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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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『サンセット大通り』
超大女優のグロリア・スワンソン主演のドギツイ映画でした。『イヴの総て』と同時期の映画で、アカデミー賞を取り合ったらしいのですが、こちらの方がよりドギツイ印象が強かったです。ちなみに取った賞の多さはイヴの方が上。
無声映画で栄華を誇った大女優の住まいに、売れない脚本家が迷い込みます。その女優が復帰をかけて自ら書いた「サロメ」の脚本を手直していく間に、同棲生活を送るようになり、女優は男に依存し、男は金や女のおかしな生活にのめりこみ、脚本家としての道を自ら諦めるのですが、そこに脚本家を目指す若い女性が現れます。そして、男は若い魅力的な女性と共に書く作業に集中し始めるのですが、大女優はそれが許せない。錯乱する女優を見捨てる事もできず、若い脚本家と逃げる道も選ばず、男は軟禁状態だった屋敷から出て行こうとすのですが…。

とにかく見所は、グロリア・スワンソン。それ以外には何もない、というくらいの映画です。
広大な屋敷に、老いた執事だけをはべらせて、黄金のベッドで眠り、ペットであった猿の葬儀を厳かに行う。
若い頃の写真を並べ立て、映写機で自分が主演映画の無声映画を男と見る。送られてくるファンレターにサインつき写真を同封して、美しいままの自分を誇示しようとする。
まあその姿が不気味ったら不気味なんですが、基本的にその不気味さは彼女の真面目さからくるものなので、それほど嫌な感じはしません。
彼女が傲慢なのは女優ゆえであって、過去の栄光にすがっている様は浅ましいかもしれませんが、そこに存在する栄光に嘘はないわけで。

最終的に脚本を完成させ、彼女は大物監督である、セシル・B・デミルに会いに行きます。なんと本物。
そこで、周囲は彼女の扱いに困るわけです。かつての大女優の書いた酷い内容の脚本。映画スタジオの何処を探しても彼女の出番はない。
けれど、デミルは彼女を知らない助手にはっきりと言うわけです。
「彼女は偉大な女優だ。とても懸命で、真面目な女優だ。特に最後の映画は鬼気迫るものがあった」
だからデミルは彼女の出番がないということを言い出せず、彼女は自分の映画公開を信じて、「女優」としての努力を始めるわけです。
毎日専属の美容師を呼び、体のすみからすみまで磨きなおす。夜は九時に寝て、まさしく映画作りのためにだけ生きようとする。
男は、そんな茶番にうんざりしてしまうわけです。
映画は公開されるはずがない。誰も彼女など待っていない。そして、毎日送られてくるファンレターは、執事が送っていたものだった。
「映画が公開されないということは、私が決して気づかせません」
そう断言する執事は、こうも言います。
「彼女は大女優だった。私は彼女なしでは生きていけない。彼女が若い頃三人の期待された監督たちがいた。その一人が私だ。そして、彼女の最初の夫でもある」
もうねえ、主役の男がわりと煮え切らなくて、流されるタイプなんですが、この執事が抜群にカッコよくて。

そして、男は女に撃ち殺されます。
人気のなかった屋敷に、マスコミ、警察など山ほど人が訪れます。
茫然自失で化粧台の前に座る女優に、執事が告げます。
「奥様、カメラが来ております」
そして、彼女は目の輝きを取り戻します。身支度を整えて、パフをはたき、二階の部屋からゆっくりと出てくるさまはまさに女王。
階段の下では、長年連れ添った執事が、往年の姿そのままに、カメラや照明に檄を飛ばします。
「どのシーンから? マックス」
「宮殿の階段を下りるシーンからです」
「そう、私は女王。みな、下で私が降りてくるのを待っている…。ありがとう、私はようやく映画に戻ってきます。長年待たせてしまったファンには申し訳ないと思っています」
「アクション!」

そして、女優は階段を優雅に下りて、クローズアップで映画は終わります。そのアップの仕方も実に象徴的なのですが、それは映画のお楽しみと言うところで。

グロリア・スワンソンと共に、美味しいところ全部持ってったのが、執事役の、エリッヒ・フォン・シュトロハイムです。世界一ィィ! の苗字の人ですね。実際はユダヤ系の方ですが。
常に女優に付き従い、そして最後は本領発揮とばかりに、力強い声で映画スタッフの人たちに指示する姿はまさに圧巻でした。かっこよかった。

後味がいいかといわれると全然良くないんですが、映画としてはメリハリと不気味さ、そして迫力がとても面白い映画でした。



『カサブランカ』
「君の瞳に乾杯」で有名な映画ですね。ただし私ぼんやりしていたのかその台詞見覚えないんですが。どのシーンだこれ。
これ、恋愛映画というよりは社会映画というか、世情映画という感じですね。思っていたよりも甘い成分なかったです。
台詞回しがオシャレなのは、この時代のこの女優、男優さんが揃っていれば当たり前としても、過去の恋人云々の絡みも結局、政治的な要素や亡命やらが絡んできちゃうと、個人的には純粋な「悲劇の恋愛映画」に見られないんですね。私にとってはそれは「悲劇的な映画」であって、そこの恋愛要素にあまり集中できないっていうか。

内容としては、まあ過去に愛し合った彼女が、結婚して相手と政治的にドイツに追われていて、その亡命を手助けするとかしないとかっていう話なんですが(身も蓋もない)個人的には、男たちの腹の探りあいとか、友情のドラマとして見た方が楽しめました。
フランス領である、カサブランカの警察署長さんとか、すんごい大人で超想像しているフランス男(女に優しくて、常に会話を受け流しておしゃれででも度胸があってちゃんと権力にも阿るけど友情は第一)にぴったりで、彼が一番ダントツでカッコよかったです。背の低いおっさんなんですけど(笑)

多分、時代に翻弄される元カレカップルはまだしも、ハンフリー・ボガード演じる主人公が、こう、わかりやすくかっこつけてる人なので、それが却って生々しいったらそうかもしれませんね。彼女に振られて自暴自棄になって孤立主義を貫くんだけど、元カノが出てくると急に酒びたりになっちゃうとか、普通にヘタレてます。おまけに、彼女を素直に離す気もないし、つっぱねるんだけど、自分の事は好きでいて欲しい感まるだしっていうか。
男対男だと、ボガードすんごいカッコイイ(警察署長さんとか、自分の店の従業員とか)んですが、女相手だと骨抜きになった弱みで、もろい部分が前面に出てくるのが「しょーもない男だなあ」と思えました。カッコイイというか、可愛いというか。

最後、女を見送った後、署長さんと、
「あんたも愛国主義になったな」
「遅すぎるくらいだ」
とか、そういう終わり方だったので凄くほっとしました。
女の飛行機を見送る背中、で終わるのかと思ったら、ちゃんとその後男が決起するであろう様で終わったので、やっぱりこれは男の映画だなあと。
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