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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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それなりにネタバレ(明確に言及しているわけではありませんが)していると思いますので、ご注意ください。









『極限脱出 9時間9人9の扉』公式サイト

進法さえなければ…。
私の感想はこの一言に尽きる感じです。もうねえ、駄目なんだ数学は決して嫌いじゃなかったけれど決して覚えがいいほうではなかったのに、次から次へと数字とアルファベットの置き換えを迫られたときは泣きました。速攻攻略サイト様に走ってしまいましたが。

ですがそれを差し引くと、初回プレイのなんだかな感は薄れて非常に良作なゲームでした。
まあ投げっぱなしな部分も多くありましたが。
シナリオも「いい」というよりは「練られている」印象が強くて、実際全部のEDを見た後になってはなるほどねえ、と納得する事の方が多かったです。
ただし、実際のオチや根本的な「設定」は賛否両論というか…サスペンス物かと思いきやSFだったというか…。
私自身は嫌いじゃないと言うか、どうしてもこの手の設定にすると、物語上で齟齬があったり、理解や納得できない方がいても致し方ないとは思うので、設定そのものの評価は割れると思いますが、それを差し引いてもシナリオは大変上手でした。


・システム。
これはある理由があって繰り返しプレイを強要される(しなくたっていいけどベストEDは見られない)のですが、そのための機能が実装されていないというのは大きなマイナスです。
会話パートと、実際探索をして閉じ込められた場所からの脱出を求められるパートの二つに分かれるのですが、まず既読スキップが永遠に方向キーの右を押していなければならないというトンデモ仕様には目をむきました。今まで見たことねえぞそんな仕様。
押し続けなければいけない、っていうのはまだありましたが、よもや右とはねえ。
確かにこのゲーム限りなくタッチペン仕様なので、方向キー使わないったら使わないんですが………それにしても、全部でBADも含めれば6個EDがあって、そのどれも最初から遊ばないといけないというのに、この仕様はキツすぎます。
メッセージ速度も遅いですし、基本的な部分でイラっときました。

探索、推理パートも飛ばせませんが、これは一度クリアすればまあぶっ飛ばせるレベルなのでなんとか。
この探索パートも繰り返す理由が、物語上あるったらあるけどないったらない、程度のものなので(繰り返される事には意味があるが、探索パートだけを選り抜いて繰り返す意味はない)飛ばせても「物語上」の弊害もないような気がするんですけどね。


このゲーム、序盤で電卓の機能が渡されます。
物語の肝として、数字の書かれた扉があり、1から9までの数字が浮かび上がった腕輪を身につけた9人の人物がいて、それらの数字を「数字根」で足し算して扉の数字と合ったら先に進めるというものがあるのですが、当然そのために使うんだと思ったわけです。

例えば、「6」の扉があったとしたら、
1+2+3=6
の三人で入ろうかなとか、
4+6+7+8=15=1+5(一の位と十の位は足される)=6
の四人で入ろうかなとか、
その計算のために電卓っていう機能があるんだろうなと。自分で電卓を使ってどの扉に行くとか、誰を選ぶとか、そういう用途のためにあるんだと思ったんですよね。
ところがこれ、全然違いまして、このゲーム途中で扉を選ぶ選択肢は、どの扉を選らぶかだけこちらが選択できて、後は別に一本道なんですよね。
電卓使ってプレイヤーが道や人を選ぶ余地、一切ありません。
主人公以外の連中が、「これこれこうなるから、この三つの扉のどれかを選べ」とわざわざ言ってきてくれるので、こっちは「はいそうですか」とばかりに選ぶだけなので、この電卓の機能クリアした今となっても正直必要だったのかよくわかりません。
この数字根はゲーム中で「勘弁してください」とばかりに多様されますし、探索画面でもそれが暗号になっていたりすることもあるのですが、基本的に登場人物たちが解説してくれるためにあるので、こちらがその数字について頭を悩ませることもなく、「この組み合わせしかないから誰か一人死ぬしかない」とかそういうのも物語の進行上全部「自動」で行われます。
ただ、それが悪いというのではなく、その数字根そのものも犯人を特定するために役立ったりするので、物語の中における使い方としては「頭使ってるなあ!」と素直に思えます。


