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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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「京伝怪異帖」
先日書いた、高橋克彦氏の時代小説。
歌麿シリーズと直接的なつながりがあるわけではないですが、登場人物は重複しているのでシリーズ物として読んでも面白いかも。
奇人変人の平賀源内に振り回される作家の話なんですが、ちょっと面白いのがあの平賀源内が出てくるのに、この話は幽霊などの怪奇現象がごく普通に「あるもの」として出てきちゃうところですね。
多分、江戸時代は今よりもずっと不思議なものが「あって当たり前」であって、信じられていたというよりは「共に暮らしていた」でしょうなあ。
だからこそ、出てくる登場人物は別に幽霊の存在を疑わないし、疑わないからこそ、幽霊も「ちゃんと」出てくるっていうのが中々面白かったです。
まあ怪談物、というとそうなのですが、これは幽霊や怪奇現象に関わる人物たちが、男に裏切られて首をくくった遊女であったり、田沼意次の生霊であったりと、庶民から政治家まで取り揃えられていて、読み物として面白かったです。

特に、生霊となった田沼が自分の屋敷の屋根の上に座って、
「見舞いに来てくれて嬉しかったぞ」
「そろそろお休みになられてもよろしいのでは」
「うん、そうだな。そろそろ潮時かもしれんな」
と穏やかに消えていく様ではちょっと涙ぐんだ。

しかしまあ、武士っていうのはいつの時代もしょーもないですな!
平賀源内が絡んでくるとどうしても、政治だの松平だの、それぞれの藩だの事情が出てくるわけですが、庶民から見ると「ど、どうでもいいー!」と絶叫したくなる理由ばかりなので、読んでいて侍の理屈云々になるとイライラし通しでした(苦笑)
何が体面だよクソッタレ。

主人公の作家が、手鎖の刑(公儀に反する行いをしたとして)になって、吉原からお嫁さんをもらったのを嫌がって、自分から養子にもらっていった主人公の弟さんを離縁にする侍の側室になった母親の妹とか、お前…お前なあ! お前が欲しいっつってもらってったんだろうが! それをだなあ!

良きにしろ、悪きにしろ、侍の起こす行動が傍から見ると一ミリの理もないので、それに振り回される庶民はどうしようもなく腹立つだろうなあ、と思いました。
いい侍も悪い侍も、侍っていうだけでなんかもう生き方が固定されちゃっててどうしようもない気がする。
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