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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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【TIGER&BUNNY15話】感想


以下ネタバレあります。特に反転もしておりませんのでご注意ください。





























30分でテンポよくてそれでいて大変暗い話ですが、個人的には変な愁嘆場がなくて好きなオチでした。
スカイハイが公園で知り合った女性は、アンドロイドであり、最後は暴走して姿かたちも変わった彼女を、スカイハイが倒す、という話なのですが、そのロボットがあくまでちゃんとロボットなのが個人的には非常に好みです。

例えばこれが、人間の感情を理解するために作られたとか、コミュニケーション目的の存在であって、しかも「自分はロボットである」という認識がある上でスカイハイと付き合っていた、というのならまた別なのですが、今回、スカイハイは極論ですが、勝手にしゃべる自販機に恋をしている、ようなものなんですね。
存在の説明だけより抜けば。
ただ、人型をしていたからスカイハイは相手が「人間の女性」だと思い込んで恋をしただけであって、中身だけひん剥くと、人間の男が人型のロボットに一方的に声をかけているだけなので、シスにとってはスカイハイは何者でもないし、「個人」として認識されてもいない。

シスはあくまで研究者が「力」を求めて組み立てたプラモデルみたいなものであって、対物関係に特別な感情を抱くはずもないし、その感情のプログラムが元々入っていないわけですから、シス自身にとってスカイハイはどうでもいいし、スカイハイの行いや自分に投げかけれている言葉も、どうでもいい。というか、どうでもいいという判別すら多分してないんだと思います。かけられた音声に反応しているだけで。

それでも、スカイハイは「それを知らず」にアンドロイドに恋をする。しかも一方的に。
だから、スカイハイは最終的に自分に向かってくる狂ったロボットが、シスであると気づくはずもないし、「ひょっとしたら気づいている」のではないか? という描写があろうはずもない。
外見が違いすぎるし、声もなければ、某かの行動に皮が向けた後のシスと、公園で出会ったシスには共通点が何一つないのだから、それは当たり前。

だから、最後スカイハイが公園で彼女を待ち続けて、その結果「絶対に再会」しないのは当然悲しい、ですが、それはあくまでスカイハイの勝手な思いの結末が悲しいのであって、別段シスにとっての「悲しみ」じゃないんですね。
何故なら、シスには別段悲しみを理解する機能はついていないから。だから、スカイハイにとって片思いの相手に会えないのは悲しいけれど、それはスカイハイの一方的な悲しみであって、シスはもうただ壊れて処分された機械というだけなので、そこにシス自身の不幸など生まれようがない。

しかも今回の話、例えば他の連中が「あの狂ったアンドロイドはシスなんだ!」という認識も一切されていない。
つまり、スカイハイが出会ったシスは、スカイハイしか知らないわけです。
だから、実際に戦闘した虎徹とバーナビーも、純粋に狂ったアンドロイドの相手をした、という認識だけであってスカイハイの片思いの相手を壊しちゃった罪悪感など当然ないし、例えばスカイハイの片思いの相手をその後知ったとしても、
「まあ、何処かでまた会えるかもしれない」
とか、ごく当たり前のフォローをするだけにとどまるんだろうなあ、というか。

そのスカイハイの報われぬ思い、すれ違い、人ではないものの悲しさを、唯一知ることが出来る視聴者が涙するわけです。
その様々な悲劇を知るのは、当事者ではなく、今回視聴者だけなので。
だからこそ、傍観者である視聴者は、テレビの前で繰り広げられるどうにもならない展開が「悲しい」と涙するわけですね。
他の連中、あの世界の連中は誰一人「そこまでの悲しみ」を背負うわけでもなく、ただ裏の事情を知ってしまったコチラが悲しい。
そういう作りが大変潔くて好きでした。


まああの後、虎徹とバーナビーからアンドロイドの外見とか、研究者さんたちのデータとかで、スカイハイが事実を知ってしまった可能性もあるわけですが…。
知った上で、スカイハイが「お礼」に行っている、と見る展開も確かに悲しいんですが、少しでもその手の描写があれば深読みもしますが、今回に限って言えば純粋にスカイハイは、最初から最後まで自分の目線のまま、シスの正体など一切知らないまま、勝手に恋をして勝手に失恋しているんじゃないかな、と思いました。
だからこそ、シスらしいというか。
シス目線だと、そこでスカイハイがシスの正体を知って滂沱し、後悔したとしたって、別にどうだっていいわけですから。人を愛する機能がないのだし。


これ、色々人間的解釈を加えれば、シスは機能不全を起こしていたのだから、スカイハイに対する受け答えには意味がある、とか、スカイハイは最後気づいたからこそバラの花を持って公園に行って、彼女を待ち続けるというような展開も大いにありだとは思うんですが、個人的には、最初から最後まで、誰も何も気づかず、そして誰も別に「不幸」にはならなかった、ただ壊れたロボットが破壊された「だけ」の物語、という展開のほうが好みです。

だからこそ、こっちがスカイハイの感情に、感情移入して泣けるわけですしね。だからこそ暗いというか。

元々、アンドロイドとかロボットが「人間的」な感情を持つことにあまり萌えない、っていうか、初めから感情を持っていないロボットだと知っていて、勝手に人間が某かの感情を持つわけだから、その後別に「こちら」に歩み寄ってもらう必要もない。そのままでいい。という性質なので、今回のスカイハイエピソードは非常に満足しました。

バニーの水着はもう、あいつはあれでいい。ああいう奴なんだからそれでいいさ。
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