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日々のつれづれ。ネタバレに過剰な配慮はしておりません。
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・福井二日目

泡坂「おはようございます………」
澤田「おはよう、泡坂。なんだか昨日の夜泡坂の部屋から悲鳴が聞こえたような気がしたんだが」
「ああ、それはですね、私が寝ようと思っていたら澤田さんが襲って来てですね………」
「お前それ本人を目の前にして言うか!?」
池波「澤田にそんな甲斐性があったら、逆にお赤飯だよなあ」
「まあ、あれです。ユニットバスが全く上手く使えなくてですね…。結局トイレまで満遍なく水浸しにした挙句、風呂上りにトイレ拭くはめになりましたよ。中々わびしい光景でした」
「どうしてユニットバスが水浸しになるんだ? カーテンあるだろう」
「何か、こういうことに関して一番不器用そうな澤田さんに言われると、凄く敗北感があるんですけど………」
「カーテンちゃんと、湯船の内側に入れたか? 湯船の外側にやると水が飛び跳ねるから、ちゃんと内側に入れないと意味ねえぞ」
「………入れてませんでした………」
「じゃあ、無理ないな」
「悪かったな澤田ァァァ!」
「何で俺に怒るんだ!?」
「もうほらわかったから、早く飯食って出かけるぞ。夜のうちに雨降ったらしいけど、今曇りだから早く出発しようぜ」
「ビジネスホテルの朝ごはんって感じで、ただの軽食ですけど、これで充分ですねえ。ちゃんとした名物料理はそこで食べればいいんですし」
「相変わらず池波は飯食わないな。それでよく体がもつもんだ」
「俺は朝は食わない習慣だからいいの。ほれ、鍵返して行くぞ」




道の駅 みくに到着。

「また道が空いててえらい早く着きましたねえ」
「俺たちの後ろから車がパッシングしてきたしな」
「田舎の道は仕方がねえよ。関西とかすげえ運転が乱暴で俺もあんまり走りたくねえし」
「どうせならわざとゆっくり走ってやればよかったのに」
「俺はいつ泡坂がそう言い出すのか気が気じゃなかった」
「一人ならそれもいいかもしれねえけど、同乗者がいるときはそういうことはしねえの。せっかくの旅行が台無しだろ。えーと道の駅着いたけどもうやってるのかね」
「ガイドブックによると、九時オープンだからちょうど、ですね。よーし、お土産買うぞー!!」
「ちなみに名物はなんなんだ?」
「お前なんか買うのか?」
「一応な。両親と講座くらいには」
「はい、名物はですね! 米! 蕎麦! 野菜!」
「持って帰れないだろう、米なんて…。蕎麦はともかく…」
「まあその気になれば、送ってもらえるだろうけどなあ。一人暮らしで米買ってもなあ」
「冗談です。いえ、冗談ではないですが、お土産として有名なのは、やっぱり『へしこ』でしょうかね」
「へしこな! 鯖を塩漬けにしたやつな! 酒のつまみとか、お茶漬けにしてもいいんだよな」
「そうか、じゃあ両親に一つ…」
「あと、らっきょうも有名ですね」
「花らっきょうな! 小粒なのが美味しいって有名なんだよな」
「じゃあ、それも一つ…」
「あとお菓子なら、羽生重餅と、けんけらでしょうかねえ」
「けんけらな! あれ素朴な味ですげえ美味いんだよ。こう、ばりばり食べられて香ばしくて。羽生重餅もやわらかくて美味いしさあ。いいよなあ、福井」
「………池波が生き生きしすぎている………」
「良かったじゃないですか、せめて食にくらい執着見せてくれないと、あの人得体が知れなさ過ぎて怖いですよ。まあ別に自分で食べる用途じゃないんでしょうけどね」




「また、随分買ったな、泡坂」
「ついつい買い込んでしまいました。講座と、友人と、バイト先くらいなんですけど、どれもこれも美味しそうだから」
「そうだな。道の駅って土産物屋じゃないから、普通に近所のスーパーレベルに地元の人が買い物してて、それが逆に凄くどれも美味しそうに見える」
「ほら、澤田さんこれ見てください。可愛いでしょう!」




「………なんだこれ」
「メガストラップらっきょちゃんですよ! このピンクのがラブちゃんで、黄色のがラッキー君! 可愛いでしょう?」
「よくわからん」
「可愛いですよ! 買おうっと」
「俺には大きすぎるような気がする」
「大きいからいいんじゃないですか! このちょっと頭部がゆがんだリアルさもなんともいえませんね!」
「怖いぞそのリアルさ。まあ可愛いんじゃないか?」
「おい、お前らそろそろ行くぞ。ちゃんと買ったか?」
「はい、買いました。荷物もぎゅうぎゅうに押し込んで封印しました。もう帰るまで開けられません」
「どんだけ買ったんだ泡坂は」
「俺もこういうの買った」




