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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『オペラハット』
『スミス都へ行く』
同じ監督作品が同じ日に送られてきました。結果連続で鑑賞したんですが、まあ根本的なテーマとか展開は全く同じですね。
田舎で暮らしていた純朴青年が、都会にやってきてもその誠実さを失わず、変人と扱われても他の善良な人々によって救われる、っていう実にわかりやすいいい人たちの映画です。その分出てくる悪役が非常に生臭いんですが。


オペラハットの方は、田舎で絵葉書に詩を書いて、吹奏楽団でチューバを吹いていたゲイリー・クーパーが主役です。こんなイケメンな田舎青年がいてたまるかというくらいイケメンですが。
細かい笑いも満載で、遠い親戚の遺産をもらって億万長者になってしまったクーパーが、田舎町から去っていくという一大イベントの際に、演奏している吹奏楽団に自分も混じってチューバ吹いちゃってるとか、凄く面白かったです。結局列車乗ってからもチューバ吹いてますし。
爆笑と言うのではなく、ウィットに富んだ会話の積み重ねが面白いというのは、この時代の映画の特徴ですね。
好きな女ができて、食事のシュミレーションをするにしても、じじいの執事を向かいに座らせて、
「彼女はもうちょっと背が低いから」
とか言ってずりずりと背の高さの調整をさせたりとか。ちなみにこの映画執事三人出てくるんですが、揃いも揃ってじじいです。 とても素晴らしいです。背の高いのからちょっと太ったのまで、じじいのラインナップ完璧です。

クーパー演じるディーズ氏は馬鹿ではありませんが、完璧に善人かというとちょっと違います。酒にも酔うし、他人をすぐ殴るし、消防車が通れば興奮して乗り込んでしまう。
そんな破天荒さを純粋さと見てしまった、ゴシップ記者のベネットは運のつきだったのでしょうなあ(笑)。
始めはプライベートを暴いて記事にするために、ディーズに近づくんですが、その人柄を知って自分が彼を裏切っているのが辛くなる、っていうベッタベタな展開が楽しめますが、むしろそれがいいんですよ。

最終的にはディーズ氏は親族に訴えられて、裁判に持ち込まれるのですが、その前にベネットに裏切られている(正体がバレた)ので茫然自失の体っていうのがまった男の情けなさ面目躍如ってとこで。

アメリカ映画は如何にもタフガイ的な演出をしてくる男も凄く多いですが、こう、女に振られたくらいで人生丸投げにするくらいどん底まで平気で落ち込んじゃう男も出てきちゃうあたりが、個性のゆれ幅も極端に大胆すぎんだろ、といつも思います。
愛は至上であって、裏切られたらそれこそ生きていけないを地で表すヒーロー。これも今の風潮とはちょっと違うので面白いですね。
結局立ち直るのも女の激励によってであり、その後は唐突にハッピーエンドで終わります。
昔の映画の唐突に終わる感はいつもハンパないですが、この映画もドカンと唐突に終わりますのでそれだけは残念。
私だったら絶対に、最後は女を連れて故郷にチューバ吹きながら凱旋するシーンで終わらせるのになあ。


スミス都へ行く、は主演男優さんが何処かで見たことがあるなあ、と思ったらジェームズ・スチュワートではないですか。あの『ハーヴェイ』の主役の人でしたか。その人に比べて随分男前に見えるのは、前髪が発生していたからなのでしょう。

スミス氏も田舎で青少年相手に活動してきた人なのですが、思惑があって議員に引っ張り出されてしまうわけです。でも所詮右も左もわからない純朴青年であってお飾りなのですが、それが当人にはわからない。
秘書のサンダース(オペラハットのヒロインと同じ女優さん)も、推薦してきた上司の思惑丸わかりなので、呆れるやらなのですがその情熱にほだされる形で、草案作りのお手伝いを始めます。
その秘書に対して、
「こんな聡明で素晴らしい女性は初めてだ」
と言えちゃう朴念仁もどうかと思います(笑)が、このへんがアメリカイズムですね。
どれだけ純朴であっても女性に対する賛辞を惜しまないっていうのは、オギャーと生まれてきてから染み付いているのだろうし。
その後も、「さん付けではなく、呼び捨てでいい? ファーストネームは?」と聞いてきて、無事に教えてもらったのに、結局は「よし、やろうサンダース」と名前を呼べないスミスとか、お前もう可愛すぎるだろう。

これ、二つの映画が二つとも、テーマも同じだし結果も同じだし、正しい物が勝利するっていうわかりやすいくらいに清々しい映画なのですが、もう一つ共通している点が、男の相手が完全完璧に自立した女性であるってことですね。
サンダースは頭も切れて、スミス氏よりも法律に勿論詳しいし、スミス氏の純朴さ加減にイライラしているふしがある。
そして結局草案作りを手伝うも、スミス氏の法案は馬鹿にされ、自分の故郷のダム工事の片棒を担がされていただけだということがわかる。
信じていた人に裏切られ、立ち直れずにいるスミス氏に、喝を入れるのがサンダースなのです。
優しく慰めるんじゃなくて、「貴方が立ち直りたいのであれば、手助けする」というスタンスで、サンダースはしゃがみこむスミス氏を引き起こす。
そして議会での対決にも助言をし、見守る。
そんな女性をスミス氏は好ましく思い、頼りにする。
このあたりの男が守ってやりたいではなく、自分が頼りにできる人が特別な存在っていう価値観の表し方も、実に古きよきアメリカ映画の特徴だなと思いました。

ちなみに女優さんはジーン・アーサーさんという方で、超きれいです。金髪に真っ赤な口紅(モノクロ映画ですが、唇は常に赤いに決まっている。いい女だもの)。タイトなスカートに肩パットの入ったスーツを身にまとい、想像するキャリアウーマンはこういう格好をしているのだろうなあという美しい姿そのままです。肩パットっていうのかな、なんていうかこう肩口の盛り上がっている部分が強調されているというか、昔の映画でよく見るレディーススーツのデザインですが、それがとても素敵でした。
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