧しい労働者である青年と、金持ちの令嬢である少女の中は引き裂かれ、そして時が流れる。
結婚が決まったかつての少女は、新聞で、かつての青年が自分との約束を守り、白い家を建てたことを知る。

「早く続きが知りたいわ? 二人はどうなるの?」

続きを、と急かす老婆はいつしか、その話が自らの過去であった事を思い出す。

「ノア」
「アリー」

老いによって自らの思い出すら忘れてしまった老女は、目の前で話を聞かせてくれた男性が、心から愛したその人であることを思い出す。

「いつまでこのままでいられるの?」
「わからない。この前は五分だったよ」

そして、老女はまた忘れる。目の前の老人を気味悪がり、「ダーリン」と呼ぶ男に絶叫する。

「こっちへ来ないで! 誰なの! 誰か、助けて!」
「ダーリン、アリー、お願いだ。どうか」

病気は進むばかりでよくならず、男も持病の心臓病が悪化し、生死の境をさまよっても、老女の記憶がよみがえることはなかった。
男は退院し、また妻の下へと向かう。
そこで横たわる老女は、男を見て微笑んだ。

「ノア」

どんどん薄れていく記憶。
これを読めば、そこに私がいる、私の愛がここにある、と書かれた男が持っていた本は、アリー自身が書いたものだった。

「私たち、一緒に死ねるかしら?」
そう告げた妻に対し、夫は、
「ああ。私たちの愛に不可能はない」
と微笑んで、手を握り合うのだった。


実際の内容としては、非常によくある話で、ひと夏で盛り上がっちゃった若者の恋愛話なのですが、なんていうか、その王道さかげんを恥ずかしげもなくしかも、堂々と感動の物語に仕立てようっていうのがあざといっていうか、真っ向勝負というか、そんな映画でした。
内容や、どんでん返し的なオチは正直珍しくもなんともないし、女性が男を選ぶのも「そんなんあるかい」と思わずにはいられないのですが、それでも、あの夏の愛は永遠であったし、それは今も昔も変わらないっていう御伽噺のような映画でした。

基本的にアリーはノアに比べて、別れてからちゃんと生活を営んで、別の男性と婚約関係になってますし、かつての恋人の姿を新聞で見て押しかけても、なんていうかな、その場その場で好きなことを情熱のままにやっているという「強い」印象があるんですが、これがまあ、ノアのへたれっぷりというか引きずり加減が本当にへたれです。
大体、声をかけて恋愛関係にまで見事持ち込んだのはノアの方なんですが、首っ丈になってからはもう、完全に女の尻にしかれ状態。戦争に行っても、何をしても、別の女と関係を持っていても考えるのはかつての恋人であるアリーのことばかり。
その結果、アリーに向かって、
「君を愛している。努力するから、どうか行かないで欲しい」
なんてことが、フツーに言えちゃうわけです。

ただこの愛が、青年から成人、そして老年まできちんと続いているのが、ノアであり、母親と一緒に老人施設にいることなんてない、という子供にも、
「私はママを愛している。ママのいる場所が私の家だ」
と胸を張って言えるわけです。私この台詞で一番泣きました(結局二時間殆ど泣いている…。苦笑)。

そして、ラスト。二人の間に「奇跡」が起こります。
歳を取って認知症が進み、どんどん記憶が不確かになっていく、自分で自分がわからないアリーと、それでも彼女を愛し続けたノア。
個人的には「こういう」奇跡、終わり方でよかったと思います。
これが、現実と御伽噺の境界線というか、双方ともに納得できるハッピーエンドでした。





役者さん、主人公のノアが「ラースとその彼女」で主役だったライアン・ゴズリングでびっくり。
そしてアリーが「シャーロック」のレイチェル・マクアダムズでこれまたびっくり。
確かこれ、ジェームズ・マーズデン目当てで借りた(彼は完全にカッコイイ当て馬でしたが。笑)んですが、思いがけず知っている役者さんが多くて驚きました。
ジェームズ・マーズデンは戦争で怪我をして、ギプスで足も体も首も、ぐるぐる巻きになった状態で、アリーをナンパするんですが、
「先に言っておくけど、僕はダンスが死ぬほど上手い」
とそんな状態でももんのすげえおしゃれに言ってくるのが、アメリカのモテる男センスだなあ、と思いました。
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