ただ、それ以上に私が頭を悩ませたのが、進法…です。
16だとか32だとか言われても完璧に理解できませんでした。
厨房で露出狂のババアが一回説明したくらいで理解できるかよ!
要するにアルファベットと数字の置き換えなんですが………むしろ、電卓なんぞいらねえからこの置き換え表欲しかったよ! と半泣きにならずにはいられませんでした。途中で考える事を放棄して全部攻略サイト様見ましたが…見た今となってもよくわからない…。
他にも元素記号知ってないとアウトとか、知らなきゃわからんみたいな物を謎解きで使われると結構キッツイものがあります。
まだ、行き当たりばったりぐるぐる物を回せばオッケーとか、室内をしらみつぶしに探せば脱出のカードが見つかる、とかそういうものなら良かったんですが………。
私クリアした今となっても、進法だけは本当に何も理解できてません。駄目だこりゃ。



・物語

腕に取り付けられたバングル。体内に飲み込まれさせれた爆弾。九人の人物は互いの素性も知らぬまま、沈みゆく船から脱出するすべを試みる。
純然たる脱出サスペンスなのかと思ったら、違った印象の強いゲームでした。

それが悪いとか、いいとかいうことではなく、序盤での登場人物たちの妙なウンチク合戦が始まったとき「そんなものはあるわけがない。すべては嘘だ」的なオチで使われるのかと思いきや、真逆だったというか。
その「ありえない」部分をオチに持ってくるところは斬新なのかもしれません。

どうしても脱出物って、究極の現実物だと思うのですが、そうでなかったのは意外でした。
ある意味、自分の頭脳を駆使して「非現実的」な世界から「現実世界」へ戻るのが主題なわけですが、このゲームは非現実から始まり非現実に帰るとか、そんな印象のゲームです。

設定抜きにすると、推理モノでよくある「怪しいけれど潔白」も「潔白そうだけど黒幕」もどちらも用意されていて、それが意表をつくことなく当然のように使われている部分は王道でした。これはとっかかりやすいので、設定からして受け入れづらいこのゲームの中では好印象です。
誰しもが一番に思う、「本当に死んだのか?」とか「黒幕はこの中にいるのか?」とか、そのあたりをちゃんとわかっててやっていて物語そのものはスムーズに理解できます。私自身、オチや数字根の組み合わせなんかはおいておいて、物語そのものは非常にわかりやすくて王道だと思いました。特別奇をてらったものではありません。九人の登場人物の役割や、正体も違うルートを選んで遊べばすぐに看破できるレベルです。


システム部分で「繰り返しプレイを強要される」と書きましたが、実際ベストEDを見るためには、二周遊べばいけます。
ただ、それ以外の「理由なく閉じ込められた面々の脱出」を味わうには、どうしてもBADや他のEDを見たほうが物語として楽しめるのは事実です。
最終的なベストEDに至ってはこれも前述した通り、設定が受け付けられない方もいらっしゃるでしょうから、物語の最後に近づけば近づくほど興ざめしてしまうのであれば、それ以外の密室の恐怖や、おかしくなっていく人々、八方塞の中で絶望しか見えない状態、のほうが面白いのは確かです。
私は攻略サイト様を見ていたので、当然ベストEDは他のEDを網羅してからいったのですが、ベストEDよりもBADの方が、このゲームの主題にしたかったであろう閉鎖空間や、恐怖体験は味わえました。
ベストEDはどうしても、恐怖体験を抜き(それ以前に恐怖は味わいつくしてしまっているわけで)を抜きにした「動機」や「犯人」が主題になってくるので、それはちょっともうサスペンス物とは違いますしね。


犯人の動機がわかっても、その犯人に感情移入できるかは甚だ怪しい(苦笑)ですが………。
かなりの人でなし加減です、犯人は。
まあ確かに大切なものを取り戻すために何でもやろうというのは別に嫌いじゃないですが、巻き込む人間に「それを隠す」必要が果たしてあったかどうか…。
隠さなきゃならない奴なんて、それこそ三人で充分なんじゃないのか、というか。



