『シークレット』
突然の自動車事故により、子供が死んでから、ぎくしゃくしたままの関係を続けるある夫婦。
ある日、刑事である夫が出向いた殺人現場に残された証拠品は、間違いなく妻を表すものだった。
グラスに残されたピンクヴァイオレットの口紅。
床に転がるイヤリング。
「お前が殺したのか」
「その答えを言えば、もう二度と元の関係には戻れないわよ」
果たして夫は、秘密を守り続ける妻を、殺された弟の仇と狙うマフィアの手から守る事ができるのか。
そして、本当に妻は殺人を犯していないのか。
真犯人は一体何処へ消えてしまったのか。
これだけ書くと推理サスペンスみたいですが、実際は、ひたすら事実を隠蔽するために必死になる刑事の行動で話が進みます。
他の韓国映画の刑事モノでも見たんですが、こうあからさまに私情を入れて証拠の隠滅が「できちゃう」組織ってなんか空恐ろしいですねえ。多少誇張されている部分もあるのでしょうが、そういうことをしても家族を守る、っていうことに対してためらいがない男、っていう描かれ方をする「刑事」が凄く多いので、なんか組織人としては微妙な気持ちになりました。
別に家族を見捨ててもらいたいわけではないんですが、正当な流れであればそれこそ、妻に真偽を問いただすのが先なのでは。
これ、「絶対に妻は犯人ではない」から夫は妻をぬれぎぬから庇っているのではなく、「妻が犯人であろうがなかろうが関係なく」妻に不利になる証拠を次々に隠滅していく、っていうのがなんともはや。
まあ、夫が極端に妻を庇護しようとするのにも、それなりの理由があって、いわゆる「負い目」って奴が重くのしかかっているせいなのですが、それにより、夫のどうしようもなさと、自分に対して必死になっている夫を見る妻の冷たい目線が強調されていて、一事が万事やるせない映画でした。
悲惨とか、悲しいとかいう映画ではなく、結局は自分本位な二人の映画という感じ。
最終的などんでん返し(真犯人についての)もありますが、個人的には、どう転んだとしても夫がこれまでやってきたことを考えれば、これからやることも想像がつくので、まあ夫の絶望はこれからも続くんだろうな、という感じ。
色々あったけど、やはり最終的に「勝つ」のは妻である女、というような印象の映画でした。
後、韓国映画は、一見して小物に見えるチビデブが見せるド迫力枠を常に有しているので、その点では実に眼福モノでした。
豹変した後の顔、超怖い。マフィアのボスなんて目じゃない。
主人公の刑事は、髪の毛真っ黒で何故か片目が隠れているアニメみたいな髪型で仰天。
妻がこれがもう、薄幸の美女で倒れそうになりました。貞淑な妻の果たしてその実態は、って奴ですね。
『トイレット』公式サイト
もたいまさこさんがばーちゃん役で出ている時点で、勝ち組映画であるのは間違いないような気がするんですが、説教臭さなど微塵もない、いい映画でした。
潔癖症で同じシャツを七枚持っている研究者の兄。
パニック障害を抱えて家から出られないピアニストの弟。
勝気で自由奔放な妹。
猫のセンセー。
そして、亡き母親が呼び寄せた日本人の祖母、ばーちゃん。
全く英語が通じないばーちゃんと、三人の兄弟と、センセーのお話です。
基本的には、生真面目な兄が他のメンバーに振り回される形で話が進むのですが、その振り回され方も、それぞれが一生懸命やった形の上なので、そこで家族が仲たがいするような事はありません。
ある種の「家族」であるが故の「安心感」が強調されているので、見ている側も「家族ゆえの破局」といようなものを、想像することなく見られるので、とても優しい作りになっております。
兄弟色々問題があるけれど、絶対にそれぞれの個性をバカにしたりはしない。意見の食い違いもあるけれど、絶対に何かあれば助けに飛んでいく。
兄は自分が一番振り回されている、と思い、それを家族にぶつけるシーンもあるのですが、物語中盤で、ある意味自分が一番「家族」から守られていた、という事実を知ります。その上で劇的な何かが起きるわけでもなく、それでも家族は続いていくっていうのがいい。
そして気の強い妹さんは、ちょっとナルシスト入った美形と、詩の授業(笑)で出会い、付き合うようになります。
男は店員を勤める店のショウウィンドウをしょっちゅう覗きに来る、兄を指して、馬鹿にします。
「毎日同じシャツを着て、つまらない毎日を過ごす。滑稽だね。ああいう奴が一人で寂しい死に方をするんだ」
それを聞いて、妹は猛然と反論します。
「寂しく死んだりなんかしないわ。彼には妹がいるもの。それにね、毎日同じシャツなんか着てない。同じシャツを七枚持ってるのよ!」
そして、店に入ってきた兄の腕を掴んで、その店を出て行くのでした。もう、妹さん超カッコイイよ。
個人的には、家族間の問題は、問題と呼べるほどの険しいものではないと思うのですが、それは「見ている側」だからそうなのであって、実際にその家族であったなら、毎日の中でおきている逃れられない問題として、とても重要なウェイトを占めている、けれど、絶対に解決できるというスタンスが好きでした。
解決、っていうと固いですね。
昇華できるというか、乗り越えられるという印象です。
役者陣はどなたも爽やかで素敵でした。
個人的には気の優しい次男坊が大変キュート。
やせっぽちで背の高い、髪の毛もじゃもじゃの青年が、本当に嬉しそうに笑う様を見て思わずトキメキ(笑)。
公式サイトにトレイラーがあるので是非。