「………なんです? これ」
さわやかローヤル、だってよ。関東では見た事ないから買ってみた」
「どんな味なんだ?」
「うーんそうだなあ。メロン味っぽいような炭酸かなあ」
「ああ、それっぽい」
「売っている雰囲気から見ると、結構メジャーな飲み物らしいけど、このネーミングセンスに惹かれて買ってみた」
「いいですね、ローカルな買い物って」
「俺も覗いてくればよかった」
「なんなら俺の飲めよ。よし。次はいよいよ東尋坊行くぞ」




・東尋坊到着



「天気もってよかったですねえ。しかし、とことん海ですね!」
「そりゃそうだろう。崖なんだから」
「なんでも隠岐ノ島が見えることもあるんだってよ。光の屈折とか書いてあるけど」
「へえー! そうなんですか。凄いですねえ」
「どうも福井と島根の位置関係がよくわからないが、直線距離で見えるようなものではないんだな」
「たとえ直線だとしても、どんだけ離れてると思ってんだお前」
「さ、お目当ての崖行きましょう、崖!」




「結構人多いな」
「そうだな。小さい子もいるし。東尋坊そのものは金取ってるわけじゃないから、誰でも入れるんだろ」
「天気が雨じゃなくて良かったな。手すりも何もないから、足場が危ないし、雨降ったらちょっと見物厳しいだろう」
「そうだな。まあギリギリまで行かなきゃいいんだろうけど、それでも結構な迫力があるし」
「なんでこっちこないんだ、泡坂」
「い、いやいいです私は。お二人はどんどん崖を攻めちゃってください。私はここで見学してます」
「? なんだ泡坂が一番来たがってたのに。「サスペンス劇場ごっこする」とか「船越さんとかいないかな」とか言ってたのに」
「いいいや、いいです。船越さんもいませんし、何より暑いですから日陰で休んでます!」
「ああ、なんだ怖いのか泡坂」
「怖いですよ! 私別に高所恐怖症じゃないですけど、崖と海と波と岩場がセットでむき出しになってると、相当の怖さですよこれ! なんで二人とも平気でずかずか歩けるんですか!?」
「いや俺は別に元々高いとこ怖くねえしな………」
「俺も別に」
「なんだったら手でもつないでってやろうか。そしたらまだマシなんじゃねえの?」
「恐怖はマシになるかもしれませんけど別な意味でマシじゃいのでいいです! お二人とも私に構わずへりまで進んで己の度胸を試してきてください!」
「そうか? せっかくだからもう少しへりに………」
「来るな澤田ああああ!」
「何で怒鳴るんだ!?」
「わかったからもうほら、澤田お前せっかくだから見てこいよ」
「そうだな、せっかくだから」
「うううどうして他の人たちも平気なんでしょうね…。なんか、元々海が得意じゃないせいもあって、普通に怖いですよ東尋坊…」
「まあ自殺の名所だっていうしな…。名所っていうのも変だけど」
「あの、池波さんも気にせず行って来てください。私別に具合が悪いわけじゃないので」
「そんなこと気にすんな。俺は個人的に、運動神経のかけらもない奴がいつ足を踏み外すんじゃないかとそっちのほうが気が気じゃない感じで、逆に気分が悪くなってきた」
「だったら、尚更そばにいてあげたほうがいいんじゃないですかね…。確かにあの人、運動神経も平衡感覚もまるでないのに、どうしてああも、ひょいひょい断崖絶壁を平気で歩けるんでしょうね………」
「神経が鈍いんだろうな。五感に訴える感覚全部がどこか鈍いんだろ、あいつの場合…」
「難儀しますね、池波さんも………」
「何で俺限定だよ」
「満足した。岩場にこう波のしぶきが真っ白に当たってだな。でも深さはなさそうだからあそこから飛び込んでも溺死じゃなくって、滑落死になるんじゃないかな。俺はどうせならもう少し海が深いところで飛び込んだ方がいいんじゃないかと思うんだが…。でもまあ、悪い坊主を突き落とした場所だというし、死んだかどうかちゃんと確認したいのならこれくらい、岩肌むき出しのほうが死体を見失わないでいいのかも」
「ついでにデリカシーも鈍いな」
「鈍いというか、壊滅してますよね」