・絵、音楽

ちょっとレベルが低いかな~とは思います。
せっかくの西村キヌデザインなのでもう少し登場人物丁寧に描いてくれてもよかったなとは思うんですが、まあDSですから。
見るに耐えないとかそんなデザインではないです。
個人的にはせっかく密室船内なのですからもっとグロい絵でも良かった気がしますが、これは好みですし。まあ残虐シーンも普通に流せるレベルです。
音楽は全く印象に残っていないので割愛。



・登場人物

主人公(5)
語り部であり最後はスーパーマンになる。
言葉遣いも割りと乱暴でがさつな印象が強い。突然お笑いに走ったりするが、それは他の奴らにも言えるのでなんとも。
最初から最後まで理由はあるが完全に巻き込まれ役の主人公の面目躍如。気の毒ったら本当に気の毒だ。

一宮(1)
紳士的なおっさん。だが、閉じ込められた九人の中で年少者ではないという時点で身バレしてしまっている気がしてならない。
大病室での一連の行動を見た瞬間、私の中でこいつの立ち位置は一瞬で看破された。

ニルス(2)
盲目で線の細い青年。この物語のヒロイン。ヒロイン要素をすべて兼ね備えておりあまりの完璧さ加減に笑った。多分この人はわかりやすい(反転)ミスリードのためにいる(反転終了)んだと思う。妹とは相思相愛。互いがいなければ生きていけないレベル。

サンタ(3)
銀髪で粗野な少年というか青年なのかよくわからん。クリアする前と後では印象が百八十度くらい違う気がする。個人的にはもうちょっとなんとかなっただろうにという印象が強く、あまり頭がいい感じではない。

四葉(4)
ニルスの妹。やっぱりこの物語のヒロイン。今流行の妹でツンデレでヤンデレで兄がいないと生きていけないレベル。あまりにお約束で参った。この兄妹は完全に王道キャラクターで、物語の進行上一切のひねりもなにもないが、そのあたりの割り切り方がとても好きだ。それでも後半になってくると主人公にちょっとだけデレてきたりしてそれはそれでとても可愛い。ただ別に主人公が入り込む余地なんて物は何処にもない。

紫(6)
主人公の幼馴染。突然熱でぶっ倒れたりするのもある意味伏線。実際この人がどうのというよりは、この人の一連の行動を見てハラハラしていたであろう奴を想像するとニヤニヤできる感じ。こいつ自体には特別思い入れはない。

セブン(7)
いかつい大男。意外にインテリ。物語の中での良心といってもいいレベルで実際にその通り。最後の意味深な笑顔は何を指しているのかちょっと謎。どのようにでも解釈してください的な笑顔なんだとは思うが。

八代(8)
出だしからしてビッチな子持ちおばさん。性格に難アリのインテリ。頭の回転が非常に速いため、数字関連の会話や物語の根幹に関わるウンチク披露はこいつから生まれる。会話が長くて長くて仕方がないためスキップで飛ばされるのが最も多い人物。最後のほうで妙にいい人になっちゃったのでがっかり。この人は最初から最後まで利己的でよかったんだと思う。実行犯が利己的の極みなんだから、おばさんもそれでいいじゃないか。

(9)
初っ端でえらいことになってしまう男。しかし、断末魔の叫びはもう少しなんとかならなかったのか。あの叫び声だけはどう考えても不自然だろう。



一番最初にも書きましたが、進法(私が馬鹿だとして)さえなければ推理やパズル物としての難易度もそこそこで楽しめたんじゃないかと思います。
序盤の時折挟まれるウンチクとか、その辺非常にうっとうしいったらそうなんですが、このゲーム違うルートを選べば選んだだけ、唐突にそれぞれの会話が始まるので、始まったら「ああ、これフラグなんだな」と思えば間違いないレベルです。
さりげない会話の中に謎をちりばめるとかそういうことは一切ない、潔さと、それでも「行動」の中には謎があると言うのは、いい配分だったと思います。突然しゃべりだす「わかりやすい」謎に気をとられている背後で、行われている「行動」の表し方が見事でした。
繰り返しプレイも苦にならないデキですが、最後のオチらへんはご自身で判断ください、ということで。
私はその犯人を「特定」するまでの過程が見事だったので、あまり気になりませんでしたが。
数字を使ったギミックなどが好きな方にはお勧め。後で調べてみたらこれ『Ever17』とか書いた方だったんですね…。知ってたらもっと早くにこのオチわかってたかもな…。
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