忍者ブログ
日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
[365] [364] [363] [362] [361] [360] [359] [358] [357] [356] [355]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『リンカーン』の、『芸人 その時歴史が動いた』に、真剣に感動して泣いた私は、もう涙腺が赤いちゃんちゃんこなのでしょうか。もう駄目だ。
って、公式サイトがまるで更新されていないので、見て確かめることもできないのですが、要するに、出川哲朗と松村邦洋の友情ものでした。泣ける。


『複々製に進路をとれ 粟津潔60年の軌跡』
川崎市民ミュージアムで開催されている展覧会です。
ちょっとした縁があったのですが、私は全く存じ上げておらず、知り合いに「粟津潔って知ってる?」と聞いたところ、「アートを志している人で知らない人はまずいない。地方じゃなく、都心で個展をやっても客が入る人」と断言されて、仰天。
そうか、というわけではないのですが、ぐずぐずしていると開催が終わってしまうので、慌てて見に行きました。

実は私、昔この辺に住んでいたこともあって………死ぬほど昔ですが(遠い目)地の利に関してはばっちりです。
職場の同僚と見に行ったのですが、あまりの方向音痴さに仰天しつつ、無事たどり着きました。
せっかくなので、朝一に見に行ったのですが、人っ子一人いなかった。
そりゃ、平日の朝一に来る人なんていないだろうけどさ………。
おかげで、全く誰にも邪魔されることなく閲覧できました。室内に響く私の靴音が大きい(苦笑)。

すんごく良かったです。

もう八十歳になる人だから、年表も凄くて。 大体初めて賞をもらったのは私が生まれる前ですから。
戦争を体験して、学生運動があって、キャバレーの壁を書いて生活していたとか、まるでドラマのようでした。
インタビュー映像もあって(多分NHKかなんか)それを見ると、あまり「俺が俺が」という我が強い感じじゃないのです。
でも作品は、一撃の印象が強いものが多い。色使いとか。
穏やかで安らぎのある絵、という感じではない。
映像から受ける印象を一言で言うなれば、「モノマネのムツゴロウさん」でした。
まあ、インタビューを受けているのが七十歳越えですから、仕方がないんですけど。
相手の質問に「ああ~(そうだったっけ)」と、ぼんやりした返事をしたりとか、よくしゃべる普通のおじいさんでした。
覚えていない、っていうのも実際ありそうだし、それは別に自分にとって特別なことじゃなかった(大したことではない、という意味ではない)と言いたげに、偉業について説明する様は、やっぱり天才肌ならではですね。

ただ言っていることはやっぱりカッコよくて、二回立て続けに入選した後、その賞の審査員になっちゃったら(基本仕事は選ばない。なんでもやる)
「日本中から来る作品を一度に見られるなんてラッキー」
くらいのことを言っちゃえるわけですよ。
指導する立場でもあるんだけど、自分は当然自己表現をするアーティストだから、さまざまな作品に触れられるのが嬉しい、って素直に言っちゃうのがまたかっこいい。

他にも印象深かったのが、これ、芸術家と呼ばれる人がよく使う言葉なんですが、何事も、観察しろと。
ただ、物事を見るのではなく、様々なものを見て、触れて、そして自分で観察しなければならない。
そう、はっきり言っていました。
つまらないものなどない。何事も楽しかったし、興味のあることをやってきたから、と断言してしまえるのが、彼の凄さなのでしょう。
この世にあるもの全てを、自分の作品として昇華できてしまうわけですよ。凄すぎる。

最後、一問一答があるんですが、これがまあ笑えるくらいのやり取りで。
「アーティストにならなかったらどうなっていましたか」「わからないなあ」
「作品を作るうえで大変だったのは」「大変だと思ったことはないなあ」
これですよ。
これが天才じゃなくてなんなのだ。

「これからアーティストを目指す人に一言」では、
「ただ学校に通って、成功するなんて時代はもう終わった。何事もそれを一生のこととして取り組まねば意味がない」
と、非常に当たり前かつ、重い発言をされておりましたが。

展示も、モダンで目を見張るようでした。
賞を取ったポスター『海を返せ』なんて、1955年の作品ですよ? 生まれてないって私ですら。それだって全く古臭くない。

元々映画がお好きだったらしく、映画のポスターもいっぱいあって、ブックデザインがあれば、政治的なポスターもあり。自分で創刊したフィルムブックもあり、動画もあり、映画美術もあり、と興味があるものは何でもやるという、雑食性天才の表現はどれも凄く良かったです。

個人的にお気に入りを羅列。
リンク先は全て公式サイトです。

野盗、風の中を走る
Contemporary Print Exhibition Kiyoshi Awazu
BEYOND WAR '86
砂の女 -B

特に、『グラフィズム』は最高でした。これ、凄く大きい作品で壁にデカデカと飾ってあったんですが(他に表現方法はないのか)画面は文字だか記号だかでひたすら真っ黒。そこに、白地で英語やら日本語やらがちょぼちょぼと書いてある、という記号の組み合わせみたいな作品でしたが、ものすんごくかっこよかったです。何て言っていいのかわかりませんが、とにかく良かったんだよ!(上手い表現なんてわかるかよ)
この作品だって1977年とかですよ。30年以上前なんですよ。もうありえないぜなんだよこの才能!

市民ミュージアムなので800円で見られますし、ネットクーポンで100円引きもあるし、何より、もうすぐ終わるので人がいなくてゆっくり見られるので、皆様機会がありましたらぜひ。
方向音痴じゃなければ、最寄り駅から徒歩圏内です。
あー面白かったなー………。
PR
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ツイッター
ブログ内検索
メモ

公式サイト11月10日発売予定








ファンタスティックMr.FOX
アリス・クリードの失踪
4デイズ


美術系
・氷見晃堂(石川県立美術館)
・佐々木象堂(佐渡歴史伝説館)
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) 雑記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]