越前松島水族館到着

「運転が良かったので、凄く時間がまけました。よし、水族館にも行きましょう!」
「泡坂が水族館好きだとは知らなかった」
「俺は結構好きだけどな」
「私も嫌いじゃないけど、程度ですけどね。なんとここではアザラシに触れるんですよ!」
「別にアザラシが嫌いなわけじゃないが、何故盛り上がるのがアザラシなのだろう」
「俺はペンギンが見たいかな」
「ペンギンも、イルカも見ましょうね!」
「あっ、わかった」
「何が」
「これが旅行テンションってやつなんだな、と思って。普段何気ない事でも楽しく見えるという………」
「お前それ泡坂に言うなよ。本気で嫌われるぞ」
「何でだ。いいじゃないか楽しめるんだから。俺も楽しい」
「お前は本当に人生得してるよ」




「アザラシー! アザラシ! 見ました!? 超可愛いのあざらし! 触りました!?」
「勿論触った。結構毛がみっしりしていて、肉厚な感じだった」
「なんか嫌な表現だな」
「ああ、あざらし超可愛い! 何が可愛いってあのひげ! あざらし可愛いよあざらし!」

「目の前海か、すげえなあ」
「東尋坊に寄らなくても、充分海堪能できるな、ここで」
「はい、ペンギンですよ! ペンギン! ダッシュ!」




「可愛いなあ、ペンギンも」
「飼育係の人につつかれながら歩いているさまは、ちょっとシュールだった」
「近くで見ると思っていたよりもうんと鳥だったので、ちょっと引きました………」
「そうか? よたよた歩いていて可愛かったが」
「いいです。気を取り直してタコさわりに行きましょう! タコ!」
「どういう取り直し方だ」


「びぎゃあああああああああああ!」
「うわっ! びっくりした!」
「サメが! サメが鮫肌!」
「当たり前だろ」
「すっごいざらざらしてるのにぬめぬめしているというか、やわらかいというか! うげええええ気持ち悪い~!」
「お前そこまで嫌がるのサメに失礼だろ」
「じゃあ澤田さんタコ触ってくださいよ! 吸盤のとこ! それ以外は認めません!」
「なんだそれ。ほら、触ればいいんだろ触れば………」
「あっ、タコは吸盤で獲物を捕らえて捕食するから気をつけろよ」
「!?」
「あははははははは! 引っかかった! 今の澤田さんの顔、超滑稽!」
「池波! お前なあ!」
「俺は別に間違った事言ってねえもん」
「さあ、次はイルカショーですよ!」




「イルカ、デカッ!!」
「確かに可愛いというより、デカい」
「俺は、アザラシにもペンギンにもイルカにも出てきたあのお姉さんの皆勤賞っぷりが気になる」
「ショー担当なんでしょうね、きっと。イルカも頭いいなあ、凄いなあ」


「近海の海で取れる魚が展示されているだけに、馴染みのある魚ばかりで、ちょっとリアクションに困る………」
「特に「クエ」なんて説明文酷いですよ。非常に美味って、それ生態何にも関係ないですよね………」
「俺は面白いけどな」
「いえ、私だって勿論面白いですよ」
「むしろ、こういう展示こそ面白いよな」






「かわうそーっ! かわうそ、ほらほらかわうそですよ! かわうそ!」
「………可愛いな………」
「昔吉田戦車の漫画でかわうそ君っていうのが………」
「やめてくださいよ! 可愛くなくちゃっちゃうでしょうが!」




食事「田島」

「思っていたより、東尋坊より水族館で時間食いましたね。よし、食事ですよ!」
「俺は海鮮丼」
「私もそれにします」
「じゃ俺は焼き魚定食にするかな」






「………多い………」
「俺のひらめもでけえ」
「そうか? 冬だったら蟹いけたのにな」
「でも美味しいです! このお吸い物も美味しい」
「魚も淡白で美味い。サザエもついてきて美味しいな」




「はい、最後に福井での食べ治め! デザートにジェラードの『カルナ』ですよ!」
「普通に町の中にあるから道がわかりづれえなあ。駐車場が店の裏手にあるけど、これ埋まってたら路上駐車だな」
「なんだかシステムもよくわからないが………。とりあえず、頼めばいいんだろうな。ブルーベリーと抹茶が100円プラスって言うのは、どういうことなんだろう」
「細けえことはいいんだよ! 美味しければそれでいいんです、それで!」
「泡坂お前お腹大丈夫なのか? さっき裂けそうだとか言ってたのに」
「愚問。アイスは別腹ですよ! ね、池波さん!」
「泡坂がそういうならそうなんだろうな。俺、ごまにしよう」