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突然の自動車事故により、子供が死んでから、ぎくしゃくしたままの関係を続けるある夫婦。
ある日、刑事である夫が出向いた殺人現場に残された証拠品は、間違いなく妻を表すものだった。
グラスに残されたピンクヴァイオレットの口紅。
床に転がるイヤリング。
「お前が殺したのか」
「その答えを言えば、もう二度と元の関係には戻れないわよ」
果たして夫は、秘密を守り続ける妻を、殺された弟の仇と狙うマフィアの手から守る事ができるのか。
そして、本当に妻は殺人を犯していないのか。
真犯人は一体何処へ消えてしまったのか。
これだけ書くと推理サスペンスみたいですが、実際は、ひたすら事実を隠蔽するために必死になる刑事の行動で話が進みます。
他の韓国映画の刑事モノでも見たんですが、こうあからさまに私情を入れて証拠の隠滅が「できちゃう」組織ってなんか空恐ろしいですねえ。多少誇張されている部分もあるのでしょうが、そういうことをしても家族を守る、っていうことに対してためらいがない男、っていう描かれ方をする「刑事」が凄く多いので、なんか組織人としては微妙な気持ちになりました。
別に家族を見捨ててもらいたいわけではないんですが、正当な流れであればそれこそ、妻に真偽を問いただすのが先なのでは。
これ、「絶対に妻は犯人ではない」から夫は妻をぬれぎぬから庇っているのではなく、「妻が犯人であろうがなかろうが関係なく」妻に不利になる証拠を次々に隠滅していく、っていうのがなんともはや。
まあ、夫が極端に妻を庇護しようとするのにも、それなりの理由があって、いわゆる「負い目」って奴が重くのしかかっているせいなのですが、それにより、夫のどうしようもなさと、自分に対して必死になっている夫を見る妻の冷たい目線が強調されていて、一事が万事やるせない映画でした。
悲惨とか、悲しいとかいう映画ではなく、結局は自分本位な二人の映画という感じ。
最終的などんでん返し(真犯人についての)もありますが、個人的には、どう転んだとしても夫がこれまでやってきたことを考えれば、これからやることも想像がつくので、まあ夫の絶望はこれからも続くんだろうな、という感じ。
色々あったけど、やはり最終的に「勝つ」のは妻である女、というような印象の映画でした。
後、韓国映画は、一見して小物に見えるチビデブが見せるド迫力枠を常に有しているので、その点では実に眼福モノでした。
豹変した後の顔、超怖い。マフィアのボスなんて目じゃない。
主人公の刑事は、髪の毛真っ黒で何故か片目が隠れているアニメみたいな髪型で仰天。
妻がこれがもう、薄幸の美女で倒れそうになりました。貞淑な妻の果たしてその実態は、って奴ですね。
『トイレット』公式サイト
もたいまさこさんがばーちゃん役で出ている時点で、勝ち組映画であるのは間違いないような気がするんですが、説教臭さなど微塵もない、いい映画でした。
潔癖症で同じシャツを七枚持っている研究者の兄。
パニック障害を抱えて家から出られないピアニストの弟。
勝気で自由奔放な妹。
猫のセンセー。
そして、亡き母親が呼び寄せた日本人の祖母、ばーちゃん。
全く英語が通じないばーちゃんと、三人の兄弟と、センセーのお話です。
基本的には、生真面目な兄が他のメンバーに振り回される形で話が進むのですが、その振り回され方も、それぞれが一生懸命やった形の上なので、そこで家族が仲たがいするような事はありません。
ある種の「家族」であるが故の「安心感」が強調されているので、見ている側も「家族ゆえの破局」といようなものを、想像することなく見られるので、とても優しい作りになっております。
兄弟色々問題があるけれど、絶対にそれぞれの個性をバカにしたりはしない。意見の食い違いもあるけれど、絶対に何かあれば助けに飛んでいく。
兄は自分が一番振り回されている、と思い、それを家族にぶつけるシーンもあるのですが、物語中盤で、ある意味自分が一番「家族」から守られていた、という事実を知ります。その上で劇的な何かが起きるわけでもなく、それでも家族は続いていくっていうのがいい。
そして気の強い妹さんは、ちょっとナルシスト入った美形と、詩の授業(笑)で出会い、付き合うようになります。
男は店員を勤める店のショウウィンドウをしょっちゅう覗きに来る、兄を指して、馬鹿にします。
「毎日同じシャツを着て、つまらない毎日を過ごす。滑稽だね。ああいう奴が一人で寂しい死に方をするんだ」
それを聞いて、妹は猛然と反論します。
「寂しく死んだりなんかしないわ。彼には妹がいるもの。それにね、毎日同じシャツなんか着てない。同じシャツを七枚持ってるのよ!」
そして、店に入ってきた兄の腕を掴んで、その店を出て行くのでした。もう、妹さん超カッコイイよ。
個人的には、家族間の問題は、問題と呼べるほどの険しいものではないと思うのですが、それは「見ている側」だからそうなのであって、実際にその家族であったなら、毎日の中でおきている逃れられない問題として、とても重要なウェイトを占めている、けれど、絶対に解決できるというスタンスが好きでした。
解決、っていうと固いですね。
昇華できるというか、乗り越えられるという印象です。
役者陣はどなたも爽やかで素敵でした。
個人的には気の優しい次男坊が大変キュート。
やせっぽちで背の高い、髪の毛もじゃもじゃの青年が、本当に嬉しそうに笑う様を見て思わずトキメキ(笑)。
公式サイトにトレイラーがあるので是非。