「よーし、各自ちゃんと食べ終わったなー。最終目的地、石川県の宮本三郎美術館に出発するぞ」
「はーい、これで福井ともお別れですね! ありがとう福井、美味しかった何もかもが!」
「美味しかったな、確かに。それに暑かった」
「確かに、雨なんて姿かたちもありませんでしたね…。完全に日焼けしましたよ私…。目が痛い………」
「ああ、また高速乗るのか………。ETCカード………」
「俺は今回の旅行で、結構池波の新たな一面を発見してそれがとても嬉しい」
「同感です」




宮本三郎美術館到着

「あの蔵みたいなのが美術館なんですかね? 駐車場は?」
「うーん周りにねえから、この役所の駐車場使うんだろうな。かなりいっぱいだけど、これ平日だったらどうなってんだろ。駐車場待ちすんのかね」
「随分おしゃれな建物なんだなあ」
「そうですね。じゃ、美術館ですので各自自由行動ということで、解散」


「うーん悪くはないんですけど、名前を冠する割りには展示数が少ないかな、と」
「若い頃と、年取ってからの絵の印象がだいぶ違うのに驚いた」
「晩年になればなるほど、色使いが奇抜になるっていうかな」
「私、神戸で小磯良平さんの絵を見たときも思ったんですけど、こう絵描きさんって書きたいものとそうでないものがはっきりしてて、それが一枚の絵の中で見て取れるんですよね。たとえば宮本さんにとってはそれが色だったんでしょうけど、そうなると、人物がを描いていても、人物の「顔」とかどうでもいいんですよ。どうでもいいっていうと乱暴ですけど、絵の焦点はそこにはない。だから、モデルさんも全員同じで、同じような顔をしていて、無表情。小磯良平の「斉唱」もあの絵も描かれている娘さんたちは全員全く同じ顔でしたしね。同じモデルさんの顔を使いまわしているって言ってましたから。その、描きたいものとそうでないものを自覚して書き分けることができる、っていうのがプロなのかもしれませんね」
「色合いも奇抜なんだけど、どこかに影のあるような濃い絵が多かったな」
「最初のうちがそうでないだけに、やっぱり絵描きも日を重ねるごとに、変化していくものなんだろうな」
「宮本三郎が有名なのは、ある程度後期になってからの色使いからなんだと思うんですけどね。どの絵も迫力がありました。満足」


・小松空港到着
「ふるさと記念館にも行きたかったけど、ちょっと時間が足りねえなあ」
「あ、いいです。大丈夫です。充分宮本三郎の絵は堪能しましたから」
「後は? 車を返せばいいのか?」
「ちゃんと満タンにして、満タン証明もらわらないとな。しかし、さすがヴィッツだなあ。燃費がいいわ。メモリ一個しか減ってねえもんなあ」


「………今回の旅行、楽しかったな」
「どうしましたしみじみ。でもそうですね、お天気にも恵まれましたし、足で不自由しなかったし、観光地は面白かったし、食べ物は美味しかったし、凄くいい旅行でしたね」
「そうだな。池波はずっと運転手で疲れたんじゃないか?」
「大した距離走ってねえよ。田舎道は真っ直ぐで走りやすいし、逆に観光地はあちこち看板が出てるから、迷う心配もそうねえしな。でもまあ、ナビあって助かった」
「また行きたいですね、何処か」
「そうだな」
「今度は、澤田が行きたい場所とか行ってみるのどうだ?」
「あ、それいいですね。何処がいいですか、澤田さん」
「俺か? そうだな………行ってみたい所な………」
「………」
「………」
「………」




・羽田空港到着
「………………………」
「いや、いいですよ澤田さんもうそんなに頭悩ませなくても…。羽田着きましたからお開きにしましょう………」
「ちょっとまってくれ、もう少し考えてみる」
「考えなきゃ思い浮かばないところに行ってどうすんだよ。俺もう行くぞ、バイク止めてあるから」
「じゃ、私もバス乗りますからこれで。ほら澤田さんも行きましょうよ。またの宿題にするってことで」
「わかった考えとく」
「じゃあな。気をつけて帰れよ」
「池波さんも。二日間お疲れ様でした! 運転ありがとうございました」
「じゃあな」
「おう」




こうして、一泊二日の福井旅は終わったのでした。
ちなみに、けんけら超美味いです。
そして、メールや拍手で情報下さった方に心より感謝いたします。ありがとうございました!
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